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耐えながらの旅立ち(1)

読んで頂いた方、感謝・感謝です。

ペネンリックスが自分の名前だ。自分でも言いづらい名前だと思う。今までは大抵、愛称としてペネンと呼んでもらえていた…ここにくるまでは。今、自分は多種多様な亜人種の住まう”アートフィル”の世界では珍しく人間が支配している土地が多い大陸タダルにあるの国々の中の1つ、ルフィル王国の王都フィルガードにいる。自分は一応、冒険者の集うパーティーハウスの一つ”石の上にも三十年”の冒険者だ。栗色の髪で目立たない茶色の瞳をしている何処にでもいる普通の男だ。特徴が無いのが特徴というのはやや自慢出来ない。少々気が弱いところあるのは生まれつきだろう仕方が無い。

自分はこのフィルガードで念願の冒険者になったはずだった…。なんのコネもなく田舎を飛び出て来た自分に入れてもらえる冒険者パーティーハウスがあって、大喜びしたのは約1年前の話だ…。

「…なあペンペン、聞こえなかったから、もーーーう一度言っててくれないかあ?」

ここのハウスで世話係をしているスルトさんが大きな声で問いかけて来た。怒りを隠さない程度に隠している(?)、そんな声だ。

「…えっと、…だから、…アビリティを…もらっちゃったかなーなんて(おべっか笑付き)。」

何故か怒りをインクリメントしてしまったようで、胸ぐらをつかまれた。

「はー?このアビリティ嫌いが集まるパーティーハウスの一員のくせにかー!!」

…言われると思った、だから夕べは言い出せなかったのにと思う。今日は新年を祝う祭りの翌日だ。ペネンリックスは夕べ神様らしきものから力をもらった事をようやく言えそうな雰囲気を見つけて相談したのだが…。

「ふん、で、アビリティはどんなんだ?」

「それが、よくわからなくて…」

「ハッヤッパリ!、夢でも見たんだろう!人騒がせな!」

「でも、左手にあった紋様陣が消えてるんです、使っても無いのに。」

紋様陣は紋様術師が描く奇跡の力を秘めたものである。それをカードに書いてもらい買っておく。必要なときにそのカードを直接使ってもいいし、素早く使う事ができたりするように身体へ写す”実装”という事もできる。先日、パーティーハウス”石の上にも三十年”亭の冒険者総出のクエストで連れて行ってもらったときに”軽治癒(通称ヒール1)”を貰って左手に実装していたものが残っていたのだ。この紋様陣はSCM…モンスターや過去の遺跡に行くと得られる万能の力…をためないと扱う事が出来ないので最近やっと実装できるようになったばかりだった。

この紋様陣は大変便利ではあるが、アビリティ持ちは”紋様陣の実装”が出来ないのはよく知られている、…アビリティの源、神の印が身体に描かれているらしいのだがそれが紋様陣を弾いてしまうらしい。

「高い金だしてやったのに無駄にしやがって、自慢してんじゃねーーー!」

突き飛ばされ転がった。

まわりの皆にスタンプ天国!とか、裏切り者とか、ラブパワー注入♡とか、言われて踏まれまくった、…もう慣れてしまった自分が怖い。

ここに来て毎日こんな事の繰り返しだ、なんの取り柄もない自分は、日々雑用係兼裏方で1年のほとんどを過ごして来た。倒したモンスターは全部でゴブリン3匹、冒険者の生命線であるSCMも紋様陣が1回使用出来るくらいしか溜まっていない。先輩達のストレス発散用に稽古という名のサンドバックになる事も少なくない(ただし、強い冒険者になる為に嫌がった事はない)。

「やめい!」

スルトさんよりシブくて大きな声が響き渡った、パーティーマスターのグラングルドさんがこっちに歩み寄ってくる。熊のような大男のグラングルドさんが近づくと…正直それだけで怖い。

自分を立ち上がらせてから、こちらの顔を覗き込むように身体をかがめて、

「今日でクビだ…、皆に挨拶をしてから荷物をまとめて裏に来い。」

そういうと、グラングルドさんは奥に戻った。そうなる事は予想していたがすぐとは…、

言われた通りにして裏に向かうと、盾を手に持ったグラングルドさんが待っていた。何も言わずに歩き出したのでついて行く事にした…。



まだ前作の推敲中なんですが、…皆さんペンペン君をよろしくお願いします。

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