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弓使いの私は何者ですか?  作者: XXX
第1章 初めての異世界
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第9話 ”魔矢”

ルビを入れるのに最初はどうすればいいかわかりませんでしたが、自己解決できました。ルビに不備があれば教えていただければ嬉しいです。

 

 翌日―――――


 ルリカはやや難易度高めの東方ダンジョン内にいた。昨夜夜通しで作成した“魔矢”の実験をするためだ。“魔石”には魔力だけでなく魔法も込めることができる性質を利用した“魔矢”を作るのには骨が折れた。


 東方ダンジョンはそこまで人気のあるダンジョンではないため、人の数もあまり多くないので実験には最適だった。


「……おっと」


 ルリカは北方ダンジョンと比べてやや暗めな東方ダンジョン内で飛来した矢を、少し体を逸らすだけで簡単に避ける。エルフとなって視力が著しく上昇したからだ。


 そして、やや暗めなダンジョン内に加えて且ついきなり飛来する矢。これが東方ダンジョンの嫌われる理由だ。モンスター自体はそこまで強くないのだが、冒険者たちを苦しめるような罠や弓を扱うスケルトン系のモンスターが大量に湧くのだ。


 視力が高く、ルリカのように“技術”を身に付けたような者でなければ、この東方ダンジョンで生き残る確率は低い。


 “異空間倉庫”から弓と“魔矢”を取り出して番える。目標は30メートル先でこちらの様子を窺っているスケルトン。190センチ以上はある体格に弓と矢を装備した、嫌われ者の代名詞だ。


 ヒュッ、と放たれた矢はスケルトンの眉間めがけ突き進む。放たれた直後、ルリカが込めた魔力と魔法が自動的に発動される―――――はずだった。何も起こらぬままスケルトンの眉間に深々と“魔矢”が突き刺さり、先端の“魔石”は粉々に砕け散った。


「……どういうこと?」


 ルリカは訝しい表情を浮かべてスケルトンに近づいていく。


 スケルトンの眉間には後頭部まで貫通した“魔矢”の残骸が突き刺さっていた。動かなくなったスケルトンは恐らく討伐成功したのだろうが、問題はそこではない。周りに砕け散った“魔石”だ。


 粉々になった“魔石”には微かに魔力の残滓が感じられたが、魔法が発動された形跡はなかった。確かに昨夜、魔力だけでなく魔法も込めたはずなのだが。


「もしかしてなんか詠唱とかした方がいいのか?」


 魔法にはイメージが必要だと分かっていたが、地球での魔法とは何らかの詠唱を行うことで一々イメージするのを省略することがある。あくまでもアニメとかそういう物でのことだからあまり信憑性は薄いのだが。


「………む」


 “魔矢”について考え込んでいると鏃として“魔石”を利用したのがそもそもの間違いだったと気づく。それはスケルトンに触れた瞬間に砕け散った“魔石”の耐久度を考えればごく普通のことだった。


 取りあえず骸と化したスケルトンを“異空間倉庫”にぶち込んで、先に進むルリカ。


 しばらく進んでいると、スケルトンの群れと遭遇したのだが、ルリカは更に実験を重ねることにした。


 「敵を焼き尽くせ、“猛火の矢(フレイム・アロー)”」


 あまり長すぎず、且つイメージを浮かべるには十分な詠唱を重ねた矢は放たれた直後―――――勢いよく水平方向に火を纏いながら突き進む。そして先頭にいたスケルトンの眉間に突き刺さると、“魔石”が砕けて内包されていた魔力が解き放たれる。


 すると、内包された魔力がガソリンのような役目を果たし、薄暗いダンジョン内が猛烈な火が生み出す光量によって照らされる。


「……ねえ?何で?」


 ルリカは呟かずにはいられなかった。夜通し考えたアイデアが上手くいかなかったのに、先ほど思いついた地球のアニメを参考にした詠唱で成功してしまったのだから。


 スケルトンの骨の部分は黒焦げになって人間でいう心臓の辺りに不気味に輝く“魔石”だけが残っていた。“魔石”を回収したルリカは他の魔法を試すべく地下へと歩を進める。やや残念そうな表情を浮かべながら。

