少女、絡まれる
「おい、そこの薄緑っぽいお前まて。」
うん?薄緑っぽいというのは私のことであろうか、そう思いながら依頼を見てたら横からいきなり失礼な物言いをしてきた少年を見る。
赤髪赤目の少年、12,3才くらいだろうか?かなり整った顔立ちをしている。
「それはわたしのことかな?あと私は薄緑っぽいやつじゃなくてフィアって言う
名前があるんだけど。」
「そんなのはどうでもいい、お前精霊使いらしいな喜べ俺の部下にしてやるぞ。」
「は?」
いきなりわけのわからないことを言われたので、つい間抜けな声がでてしまう。
「ははっ驚くのも無理は無い、この町で最年少でランクDになったこの
アランの部下になれるんだからな。」
オーケー分かったこういうわけの分からないやつの対処法は簡単だ。
無視すればいいから。
そういうわけで少年・・・誰だっけ?を無視して依頼を見ることにする。
「おい、無視するな!俺が誰か分かっているのか」
どうしようか、このまま無視をし続けてもいいけどそれもそれで
面倒そうだし。
「知らない。」
そう答えると少年は少し怒ったようで。
「なんだと、俺は精霊使いアラン・シードだぞ。聞いたことが無いわけが無い。」
逆切れされてしまった。というか精霊使いか・・・
精霊使いは元々私のような例外を除けば個人によって特定の系統しかつかえない
魔法使いに比べ、魔法のように魔力で術式を組み魔方陣を作ったりする必要はなく系統による属性の限定がない。それに加えて高燃費ときたものだからかなり強い。
だがこの少年は才能があったのだろう。おそらく子供のころからそれなりに
強かったせいで傲慢になっているのだろう。
さて、なんと答えようか。そもそも部下という意味が分からない。
純粋にリーダーというかなんというか、同年代の者を従えようとしているのか
パーティーに加えたいのか。それとも同じ精霊使いだから弟子にしてやるとでも
言いたいのか。
とりあえず考えても答えが出るわけでもないのでここは
無難な回答をするために頭を回す。
「あーえーっとね、私この町に着たばかりだからこのあたりのことは全くしらない けど、とりあえず部下とかそういうのにはなるつもりないから。」
「なんだと、田舎者だから俺のことを知らないのはいいとしても、Dランクで精霊 使いの俺の部下になるのを断るだと。」
うむ?どこが癪に障ったのだろうか。というかDランクってどれくらいの強さだったかな、確か
Fランク:駆け出し
Eランク:一般人より強い程度
Dランク:ここでようやく冒険者としてそれなりに稼げる人間だったはず。
ちなみに
Cランク:1流
Bランク:超1流
Aランク:英雄
Sランク:人外
だったか?Sランクは現在5人しかいないらしい。
Aランクはなんらかの依頼で大きな結果を残した・・・文字通り英雄に送られる
ランクだったはずだけど。
面倒だ、確かにあの年齢でDランクというからにはそれなりに実力者なんだろうけど、こちらからすれば面倒なだけだ。
「そもそも部下といっても何をさせたいのか、パーティーに入ってもらいたいのか
それとも単に雑用でもさせたいのか。まぁどちらにしてもお断りですが」
「部下といったら俺の下に着くことに決まってるだろう。それに断るというなら
決闘で決めようじゃないか。」
「却下。」
「な、ふざけるなお前には誇りはないのか」
「ない。」
もう面倒になってきた。確か決闘は双方同意の上でないと成立しない。
とりあえず適当にいなして依頼を受けよう。
「ふふふふふ、ならこうしようじゃないか俺は今もっている有り金全て賭ける。
そのかわりお前がまけたら俺の言いなりになれ。」
ふむ、悪い話じゃないかでも部下から言いなりに変わったあたりが問題だな
まぁ相手の賭け金次第かな。
「で、その有り金は全部でいくらになるのかな?」
「金貨40枚と銀貨56枚だな、まぁ万が一にも俺が負けることなんて
ありえないがな。」
悪くない条件だ
「いいよ、その勝負乗った」
そうして受付に条件を提示して決闘に関する書類をもらう
「な・・・なにしてるんですか!!」
受付のお姉さんがいきなり大声をだしてくる。
「問題でもあった?」
そう聞くと、あきれたような顔をして
「彼はDランクですがあの問題行動がなければCランクに届くほど実力があります
そのうえ言いなりになるなんて奴隷にされても文句言えませんよ。」
「別に構わないわ、負ける可能性なんて考え付かないもの」
そういうと受付のお姉さんはあきらめたようで書類を通してくれた。
それにああいうのは一回徹底的に叩き潰すのが一番いい気がするし。