ロディという男
その時である。
どこからともなく馬の蹄の音が聞こえる。次第に大きくなる音。何者かが迫っているのだ。
「ヒーハー!」
テンションの高い叫び声と共に土埃をまき散らしながら、馬に乗った一人の男が颯爽と現れた。
「正義の味方ロディ参上!」
滝川より淡い金髪に濃い緑の瞳。
ウエスタンガンマンの服装をした男は馬から飛び降り、ガンベルトから二丁拳銃を引き抜き構える。
「ロン毛で貴族みたいな恰好した坊主。俺が来たからもう安心だ。
この最低野郎共は俺が全員始末してやる」
「ボクは女だよ」
すると男は目が点になり。
「ありゃ、女だったか。男みたいな服装なものだからつい……」
「別にいいよ。よく中性的って言われるからね。だから髪を伸ばしてる」
「なるほどね」
ここで男はゴブリン達に視線を戻し。
「お前ら逮捕されるのと死ぬの、どっちがいい?」
「両方嫌に決まってんじゃねぇか。バーカ」
「そうかい。それなら、あばよ」
刹那、ゴブリン達全員の頭部に穴が開き、彼らは穴から噴水の如く血を流して倒れる。当然ながら全員死亡していた。
ロディが完璧な正確さと早撃ちで彼らの頭部を撃ち抜いたのだ。
「俺が酒場で飲んでいる間に脱獄するとは……連中も考えたものだぜ」
ブツブツと文句を言いながら、滝川に手を貸し引き起こす。
「ありがとう。君のおかげで助かったよ」
「悪人から人を守るのが保安官の仕事だからな。
それでお前、見慣れない顔だがどこから来た?」
「信じられないかもしれないけど、ボクは別の世界から来たんだ。
元の世界に帰りたいけれど方法がわからないから、情報を求めて街を目指しているんだよ」
話を聞いたロディは意外にもあっさりと彼女の話を信じてくれた。
そして彼は腕組をして深刻な表情で考え込む。
もしかすると何か帰るための方法を知っているのではないか。
期待に胸を膨らませ訊ねると、彼は深刻な顔で答えた。
「さっきからずっと言おうかどうしようかと迷っていたんだ。
お前がどうしても知りたいというなら教えてもいい」
「知りたいね」
「じゃあ教えよう。耳の穴をかっぽじってよく聞け。
お前は臭い!」
「え?」
顔をしかませるロディに滝川は口をぽかんと開ける。
常に清潔を心がけてきた彼女にとって、ロディの発言は信じられないものだった。彼は彼女に構わずに話を続ける。
「血と汗、砂や泥の混じった悪臭がする。お前は何日風呂に入ってない?」
「二日かな。でも君も女の子に、それも美しいボクに失礼なことを言うね」
「事実だ。諦めろ。そして早く宿を見つけて風呂に入れ」
ロディは真顔でそれだけ言うと馬に跨りどこかへ行こうとする。
それを滝川は慌てて引き止める。
ここで彼に逃げられては疲労が限界を迎え負傷した体では街まで歩くのは不可能。街に行き宿を見つけて風呂に入り悪臭を消すには、彼の力が必要不可欠だった。
「待ってくれ! ボクはもう疲れて一歩も歩けない。だから、街まで連れていってほしい」
「街までここから五〇〇キロもある。普通の人間が歩くのは不可能だ。
かと言って俺も面倒臭いから断りたいが、お前を見捨てるのは心苦しい。だから」
「だから?」
「今日は俺の家に泊めてやる。乗れ」
元々ゴブリンが脱獄したのはロディが酒場で飲んでおり、牢屋の警備を怠慢していたからである。自分のミスが原因で彼女に重傷を負わせたのだ。
