プロローグⅣ
冬月先輩から頂いたサンドイッチを開封して、少しかじりながらパソコンに打ち込んでいく。
いつの間にかオフィスには、ほぼ人は、いなく残っているのは、これから外回りしてそのまま直帰する人ばかり。
書類整理しながら帰る準備する。
私もそのまま直帰しても今日は、問題ないなぁと思っていた。
すると、またあいつが後ろから声をかけてきた。
「夏鈴ちゃん、お疲れさま~。」
突然の声に思わずびっくりし、少し声をあげた。
「うわっ!びっくりしたぁ!もうっ!秋来じゃん…。」
「あのさ、メールの返事聞きたくてきちゃった、今日どう?夏鈴ちゃん、直帰する予定でしょ?」
正直内心チッと舌打ちした。
あまり人と関わりたくないのも本音。
「おねがいー!夏鈴さまぁー!奢るからさ?」
「つかなんで今日なの?今日じゃなくてもいいじゃない。」
「ダメなんだ、友達と一緒に会ってほしいんだけど、その友達がさ、今日しか空いてないっていうんだよー。」
「何それ、内容知らないけど私じゃなくてもいいじゃん、相手。」
「夏鈴ちゃんじゃなきゃだめなんだよ、他の人俺あんまり話した事ないしさ、親しくもないし。」
あーいえばこーいう言い訳を言って私を無理矢理誘っているのが目に見えてわかる。
親しき関係だから話せる事もある……か。
どうせ家にいても一人でまたご飯だし。
奢ってくれるっていうからたまには、いいかなと思いながらカチャカチャと機械音をさせながら作業を進めていく。
「いいよ、ただし、私外回りして直帰して着替えてからいくからお店だけ教えてよ。」
「ありがとー!きっと友達も喜ぶよ!それじゃあとでメールするね!」
肩をポンポンとかるく叩いてから秋来は、オフィスから出て行った。
パソコン作業もある程度終わり、直帰する準備をしながらサンドイッチを完食した。
今思えば、この時食事を無理矢理にでも断ればよかった。
そうしていればこんな想いは、しらずにすんだのに。
鞄の中にファイル等を入れ、ディスクを綺麗にし、タイムカードとボードに直帰とわかりやすくサインをし、オフィスを後にした。
「お先です。」
「お疲れさま~。」
重たい荷物を持ったまま静かなオフィス前の廊下を歩き、エレベーターに乗った。
流石にお昼時間だけあって、レストランの方は、人混みが溢れていた。
中には、外に外食に行っているのも何人か。
ビルの外に出れば、気持ちいい風が吹いた。
「さてと、あと、ちょっとだし、頑張るか。」
んーと背伸びをし、そのままタクシーを捕まえ、営業先の場所伝え、移動した。
いつものようにタクシーから降り、ビルに入り、受付に話を通してから責任者の方と名刺交換。
そこからうちの会社のプランの説明をし、やっと解放される。
そんなことをしたら、もう夕方になってしまうのが、日常茶飯事。
お昼なんて食べる時間さえない。
「もうこんな時間だ、早く帰って準備しなきゃ。」
そのまま営業先から近くのバス停からバスに乗り、家の近くで降りた。