プロローグ
ーーーーはるか昔、世界中の人間を巻き込んだ、血で血を洗う大戦争が起きた。人々は、当時誰もが当たり前に使っていた「魔法」の力を駆使して、憎き敵を殺すため、愛する者を守るため、戦った。たくさんの人の屍が転がり、たくさんの血が流れた。いつしか、衰弱していった世界の強国は、戦争を放棄していき、世界には、大量の屍と深い傷跡だけが残った……
ーーーー時は流れ、「魔法」は人を殺すための武器ではなく、生活を豊かにする手段として使われるようになった。火を操る魔法を使う者は、火のエネルギー源として活躍し、物を浮かせる魔法を使う者は、運搬業において多大な利益をあげた。先天的に授かった魔法の能力だけではなく、「魔道書」を使うことによって、簡単な魔法ならいくらでも覚えることができるようになった。
しかし、魔法の普及は、同時に魔法による犯罪の増加も併発させた。そのため、警察に代わる治安維持のための組織が必要になった。それが、魔道的治安維持組織『WMG』である。最高峰の魔法技術を持つこの組織は、世界のほぼ全域まで影響する巨大組織に成長した。WMGの登場によって犯罪の数は激減。世界の平和は、WMGによって守られていた。
この物語は、そんな世界の秘境の村で暮らしている青年が、仲間と共に滅びゆく世界を救う冒険譚である。