結果的に滝川の命は救えたものの、あと一歩遅かったら彼女はゴブリン達に殺されていただろう。
命の危機に晒された上に風呂も入れず宿もなく困り果てている少女。
これを見捨てるのは保安官としても人間としても最低の行為。
さりとて街まで五〇〇キロもある。
滝川は二日風呂に入っていないということは、当然ながら金がないことを意味する。もちろんこれまで何も食べずにこの森まできたのだろう。
空腹と怪我を負った彼女を馬に乗せて走れば、最悪の場合、途中で彼女が死んでしまうかもしれない。
それならば一度自分の家に泊めて、食事と風呂を与えて体力を回復させてから送った方が遥かに安全だ。
もっともこれで自分のミスが消える訳ではないが、それが今自分にできる精一杯の謝罪だろう。
言葉にこそ出さなかったものの、ロディは彼女の手を取り、自分の後ろに乗せる。
「いいか。俺の腰をしっかりと掴め。ゆっくり行くが、落ちないように気をつけろ」
「うん」
「よし。じゃあ行くか」
こうしてロディは自分の家へと愛馬を進めた。
スピード狂のロディは本来ならばいつものように愛馬を最高時速で走らせ爽快感を味わいたかった。
けれど今は後ろに怪我人がいる。
自分の欲望を押し殺し、滝川の身の安全を最優先にすることにした。
普段の彼からは考えられない行動なのだが、それだけ自分がしたことの責任の重さを感じていたのだ。
ロディは小さな田舎村の保安官として働いている。
住民自体は温厚なのだが砂漠と森に囲まれた村のために、そこを住処としているモンスター達の犯罪の被害に遭うことが非常に多かった。
ロディが保安官に就任してからと言うもの、過去と比べると犯罪の件数自体は明らかに低下しているものの、それでも他方と比べると依然高いままだ。
理由は二つあった。
凶暴なモンスターが多数生息するこの村一帯をロディ以外の保安官は怖がって誰もこの場所には来ないこと。
もうひとつは住民が被害に遭ってもロディに報告をしないことだ。
普通ならばモンスターの襲撃に遭っているのならば保安官に助けを求めるのは当然である。
しかしロディは街中を暴れ馬で乗り回り、被害を顧みずに店の中であろうと民家であろうと関係なく窓を壊して乱入し、捕まえるまで犯人を追いかけ続け、キレると容赦なく発砲して犯人を殺害することも頻繁に遭った。
つまりこの村は「凶悪犯より危険な保安官が守っている」状態であり、ロディの犯人逮捕の巻き添えに遭うよりはモンスターの襲撃に遭った方がマシ、と住人達は思っている。
村の被害を最小限に抑えるために村人は極力彼に頼まないのだ。
色々と保安官として問題のあるロディだったが、どうにか自分の家(交番)に滝川を連れてくることができた。
西部劇に出てくる木製の扉を抜けて入ると、中は机と椅子、冷蔵庫に風呂場、そして奥には牢屋があるだけのシンプルな作りである。
滝川をお姫様抱っこで家まで運び、椅子に腰かけさせる。
そして冷蔵庫からペットボトルに入った水を取り出し彼女に放り投げた。
「飲め」
「ありがとう」
喉が渇いていたこともあり一気にそれを飲み干す。
豪快な飲みっぷりにロディは感心していたが、ここで真剣な顔になり、
「悪臭がたまらんからまずは風呂に入って欲しいが、まずは怪我の治療が先だ」
「身体よりも心が傷ついたよ」
「ほんとのことなんだから仕方ないだろ。ま、怪我が治れば風呂にも入れる。
