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第二章03 退学



どうにか泣き止んだミレイを連れて戻るアリス達三人。

ミレイをいつもの元気な表情に戻って一校舎内を見て目を輝かしている。

しかし、一難去って一難。

アリス達の前に3人の男が現れる。

「よお、エンド組」

アリス達に何時もちょっかいを掛けてくる集団だ。

リーダーの男が侮蔑する目でアリス達を見る。

「よかったな」

「な、なにがよ」

「ここがガレウスじゃなくてさ」

「?」

「頭までバカなエンドの奴らにはわからないか」

「バカなやつらだ」

「バカのお前たちには言い回しを使うことはできないのか。不便だが寛大な俺たちが親切に説明してやろう」

「北のガレウス国は、圧倒的なまでの実力主義で有名だ」

「だから、お前らのような不滅士でもない奴らは人間としても最底辺なんだよ」

北の国ガレウスは、エルステインと違い実力主義なため王族や貴族と言ったものはいない。

一番強い者が上に立つ。それが王道だと考えているからだ。

現に、実力主義のためにエルステインの不滅士よりもガレウス国の方が不滅士の質は断然上だ。


「私たちは不滅士です」

「あぁ? ランクもない奴らがよくいうぜ」

「それにお前たちはどうせ退学だろ? 教官にも享受してもらえないお前たちじゃならな」

「ははは、言えてる」

「……教えてもらっている」

「は? お前らみたいなのが?」

「いやいや、どうせエンド組を受け持つぐらいだ。その教官も屑なんだろう」

「屑だ、屑」



「屑なんかじゃない!」

好き放題言う三人にアリスが怒鳴る。

「教官はずっと優秀です」

「は? お前らみたいなのに優秀な人間が付くわけないだろ。それは俺たちみたいな選ばれた上位校舎の人間に付くのが当たり前なんだよ」

「私たちの教官は、ファーストなんです」


「「「ぷっ、はははは」」」

三人は一斉に噴き出す。

「嘘もやすみやすみ言え」

「明らかな嘘はウザいだけだ」

「嘘なんかじゃない」

「それにファーストは空席だぜ、前ファーストは怪我で前線復帰が望めないから」

男の言う情報は嘘ではない。でも、それは何重にも掛けられた情報規制による間違った情報だ。

「アリちーは嘘はついてない。それに、お前らの教官よりクロちゃんの方が優秀だもん」


ミレイの言葉は三人の逆鱗に触れる。

「てめぇ、よくも俺たちの教官を」

「そうだぞ。俺たちの教官はAランクなんだぞ」

「ゆるせねぇ」

三人の一人がいきなり腰のホルスターから銃を抜き取り、一切の迷いも見せずにミレイに向けて引き金を引いた。


刻一刻と迫る霊力弾に目を見開くミレイは一歩も動くことが出来なかった。


しかし、霊力弾はミレイに届くことはなかった。


ミレイの前に現れた黄色の霊力障壁に阻まれたからだ。

次いで、一喝する声が響く。

「何をしているんですか」

「全員そこを動くな」


現れたのは現生徒会役員達だった。

その迫力に誰もが其処を動けずにいた。

否、動くことを許さない。現生徒会長ルイーゼ・エルステインの第二能力で完全に行動の自由を奪われたからだ。

「如何なる理由があろうと訓練場以外の校内でも武器デバイスの使用は禁止です。それは半年以上も通っていれば誰でも知っていることでしょう」

「本当にめんどーなことはゴメンなんだけどな」

「コラッ、ステイル。生徒会役員に有るまじき発言はしないでください」

「へいへい生徒会殿。で、お前たちどこの班だ」


口すらも動かせなかったのに急に動かせるようになる。

「第二校舎、ビオス教官の班です」

「だ、第一二校舎、ファングズ教官の班です」

流石生徒会役員と言うことか一二校舎だと言っても侮蔑の視線に変えることもなった。

しかし、クロードが教官だと言うことを言うとルイーゼの目が少し見開かれた。


「そうですか。原因は何でしょう」

「こいつらが、俺たちに教官を侮辱したんです」

「それはあなた達が,むぐっ」

「あなた達の発言は後です」

ルイーゼの第二能力で再び口が動かせなくなる。


「優秀な僕たちを僻んでちょっかいを出して来たんです。そして、自分たちの教官はファーストだとか子供でも分かる嘘を吐いた揚句、僕たちの教官の方が劣っているというんです。僕らのことは何を言われても我慢しますが教官のことを侮辱されれば怒ります」

「あなたの言い分はわかりました」

「つぎはあなた達です」

「こいつら言ってるのは逆です」

「そ、そうなんです」

「……私たちは被害者です」

「こいつらがクロちゃんのことをバカにするし、私達のこともバカだって言うんです」


ルイーゼは二組の意見を聞き頷く。

「平行線ですね。どちらの言い分が正しいのかは私にはわかりません。ですが、どちらが悪いかと言えば武器を抜いたほうです」

「だな。取り敢えずお前たちは減点だ。嬢ちゃんたちもだがな」

「えっ」

「そらそうだろう」

「私たちは被害者で何もしてないて言ってるじゃん。もしかして、私たちがエンド組だからですか? 才能がないからさっさとやめろってことですか? 私達ほとんどポイントもってないんです」

「それは違います」

「なら」

「喧嘩両成敗です。それに一二校舎だからって才能がないとは私は微塵も思っていません」

「うそだ」

「嘘ではありません。私には兄がいました。しかし、適正は最底辺と言う結果が出たのです。そのせいで兄は当時の最低校舎に居ました。多くの王族や貴族から罵倒され、見下されていましたが、いい仲間に出会え、努力してAランクまで上がりました」

ルイーゼはアリス達を見る。

「あなた方は、この時期まで登校しています。やめる人が多い中、なら辞めたくない、それ相応の理由があるはずです。あなたの理由は才能がないと言われて諦めきれるものなのですか?」

諭すような目でルイーゼはミレイに問う。

「いえ、私はあきらめない」

「そうですか。では、処分を発表します。処分は


ルイーゼの声は乱入者によって遮られる。

「なんだこの人だかり? おっ、アリス何やってんだこんなところで」

それは話し合いが終わって校舎に向かっていたクロードのものだった。





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