初クエストはドラゴン退治…のウソ(2)
カタカタと車輪の音が途切れなく聞こえてペネンリックスは眠くなってしまった。しかし、御者をしている以上は寝るのは許されない…当たり前だが。この2頭だての馬車はパーティー専用で中で仮眠もできる優れものだ。流石に王女様がいるので普通ではあり得ない豪華な馬車だ。
今、ペネンリックス達パーティーは依頼のあった村に向かっている。その村は馬車で数日の距離にある。
それにしても仰々しいよなあとペネンリックスは前方を見た。王国騎士が20騎士前方にいる、後方にも20騎、あとペネンリックス達の乗っている馬車のすぐ後ろに騎士の荷馬車が走っている。総勢で50名近くの護衛がついているのだ。
「…護衛付きの冒険者ってなんだな〜。」
ともかく待遇はいいので文句はいえない。騎士の訓練に参加させてもらったりなどかなり嬉しこともある。
「…私、ドラゴン嫌いなのよね。昔さあパーティー全滅して…」
アージュさんの声だ。暇なので後ろで話をしている女性陣の会話に聞き耳を立てる。
「今回は大丈夫、絶対偽物よね。」
マリアの声が聞こえた…これはアージュさんを気遣っての言葉だろう。
今回の依頼はドラゴン絡みなので冒険者ギルドではなく、王国に直接
討伐依頼が来た。王国のものが調べてみると、どうもおかしい。皆がいうドラゴンの大きさや色が違っていたり、被害がほとんど出ていないなど、疑わしきところが多く出てきたのだ。
「なんにしろ、本物でも偽物でも私が退治したことになるからよろしくね。」
ウリエル様は本物の王女様で、非常に命令好きだ。従われるのに慣れているという感じである。
偽物なら問題ないんだけど…本物だったらどうすんだろ?
「本物だったら戦力これじゃ足りないんじゃない?」
アージュさんが自分の言いたかったことを言ってくれた。
「ちゃんとアビリティ持ちと紋様術師も用意してあるから安心なさい。でもできればやっぱり私が倒したいわ!」
「…フォーメーションを確認しましょ。ペンペン君と私が防御、ウリーが相手の動きを止めて、マリアの衝撃波で攻撃、どう?」
「私も衝撃波出せるわよ、攻撃させなさい!」
「専門のマリアよりはるかに弱いジャない?まず守りよ!」
アージュさんはやっぱり戦い方をよく知っているようだ。
「それでも、私が攻撃なの!命令よ!」
…ワガママというより、子供のだだのような気がする。
なんにしろ大変なクエストになりそうだ…。