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プロローグ

暗い森の中、一部大きく開けたところがある。不意にそこで激しい閃光が辺りを満たした。

光は次第に明るさを失い、闇がその場を覆い尽くす。

耳障りな金属音を鳴らし光の線を導くような軌跡は同じく反対側から来た光とぶつかり火花を散らした。


月を遮る雲はゆっくりと通りすぎ、辺りを月光が照らした。

大きく抉れて、焼け焦げた地面。辺りには数分前まで大樹であった木が枯れ木と化してその場に居座っている。


その場で相対する二人はお互いに満身創痍で相手を殺すためだけに立っていた。

片方は黒髪赤目の少女で左手に銃剣を握っている。もう片方は少年で白黒の髪に同じく真っ赤な瞳で右手にこれまた同じく銃剣を握っていた。


二人は同時に動くとその離れていた距離を急激に詰めて、もう何度目かになる斬撃をぶつけ合う。


まだまだ続くと思われた戦いは急な幕切れで終わりを告げた。

同時に振り上げたと思われた銃剣を少女は途中で急停止させ、少年の斬撃をもろにくらうかたちになった。


少女は力なく崩れる。少年は一瞬唖然としたが、すぐに我に返って少女に駆け寄った。


ゆっくりと少女を抱き起す。

少女の目はすべてを焼き尽くすような紅い瞳から、吸い寄せられるような綺麗な黒い瞳になっていた。


少年が二三言葉を言うと、少女は少し微笑んで二三言葉を贈った。

少女はゆっくりと瞼を閉じて息を引き取るとガラスが砕けるような音と共にその場から何も残さず消えて行く。

ぽつりと少年の頭に滴が落ちた。

少年が顔を上げる。

一つ、また一つと滴は少年の顔に落ちて頬を伝う。


本格的に降り始めた雨が少年の涙と共に流れる中で、遠くから大勢の声が聞こえる。騒ぎを聞きつけて駆け付けた救助隊だろう。

しかし、少年はそんなことなど気づかずに己の中にある感情を曝け出すように声が出なくなるまで大声で叫び続けた。







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