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雨宿り

「あ、ごめんなさい」

 霧のような雨の向こうから現れた、大きめの異形の影に頭を下げる。

「雨、急に降ってきたから」

 大きな水滴が、アキのすぐ横に落ちて大きく跳ねる。半分ほど崩れた社に残る軒下に座るアキの前に立った異形は、首を横に振る仕草を見せ、そしてアキの膝で眠る毛むくじゃらの塊の方へと濡れた手を伸ばした。

「あ、この、子、達は」

 この軒下で震えていたのを持っていたタオルで拭き、昔話を聞かせている間に眠ってしまった。説明する声が、無意識に震える。やはり、何かありそうな場所で雨宿りなど、するのではなかった。

「……」

 自分の軽率さに俯いてしまったアキの左側が、急に暗くなる。目の前にいたはずの異形が、雨漏りで小さな水たまりができているアキの左側に座った。そのことに気付いたのは、異形が発する、どこか懐かしい水の匂いに気付いた時。

「あ、あの」

 もう少し、こちらへ。身体を右にずらしたアキに、異形が頷く。アキの方へと少しだけ身体を寄せた異形と共に、アキはしばらくの間、止みそうにない雨を見守っていた。

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