対決!(3)
ペネンリックスは何回目か記憶していないが、突撃をしながら周りの様子を伺う。
(…絶対にブレスを吐かせてはいけないわ、接近戦を続けることが…唯一の活路よ…ペンペン君!貴方しか…この方法は出来ないの…。)
アージュさんが指示した作戦、それは無謀以外のなにものでもなかった…しかしそれが極めて的をいた選択であることは今の自分が一番よくわかる。
ここまで丈夫だとは思わなかった…”耐久力”のアビリティは物理攻撃には信じられないほど強い…痛いけど。ただし、耐火のアビリティではないので、炎には耐えきれないと予想された。事実、王都でドラゴンに焼かれたときにはかなり火傷をしたし、ドラゴンも本気でないといっていた。
剣でドラゴンの鼻先を打ち付ける!ドラゴンは正気を失っているので攻撃は当たるのだが、次の瞬間にカウンターが飛んでくる。ペネンリックスに避ける技量はない。また吹き飛ばされた。
しかし、今のでかなりアージュさんが尻尾に注意しながらドラゴンの背後すぐ間際まで近づけた!マリアが合間に衝撃波で攻撃してアージュさんに気が付かないように気を引いている。慣れるって怖い…吹き飛ばされるのに慣れてしまって壁に着地できてしまった…。
直ぐにドラゴンに向かうと、ドラゴンはこちらを向いていた…いいぞ!そのときアージュさんがドラゴンの背後に飛び乗りドラゴンはアージュさんの方を向いた!
ヤバイ!
ドラゴンの喉が膨らんでいる!
ブレスだ!
ペネンリックスは剣も盾も放り出して向かう!
ドラゴンが上を向き口から炎がこ溺れる!
ジャンプして首に組みつく!
ドラゴンは前足で蹴りはがそうとする!
嫌だ!アージュさんの方を向かせはしない!
それでもドラゴンの足の方が力が強い!
蹴りはがされそのまま踏まれて動けなくなる!
ドラゴンはこちらを向いた!
真っ赤な炎が向かってくる!
アージュさんの詠唱が聞こえてくる!
…頑張ったかな?
…これでクライチェクさんが元の姿に戻れればアージュさんは幸せになれる。
…そうかな?
…自分は死んで不幸?それをアージュさんが喜ぶ?
…違うよね?
…誰も幸せになれないよ。
…ミスったかな?
…もし、生き残ったら…どんなことにも耐えよう!
…全てのことに耐えよう…ドラゴンの蹴りさえも耐えよう…アージュさんに失恋することも…。
ペネンリックスは視界が真っ暗になって…、そして…。