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滝川とシャドウの対決

シャドウが案内した決闘場には、広大な部屋の中央にプロレスのリングが設置されたシンプルなものだった。二階には千人は収容できると思われる観客席まで用意されている。滝川は髪を掻き上げ微笑した。


「これは決闘場と言うよりプロレス会場だね。

決闘場としてはどうかとは思うけど、観客席があるのはいいね。

なぜならボクの美しい闘いを観衆に見せつけることができるのだから!」


大袈裟に手を広げて天井に吊るし上げられたスポットライトの光を浴びる滝川に、メープルとラグは冷や汗をかく。シャドウは自己陶酔に浸っている滝川を冷たい目で見つめ質問する。


「お前は観客が少ないのが不満か」

「当たり前だよ。ボクの美貌や闘いは全世界の人々に発信することで意味がある」

「俺としては物静かに決闘を楽しみたかったのではあるが、お前も全力を発揮できずに死ぬのは残念だろう。宜しい、お前にとって最高の環境を用意してやる」


彼が指を鳴らすと、城内に居る全ての兵士が観客席に転移され、ラグとメープル用の貴賓席と遠くの観客も観戦できるようにとパノラマテレビまで壁に出現する。

シャドウは魔法でマイクを出して会場全体に轟く低音で告げた。


「会場にお集まりの兵士諸君。これより私、シャドウ=グレイが侵入者である滝川と時間無制限・反則自由のデスマッチを執り行う。

なお、この試合は全世界同時中継で放送される。

無料で、しかもこれほど近くで私の試合を観戦できるとは、君達は光栄だ」


兵士達は彼のアナウンスを聞くと、困惑は静まり代わりに拍手喝采が巻き起こった。城の中で娯楽の少ない窮屈な暮らしをしている兵士達にとって城内でたまに行われる決闘は数少ない楽しみである。

その上、今日はシャドウの試合なのだ。魔王軍最高司令官であるシャドウの試合など滅多に見られるものではない上に、対戦相手は城の情報を盗もうとした悪党ということもあってか兵士達の興奮は最高潮に達していた。それを見た滝川は満面の笑みでシャドウに爽やかな笑顔を向ける。


「ありがとう。これでボクも全力を出せるよ」

「敵に礼を言うとはお前は変わっている」


互いに言葉を交わした後に二人はリングへと上がる。

あとは試合開始のゴングが鳴るのを待つばかりだ。

貴賓席に二人並んで腰を下ろしたメープルは滝川が心配だった。


「滝川さん、大丈夫でしょうか。相手はラグ君の攻撃も防ぐほどの強敵ですし、何より私は滝川さんが闘っている姿を見たことがないのです」

「それに関しては僕も同感ですが、今は彼女を信じるしかありません」

「そうですね。滝川さん、勝ちますように」


メープルは瞼を閉じて優しく手を組み勝利の女神に祈りを捧げる。

そんな彼女に滝川は背を向けたまま言葉を発した。


「メープル、この試合にボクが勝ったら一緒にお風呂に入ろう!

試合は汗をかくから、君と一緒に入って疲れを落としたいんだ」

「え…でも……」

「大丈夫。ボク達は女の子同士だからね。ついでにラグ君も一緒にどうかな」

「僕は男ですし、身体が錆びてしまいますのでご遠慮します」

「ボクの美しい肉体を見せてあげられると思ったのに残念だよ。でも錆びるのなら仕方ないね」

「下らぬ話は済んだか?」


会話に割ってきたシャドウに滝川は頷き。


「そろそろ試合を始めようか」

「フフフフフフ、そうこなくてはな」


ついに試合のゴングが会場に鳴り響いた。

何の変哲もない四角い普通のリングで滝川とシャドウの試合は幕を開けた。最初に仕掛けたのは滝川だった。突進してきたシャドウに半回転し、彼の腹に足の裏で蹴りを浴びせたのだ。

全くの素人と踏んでいた滝川のローリングソパットには面食らうシャドウ。

一撃を浴びせた彼女は更に延髄蹴りで二撃目、ロープへ飛んで反動を利用しての胃袋への膝蹴り、通称キッチンシンクで三撃目を当て、彼を後方へと転がせる。

そこですぐさま反対側のコーナーに走り、コーナーポストへ飛び乗ると、狭い円柱にしっかりと両足を揃えて立つ。滝川はすぐさま攻撃を加えようという気は見せず、シャドウが起き上がってくるまでコーナーポールで待機している。

シャドウが連続攻撃のダメージからヨロヨロと立ち上がった瞬間、滝川はコーナーから一気に跳躍し、鮮やかなミサイルキックをシャドウの顔面に決めた。

口と鼻から血を噴き出して倒れかけるシャドウではあったが、そのままの姿勢で上半身を起き上がらせると突進していき、彼女の顔面目掛けて右手を伸ばした。


「食らえ、スター流奥義がひとつ、クラッシュクロー!」

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