匂いも消えて俺もお前もハッピーだ。そうだろ?」
「そうだね」
「じゃあ魔法使いに電話をかけるとするか」
「魔法使い? お医者さんじゃなくて?」
「内蔵系の病気ならともかく、打撲や怪我なんかは魔法使いの回復魔法の方が効果も高くて治りも早い」
この世界では医者と魔法つかいがおり、内臓系や感染症は医者が、怪我や火傷、打撲などは魔法使いが担当している。
特に魔法つかいは電話一本あれば瞬間移動で駆けつけるため、緊急性の高い場合に重宝されていた。
ロディは机の上にある黒電話で魔法使いに電話をかける。
依頼を受けてきたのは長い白髪に白髭という典型的な老人の魔法使いだった。
彼は滝川に回復魔法をかけるとロディから報酬を受け取り、現れた時と同じように消えていった。
徐々に滝川の身体の切り傷や打撲が消えていき、同時に服も修復されていく。
傷は癒えたがすぐに風呂に入るのは身体によくない。
「ボクはどこに寝たらいいのかな」
「あそこに決まっているだろ」
彼が指差したのは何と牢屋。
「ボクは何も悪いことしてないんだけど……」
「そりゃそうだが、個室でベッドもある。贅沢言うな」
「他の場所はないの?」
「お前金がないんだろ。泊まれるだけありがたいと思え」
「でも――」
「ゴチャゴチャ言わないで、さっさと寝ろ」
「嫌だ!」
「さっさと入れ!」
抵抗する滝川の服の後ろ首を掴むと、牢屋の鍵を開けて中へ彼女を放り込むと、鍵をかけた。
「ボクはここに入るべき人間じゃない!嫌だ! ここから出してくれ!」
「おとなしく寝ておけ。俺はパトロールがてら酒でも飲んでくる」
以上が滝川が牢屋へ入れられた顛末である。
「おい、起きろ。いつまで寝ているんだ」
「フッ……そんなことを言っているけど、君はもうボクの美貌にメロメロだ……」
「寝言なんか言っている暇があったら、さっさと起きろ!」
翌日の朝。眩しい太陽の光が牢屋に差し込み、滝川は薄らと目を覚ました。
彼女は眠たい目を擦って、外に出る。
どうやらロディが開けてくれたらしい。
彼女はロディを見ると、ぷぅっと頬を膨らませた。
「どうした? 怒っているのか?」
「当然だよ! 美しいボクをあんな暗くて狭い場所に閉じ込めるなんて!」
「昨日からずっと気になっていたんだが、お前は何でそう『美しい』ばかり連呼するんだ?」
「君にはわからないのかい。ボクの美しさが」
「全くわからねぇな」
「!?」
ロディの一言は滝川に強い衝撃を与えた。幼い頃から自らの容姿に絶対の自信を持ち、周囲の人間もそれを認めていただけに、『美しい自分に周りが尽くしてくれるのは当然』と考えていた滝川には、ロディの言葉が信じられなかった。
まさか、異世界とはいえ自分の美しさが通用しない人間がいるとは。
(嘘だ。あり得ない。ボクの美貌に惚れない人間など存在する訳がない)
「そんな台詞を言われたのは生まれて初めてだ。君は本気でボクを美しいとは思わないのかい」
「生憎、俺は人間より馬が好きでね。お前がどんなに美しかったとしても愛馬の前には霞むさ」
「そんな!」
滝川はがっくりと膝を落とし悲観する。
「負けた。このボクが馬に……!!」
と、同時に自分に初めて敗北を知らしめたロディに、彼女は内心対抗意識を燃やす。
(こうなったらいつか必ず、彼にボクの美貌を認めさせてみせる!)
