第20話 決着
★★★★★
神崎陽太→ルリカ 男→女
ジョブ 冒険者
レベル48
HP 2700/2700
筋力 2400
耐性 2400
敏捷 2500
魔力 4180
装備 地球風制服.ver,ミカ―――Aランク
弓(木製)―――Cランク
所持品 冒険セット(火起こし道具、非常食等)
矢(銅製)―――Dランク×10
“魔矢・改”―――Aランク×40
スキル 気配察知―――Bランク
詠唱魔法展開―――Dランク
詠唱破棄―――Bランク
遠隔魔法起動―――Bランク
火属性魔法―――Cランク
水属性魔法―――Cランク
風属性魔法―――Cランク
土属性魔法―――Cランク
光属性魔法―――Dランク
闇属性魔法―――Dランク
時空魔法―――Cランク
経験値倍化(二倍)―――Dランク
必要経験値低下(半分)―――Dランク
ユニークスキル 召喚契約(神から与えられし異能)
共通課題:この世界の謎を解き、真実の旗を掲げ、【魔王】を討て。
個人課題:この世界を一年以内に救え。
★★★★★
新たに得たスキル、詠唱破棄とはそのままの意味で、魔法詠唱を一切せずとも魔法を展開できるスキルだ。
当初、ルリカがやっていたイメージだけで魔法を展開する方法をこのスキルを使用することで魔法をイメージし、展開する過程を省略することができるようになった。そのため、魔法発動のラグは限りなく存在しない。
そして、詠唱破棄によって“魔矢・改”が放たれるため、敵はただ矢を飛ばしただけに見えるのだ。それだけでなく、遠隔魔法起動により、どんなに離れた場所でも魔法がいつでも起動可能となった。
また、ルリカが詠唱破棄で放った“魔矢・改”が発動する魔法は、触れた瞬間に周囲一帯を巻き込んで吹き飛ばしてしまう“火属性魔法”―――“大爆発”。純粋な破壊力だけなら他の魔法の追随を許さない高威力魔法だ。
「お姉ちゃん、まだ生きているよ、あいつ」
「分かってる。リリはこのまま何時でも飛んでいける準備をしておいて。私は残りの“魔矢・改”を全部使うつもりだから」
「了解!」
ニッコリと微笑むリリからは姉であるルリカに対する絶対的な信頼の念を感じた。
そんな無邪気とも言えるリリの笑顔に思わず罪悪感で胸が苦しくなるが、雑念を捨て研ぎ澄まされた一本の刃のような冷酷な表情にすぐに戻った。
黒煙がモクモクとたちこめる中からブンッ、と大剣を横薙ぎに振るうことで煙を断ち斬って現れたアーチボルトの漆黒の鎧には所々くすんでいたりしていたが、ほぼ無傷といったところだ。
「魔法の核っていう表現を教えてくれてありがとう。魔法の核が“魔矢・改”にあなたの剣が触れた瞬間に出現したなら、対処は困難を極める。そうでしょ?」
そういう間にもルリカは3本の矢を番え、放つ。
「確かに……だが、たかが“火属性魔法”が我が鎧を貫通することはあり得ぬわッ!」
アーチボルトが吠えた直後、ほぼ同時にしか見えない3連撃をルリカの放った矢に浴びせる。
「そう?」
ルリカはリリにしか聞こえないぐらいの小さな声で呟くと、空いている右手の指を鳴らした。
直後、膨大な熱量がアーチボルトの目の前で炸裂した。
圧倒的な光量が視界を覆い、それに続いて熱風が先程の“大爆発”を超す勢いで押し寄せた。
ルリカとリリは咄嗟に目と耳を塞ぎ、“土属性魔法で土壁を最速で築き、おまけで”光属性魔法“でバリアを作ることでやり過ごした。
「あなたの鎧は確かに“大爆発”ぐらいじゃあ貫通しないことはさっき確かめて分かったけど、熱に対する耐性はあまり強くないみたいだね」
ルリカは横から見ていたリリですら青褪めるほどの冷酷な笑みを浮かべていた。
近所の悪ガキレベルが考えるような悪戯の域を超え、ルリカがやっていることは相手の弱点を物理的に攻撃し続ける戦術、戦略の類だ。
「ぬう……」
アーチボルトが未だ燃え続ける炎の中から現れたかと思うと、赤熱し溶解してぽっかりと空いた鎧の穴を左手で庇いながら遂に膝を付いた。
「あなたの鎧は爆風や爆発自体でどうこうなるような硬さじゃない。だけど、爆風が触れて所々くすんでいたほんの僅かな場所だけ赤くなっていた。もうここまで言えば、分かるでしょ?」
リリはようやく納得したかのように首を縦に振った。
アーチボルトの漆黒の鎧は確かに物理的な攻撃に対して絶大だ。だが、熱に対しては耐性が強くなかった。
ならば、“大爆発”よりも圧倒的な火力で熱を加えれば必ず溶解するだろう。おまけにここは異世界であっても文化レベルは中世ヨーロッパ辺りのもののはずだから、ルリカがいた現代の金属よりも質が悪いのは必然。
熱に対する耐性など以ての外だ。
「“光属性魔法”―――“雷”、“火属性魔法”―――“溶岩”。おまけで水蒸気爆発を誘発させるために撒いた“水属性魔法”―――“水弾”」
ただの“大爆発”程度であればルリカとリリの持つ強靭な肉体を以てすればどうということはないのだが、自然災害の雷や溶岩、おまけに水蒸気爆発の威力となれば話が変わってくる。
咄嗟に作った土壁は爆風に触れた瞬間に消し飛んで、ギリギリ“光属性魔法”で創ったバリアが砕け散る直前でようやく耐え切れたほどだ。バリアに残り少なかった魔力を全部注ぎ込んだため、ルリカは魔力枯渇によって今にも倒れそうだった。
膝が痙攣し、全身から異様なほどの発汗、おまけに既に顔から血の気は失せていた。
だが、己を叱咤し、必死に意識を繋ぎ止める。
「でもあなたを倒すのに、全魔力とこの有様になるまでの高威力が必要だった。けど、あなたを倒し、私はまだ上へと昇り続ける。強くなり続ける。それが今の私の目的であり、通過点」
「……そうか。勇敢なる戦士、エルフのルリカよ。その言葉に二言がないと誓えるか?」
「無論」
ルリカが静かにそう呟いた次の瞬間、アーチボルトの尋常ではない殺気が緩和した。確認せずとも、呼吸は停止しているだろう。
その直後、ルリカも意識を遂に繋ぎ止めきれず全身から力が抜けその場に倒れそうになる。だが、すぐさまリリが抱き留める。
「やっぱり、お姉ちゃんは強いなぁ……」
意識を持っていられた唯一のリリは、周囲を見回してそう呟いた。
アーチボルトがルリカの放った3本の矢に3連撃を合わせたその場は約10メートルほどの深さまで溶岩の熱と水蒸気爆発によって融解及び陥没していた。
深淵だったこの場も未だグツグツと煮立っている溶岩で不気味に照らされており、ドーム状だったことがすぐにわかったが、どこにも原型を留めていられるような所は見受けられなかった。
二作目の”サイボーグと奇跡の花”もぜひ読んでみてください。
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