 

 

 

  ★ ★ ★

 

 

 

 宿に戻り、ルリカは再び“魔矢”を改造し直していた。


 実験の結果、火、水、風、土は難なく発動することができたのだが、光、闇に関しては明らかに使いこなせていないようだった。“身体強化”は詠唱不要だが、それ以外の光属性魔法は全くと言って発動しない。闇属性魔法も然り。


 光属性魔法と闇属性魔法の詠唱を何度も考えたのだが、全く発動しないどころか魔力を吸われるだけで何も起こらないというデメリットがあったのでダンジョンを途中で引き上げる羽目になった。


「……こんなものか?」


 再改造された“魔矢”は基本的に普通の矢と同じ外見なのだが、先端の金属の鏃には小さな穴が空けられており、細かく砕いて錬磨した“魔石”を嵌めている。計、50本以上。


 信じられないほどの集中力で作業を行い続けて大体17時から21時までで全て終わらせたのである。当然、“魔石”には限界まで魔力を込めている。


「……そういえば」


 ルリカはふと自身のステータスが気になった。“魔石”に魔力を限界まで注ぎ込むのにはそこまで時間はかからないのだが、それにしても魔力量が足りなくなることを感じたことが無かったのだ。


「【ステータスオープン】」


 

★★★★★

神崎陽太→ルリカ 男→女  

ジョブ なし

レベル10

HP 850/850

筋力 550

耐性 550

敏捷 650

魔力 1220

装備 最初の冒険装備一式

   短剣(銅製)―――Cランク

   短槍(銅製)―――Cランク

   弓(木製)―――Cランク

所持品 冒険セット(火起こし道具、非常食等)

    矢(銅製)―――Dランク×10

    “魔矢”―――Bランク×55

スキル 気配察知―――Cランク

    詠唱魔法展開―――Dランク

    火属性魔法―――Cランク

    水属性魔法―――Cランク

    風属性魔法―――Cランク

    土属性魔法―――Cランク

    光属性魔法―――Dランク

    闇属性魔法―――Dランク

    時空魔法―――Cランク

    経験値倍化(二倍)―――Dランク

    必要経験値低下(半分)―――Dランク

ユニークスキル 召喚契約(神から与えられし異能)

共通課題:この世界の謎を解き、真実の旗を掲げ、【魔王】を討て。

個人課題:この世界を一年以内に救え。

★★★★★



「ちゃっかりレベル上がってるし……」


 ルリカはスキルの経験値倍化と必要経験値低下のせいだと理解していてもこんな短期間でレベルを9も上げられるとは思っていなかった。魔法を使用し始めたばかりだというのにCランクまでスキルランクが上がっていることには驚きだが、ルリカの作成した“魔矢”がBランクだったのに一番驚いていた。


 さらにスキル欄に詠唱魔法展開というのが追加されていたが、これは魔法使用時に詠唱を行うことでイメージを強化して魔力の有無に関わらず魔法の威力が一段階強くなるという物だった。


「そろそろコイツにも手を付けないとダメなのかな?」


 ユニークスキル―――――召喚契約。


 説明欄には、異界から召喚獣を呼び出し契約することで己のパートナーとすることが可能とある。また呼び出される召喚獣は完全ランダムであり、目当ての召喚獣が呼び出されるのは極めて稀らしい。


 ユニークスキルの使い方なのだが、どうやら魔方陣を自ら刻む必要があるようだ。ここだけは魔法でもどうにもならないようだ。脳裏に浮かぶ魔方陣を描き、その中央に血を一滴垂らすことで準備は完了のようだが、ルリカは未だ踏み切れずにいた。


 召喚獣、それはこの世界において極めて特殊な位置にある。説明欄の最後に、召喚獣はこの世界における天使と同レベルの霊格と書いてあるように召喚したとしても目立ってしまうのは明白であるから。


 そんなことはどうでもいいと言わんばかりに、、“魔矢”の作成を終えて疲れ切ったルリカはベッドにダイブして眠りに落ちていく。


次回は西方ダンジョンについての話になります。

ご感想宜しくお願い致します。

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