「これが朝食?」
「そうだ。美味いぞ、食え!」
「……」
テーブルに並べられた朝食を見て滝川は絶句した。そのメニューが牛乳に蛇の丸焼き、そして山盛りのアリのフライだからだ。
ロディはまるでポップコーンを食べるかのようにアリを口の中へ放り込むと、食事に手を付けようとしない彼女に口を開く。
「なんでさっきから食べようとしないんだ?」
「ボクの住んでいた国ではこういうものを食べる習慣がなくて」
「食わず嫌いばっかしてると強くなれねぇぞ」
「そんなこと言われても……」
この地方では蛇やアリなども生息しており、ロディはそれを好んで食べていた。
本人の弁によると体を強くする食べ物らしいが真偽のほどは定かではない。
彼は滝川が食べないと判断し彼女の料理を奪い取り、代わりに自分が食べた。
「こんな美味いものを食べないとは、お前は人生を損しているぜ」
「この世界の人はみんな朝食にアリとか蛇を食べるのかい?」
「いや! 食っているのは俺ぐらいなもんだろうな。
大抵の連中はフライドポテトとか目玉焼きとか、トーストとかを食ってる」
「ボク達の世界にも同じ名前の料理があるよ」
「名前が同じでも俺とお前は住んでいる世界が違うからな。
俺とお前の想像している料理が違うってこともあるわけだ」
ロディは手を叩いて椅子から立ち上がると、扉を開けて外へ出る。
「どこへ行くの?」
「今からこの世界の料理を買ってくる。同じ料理かどうか、お前の目で確かめろ」
三〇分後、ロディは大きな袋を抱えて帰ってきた。
「ほらよ。買ってきたぜ」
彼がテーブルの上に置いたのは滝川の住んでいた世界と変わらない、ハンバーガーにフライドポテト、トーストだった。
「どうだ? お前が食っていたのと何が違う?」
「同じだね。名前から見た目も変わらない」
「そいつはよかった。まあ、早く食え」
滝川は二日間の空腹を埋め合わせるように大量の食べ物をむさぼり食うと、口を白いナプキンで拭いて手を合わせた。
「ご馳走様でした!」
「食い終わったな。じゃあ早く風呂に入れ」
「あっ――」
「どうした?」
「ボク、この服以外持っていないんだよ」
「服なんて俺のを着ればいいだろう?」
「それはできない相談だね。
まずサイズが違うし、下着は女の子用しか着ない主義なんだ」
「しょうがねぇな。買いに行くぞ」
服を買うべく、ロディと滝川は村へと出かけた。
この選択が大きな誤りになるとも知らずに。
白馬に跨り、気持ちのよい風に吹かれながら滝川は昨日からの疑問をロディにぶつけた。
「君はどうしてボクに親切にしてくれるのかな。見ず知らずのボクに」
「ゴブリンに集団で襲われているお前を見捨てることが出来なかった」
「それに、どうしてボクが異世界から来たと言った時に信じてくれたの?」
「お前の目が嘘を言っているように見えなかった。質問はこれで終わりか」
「あとふたつだけいいかな。
ボクはずっと異世界という場所は剣と魔法があって騎士がいて、王様がいる中世時代のイメージがあったんだ。だけどこの世界にはモンスターはいるけれど、とても近代化していている。
ボクの目から見て一九八〇年代の日本だ。
日本はボクが生まれた国で、ボクが生まれる約二〇年ほど前の文明レベルにそっくりだよ。
なんでこんなに文明が進んでいるの?」
「この村は田舎だから都市と比べると近代化していないけどな。それでもまあ、ペットボトルや冷蔵庫なんかはある」
だからロディの家には冷蔵庫もペットボトルもあったのか。
あの時は喉が渇いていたので訊ねる元気こそなかったが、滝川は昨日から気になってたのだ。
ロディは話を続ける。
「今から五〇年前にこの世界に来たある男が色々と近代技術を教えてくれたからだ。
その男は偉大な奴でそいつがいなければこの世界は魔王に支配されていただろうし、文明もここまで進んでいなかった。
今ではお前達の世界の日本のガキ共が自分の人生に不満を持って、異世界転生という裏技で安易にこの世界に来て人生をやり直そうとしている。
お前の世界で本気を出せない奴がどうしてこの世界で本気を出せる?
