第11話 服屋に行く覚悟
少し投稿が遅くなってしまいました。申し訳ありません。
ルリカは西方ダンジョンで数時間以上に渡って行われた戦いを終えて帰路についていた。
既に“異空間倉庫”にはあり得ないほどのコボルトとスケルトン兵の亡骸が放り込まれており、換金すればとてつもない額になることは明白だった。
この世界―――【ガヴァリリー】に来てから5日も経つが、たった5日だけでこれほどまでレベルアップを果たすとは思ってもいなかった。
★★★★★
神崎陽太→ルリカ 男→女
ジョブ 冒険者
レベル25
HP 1550/1550
筋力 1250
耐性 1250
敏捷 1350
魔力 2340
装備 最初の冒険装備一式
短剣(銅製)―――Cランク
短槍(銅製)―――Cランク
弓(木製)―――Cランク
所持品 冒険セット(火起こし道具、非常食等)
矢(銅製)―――Dランク×10
“魔矢・改”―――Aランク×55
スキル 気配察知―――Bランク
詠唱魔法展開―――Dランク
火属性魔法―――Cランク
水属性魔法―――Cランク
風属性魔法―――Cランク
土属性魔法―――Cランク
光属性魔法―――Dランク
闇属性魔法―――Dランク
時空魔法―――Cランク
経験値倍化(二倍)―――Dランク
必要経験値低下(半分)―――Dランク
ユニークスキル 召喚契約(神から与えられし異能)
共通課題:この世界の謎を解き、真実の旗を掲げ、【魔王】を討て。
個人課題:この世界を一年以内に救え。
★★★★★
昨夜、改造し直した“魔矢”はAランクとなっていて、“魔矢・改”と名前が書き換えられていたのには今気が付いたが、それにしても成長スピードが異常だと言わざるを得ない。それもこれもスキルの経験値倍化と必要経験値低下のおかげだろう。
少しばかり晴れやかな表情でギルドの受付嬢―――この4日間、ルリカの世話を焼いてくれた職員でありギルド内での唯一の理解者の一人、セリアに換金を依頼しに来た。
セリア本人もこの世界において桁違いな存在のルリカを認めており、この4日で精神的に鍛えられて、もはや何が出て来ようとも平気だと豪語していたのだが―――――流石に今日の収穫には気絶しかけたようだ。
コボルト、計341体。スケルトン兵、計459体。
解体終了後に発見された中質“魔石”、計800個。換金して金貨800枚にもなるのだが、ルリカは50個ほど残して全て換金したのでざっと金貨750枚ほどだった。ちなみに金貨はこの世界で500円ほどの価値になる。よって今のところルリカは37万円ほど所持していることになる。
たった数時間でここまで稼いだのはルリカが初めてだそうだ。それに倒したモンスターを運搬するのに“異空間倉庫”を使っているため、幾らでもモンスターを倒して運ぶことができる。
ルリカは換金し終えた後、新装備を買いに“冒険通り”と呼ばれている服、防具、武器、その他の基本的な冒険グッズなどが売られているところに向かった。
5日間も同じ服を着続けているので着替えが欲しいのだ。
「まずは服からだね………はあ」
ルリカは相当な覚悟を持ってここに来ていた。元々が男な為、女性服を買いに来るのにかなり躊躇いがあった。
しかしいずれ来なければならない、というならさっさとそんな躊躇いを消して先へ進まなければならない(精神的にかなり来るものがあるが)。
覚悟を決めてやって来た服屋だが、予想外の物が並べられていて驚いた。何故かこの世界の服というのはどうも地球のセンスが混じっている節があるのだ。代表例として素材は分からないが、スーツモドキ、スカートモドキ―――数えるだけキリがない。
「あら。もしかしてルリカちゃんじゃない?」
「はい、そうですけど」
服屋の若い女性がルリカに話しかけて来た。綺麗な茶髪を肩まで伸ばしてすらりと伸びた長身はモデルを彷彿とさせる。微笑みながらルリカをじっと見つめる目はまるで得物を狙っているネコ科の猛獣のようだった。
「私がルリカだって何でわかったんですか?」
「それはあなたがこの辺では知らない人はいないほど有名人だからよ。ルリカちゃんは史上初のAAランクスターターだし、最近はダンジョンで荒稼ぎしてギルドを困らせる程だから、知らない方が不思議よ」
(俺ってギルドを困らせたことあったけ………あるかもな)
ルリカが大量の“魔石”を換金に来るせいでギルドの財政はかなり苦しいものとなっていると冒険者たちの中で囁かれていたのを聞いた気がした。
「それで、今日はどうしたの?ダンジョンに籠っているって聞いたけど」
「実は替えの服を何着か買おうと思っていて、その為にちょっと荒稼ぎしていました」
「なるほどね、でもそこまで荒稼ぎしなくてもルリカちゃんにはほぼ全てのところが安くしてくれると思うけどね」
Aランク以上の特権、と呼ばれているやつだ。Aランク以上ともなれば顔が広まるし、何かあった際には用心棒にもなることもある。だからこそ多くの商人達はAランク以上の冒険者を優遇するというか媚を売るのがこの世界での常識だ。
「私はミカ。見ての通り、この店で店主をしているわ。替えの服がいるんでしょう?なら買って行ってくれるとお姉さん嬉しいな」
怪しい笑みを浮かべて徐々に距離を詰めてくるミカさんを前にルリカは別の覚悟をした。
着せ替え人形になるであろう自分の運命を。
次回はルリカ着せ替え人形回となる予定です。
感想等、宜しくお願い致します。