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弓使いの私は何者ですか?  作者: XXX
第1章 初めての異世界
14/25

第13話 覚悟

今回は少し短めです。

あと、章を少し変えさせていただきました。

初めての異世界編→第1章 初めての異世界 です。


 【ガヴァリリー】生活6日目、西方ダンジョン内のとある“ハウス”―――


 ルリカは魔法を拳に纏わせて新たな“技術”作成に勤しんでいたのだが、ミカさんの店で買ったブレザーの耐久性に驚愕していた。


 360度全てから敵が絶えず突撃して来る中、わざと攻撃を受け流したり掠らせたりすることで耐久度のチェックをしていたのだが、まさかブレザーに触れた瞬間にコボルトの攻撃が少しだけ跳ね返るとは思っていなかった。


 ミニスカートのせいで足元がかなりスースーするし、新しく購入した下着も見えそうで実際、かなりの羞恥心と共に戦っている状態だ。こんな状態で“止まった世界(スロウ・ワールド)”二入れるはずもなく、ルリカはかなりの苦戦を強いられていた。


 しかし、ルリカが今現在体得しようとしているのは実戦においてかなり有効な手となるうるものだ。空手、ボクシング、レスリング、システマ、数々の格闘術に“身体強化”と各属性の魔法を加えることで凄まじい変化を起こす。


 ルリカが開発中の“技術”―――――“魔闘”。


 完成すれば近距離戦、特に徒手格闘においては無敵とは言えなくともこの世界でトップレベルに入り込めるだろう。


 まるで舞のような華麗なステップと強靭な肉体から繰り出される魔法を纏ませて放たれる拳は圧倒的火力を以て敵を穿ち続けた。


 ルリカは魔力を腕とか一点に流し込んで魔法を発動するのではなく、魔力を全身に薄く纏わせるようにしてから魔法を発動しているので魔法の威力自体はそこまで高くないが、魔力の消耗を可能な限り抑えつつ戦っているため魔力切れを起こしにくい。


 さらに言えば、凶悪なまでの身体能力に“身体強化”を付与することで今現在の限界値まで身体能力を向上させているので別に魔法を纏わせずとも敵を粉砕することが可能だった。

 

 

 

   ★ ★ ★

 

 

 

 ルリカは“ハウス”を後にして西方ダンジョン内の“深部”と呼ばれているダンジョン攻略を専門とする人たちが集う危険地域に足を運んでいた。


 普通の冒険者たちがモンスターを倒している地域のことを“安全区”と呼ぶのだが、“深部”は別名―――“死区”と呼ばれているほどあまりにも危険性が高すぎる地域だ。西方ダンジョンの“安全区”でもこの世界の人達にとってはかなりの難易度なのに、“死区”はそれさえも軽く凌駕し、“生”という言葉を極限まで否定する場所だ。


 専門家でさえも油断した瞬間が最後、西方ダンジョンの“安全区”のモンスターよりも数十倍凶悪なモンスターの餌食となることは確定される。


 故に冒険者ギルドでも選りすぐりのエリート中のエリート―――AAランク以上の傑物以外は立ち入り禁止となっているし、例えAAランクだとしても申請がいるような場所なのだ。


 ルリカは今朝、ギルドに顔を出してセリアに申請書を出してきたのだが、セリアの切羽詰まった表情は記憶に新しい。


 “ハウス”中心部での修行だけでは物足りなくなってきたルリカは遂に本腰を入れてガチ修業を開始すると共にさらに質の高い“魔石”確保に乗り出したのだ。異世界生活を始めてたった6日目ではあるが。


 そもそもルリカの師匠があまりにも桁違いのバケモノだったことにも問題があるようなものだ。西方ダンジョンのコボルトやスケルトン兵など軽く捻り潰してしまうほどの実力者で人間国宝に認定されるほどの人物にみっちり鍛えられ続けたルリカは並大抵の訓練では満足できないようになってしまった。


 しかしルリカが進もうとしているのは人が進む道を違えた先にある修羅の道という生温いところではない。修羅道の先、鬼が進む道―――――鬼道だ。故に生きて帰って来られる保証などあるはずがない。


「……師匠、俺はまだ先へ行くよ。師匠を超えることが俺の目標だったが、あなたがいない今、俺は修羅道を外れ、鬼道に入る。この世界を生き抜くため、何より元の世界に帰る為に」


 ルリカは勝つ可能性が限りなく少ないが、“天命祭”をやり遂げる気だった。個人課題も共通課題もクリアして【スペシャルボーナス】とやらを使って元の世界へ帰る。いつまでもこの世界に来たことを悔やんでいるなど無駄でしかない。神々が【スペシャルボーナス】を出すと言っているのだから、それに甘えることにしよう。


 そのためにはどこまでも強くならなければならない。他の“資格者(プレイヤー)”を蹴落としてでもあの世界に帰る。例え、最終的にどんなに苦しい結末を迎えようとも。


 この世界に来てから人生初めての殺人を経験し…………いや、もっと前。幼馴染をこの手で護ると誓ったあの日から、ルリカは何もかも覚悟は決まっていたのだ。

 


次回は少しばかり本編から外れた話となる予定です。

感想等、宜しくお願い致します。

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