それに人生をやり直そうと強力な力を振ったところでそんなものは神からの借りものだ。
自分の努力で得た力ではない。
全く反吐が出るぜ。それで、最後の質問は?」
「この世界に住んでいるモンスター達って何なの?」
するとロディはニイッと笑って答えた。
「反則的な力を使い私利私欲を満たし続けた、異世界転生者達の成れの果ての姿だよ」
「!!」
「質問はこれで終わりだな」
「うん、ありがとう……」
ロディが警備しているのは人口三〇〇人ほどの小さな村だ。
規模はどれも小さいが小売店や洋服屋などもあり、それほど生活には困らない。
彼は滝川を村で唯一の服屋につれていき、服を選ばせる。
「どうだ。決まったか」
「うん。どうかな?」
「前とあまり変化がないな。しいて言えば下がスカートになったぐらいか」
滝川は赤色の軍服風のジャケットに超ミニスカートという格好だ。
「お前は何でそんな男みたいな格好にこだわるんだ」
「この方がボクの凛々しさが際立つんだ」
「でも暑いだろ? ラフな服装を選んだらどうだ?」
「フフフ。中は普通のシャツだよ」
ジャケットを脱ぐと彼女は白いシャツを着ていた。
「正直言ってお前の美意識は理解できないな」
「今は気づかなくてもいつかはわかるよ。ボクが世界で一番美しい存在だと言うことがね」
「さっさと元の服に着替えろ。会計に行くぞ」
滝川を元の服に着替えさせ、一緒に会計に向かう。
商品を清算しながら、会計係の男性店員がロディに話しかける。
「ロディ保安官。そちらの女の子はどうしたんですか」
「森でゴブリンに襲われていたところを保護したんだ」
「綺麗な子ですが、お名前は?」
ここにきて初めて、ロディはまだ滝川の名前を聞いていないことを思い出した。
滝川は髪に触れると穏やかな微笑を浮かべ。
「ボクは滝川麗。異世界から来たんだ」
「異世界から……だって!?」
こぼれ落ちそうなほど目を大きく見開き、口をあんぐりと開ける男性店員。
その様子にロディは眼光鋭く睨み、低い声で言った。
「早く会計を済ませろ」
「は、はいッ!」
「釣りはいらん」
素早く代金を払って服の入った紙袋を受け取ると、滝川の腕を掴んで強引に店を出る。
「ロディ、急に慌てだしてどうしたんだい」
「今は話している暇はない。全速力で家に帰るぞ」
いつものヘラヘラとした陽気な表情とは違う、眼光鋭く深刻な顔に滝川もただ事ではないと悟る。
ロディは滝川を乗せ、風のような速さで家に帰る。
そして家の扉に鍵をかけ、落ち着いた声で言った。
「まずは風呂に入れ」
「ボクの一糸纏わぬ美しい姿を見たかったら君も入っていいんだよ」
「早く入れ!」
「う、うん……」
彼の凄味に圧倒され滝川は大人しく指示に従う。
シャワーから出るお湯に撃たれつつ、その気持ちよさに天にも昇る心地よさを覚えていた。風呂が何よりも好きな彼女にとって、三日間も入れなかったのは地獄同然だった。なのでこうして念願だった風呂に入れるのは嬉しいのだが、反面、なぜロディの余裕の無さが気がかりになる。
(思い返せばボクが店員さんに自己紹介をした時からロディの様子が変わった。
そこに何かあるに違いないけれど、一体何が――)
考えても答えが出なかったので、浴室の外にいる彼に声をかける。
「さっきから様子が変だけど、何かあったの?」
「店員にお前が異世界から来た存在だと言うことがバレた、これが問題だ。
お前の素性は絶対に村の連中にバレてはいけなかったんだが、それを忠告し忘れた。
これから起きることは、全部俺の責任だ。
お前は何も悪くないのに迷惑ばかりかけてすまない……」
この二日間、滝川はロディの謝罪の言葉など聞いたことがなかった。
その彼が謝るのだ。これから何か余程のことが起きるのだろう。
「一体、これから何が起きるの……?」
滝川はシャワーのお湯を止め彼に訊ねる。
言葉の語尾は未知への恐怖により、かすかに震えていた。
互いが沈黙し、静寂な時だけが過ぎていく。
先に口を開いたのはロディだった。
「住民たちが激怒してこの家に攻めてくる。闘う覚悟はあるか」




