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雪は既に遠く

「ったく、こっちは今日も雪だぜ」

 舌打ちの向こうに響く、聞き慣れた氷の音を、電話越しに聞き取る。

「そっちは晴れてんだろ?」

「ああ」

「羨ましいぜ」

 慣れているはずの雪にぼやく声から顔を上げ、小さな窓の外を確かめる。中学校の社会科の時間に見せてもらった写真そのままの、冷たく澄んだ青空に、司は小さく首を横に振った。

 大学進学を機に移り住んだこの場所には、雪は、数えるほどしか降らない。

「大学、休みになったらそっち行って良いか? 司」

「雪で電車が止まらなければね」

「ぐうっ……」

 唸る友人の向こうで、雪を伴う雷が鳴る。

 生まれ育った場所に降る重い雪に嫌気がさした。それが、この場所に住むことを決めた理由。だが、……この、心に空いた穴は何なのだろう? もう一度、首を横に振ると、司は、夏の思い出を話す声の向こうに響く雪の音に耳を澄ませた。

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