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脳内計算  作者: 西山ありさ
その後の短編+番外編
81/126

那津-眼鏡=?

ここから短編です。

完全ノープラン、gdgd書きですがよければ読んでみて下さい。




「…要するにさ、その眼鏡、はずしてみればいいんだよ!」

「…………は?」



なにが、要するに?



――――

―――

――




某月某日、いつかの日曜日。

天気、快晴。


私はいつもの4人の男前と一緒に近所の公園にいた。

―と、いうのも、今日は一日中寝る日と心に決めていたのに、デリカシーの欠如したヤツらに無理矢理起こされたからだ。


…おかげで只今、絶賛不機嫌中。

……休日なのに、外に出るとか面倒くせぇ。

なんで特に用もないのに遊びたがるんだ、こいつらは。


ナチュラルに舌打ちをかますと、突然、私を見つめていた水谷が、冒頭の寝言を言ってきた。



「…ちょ、寝言じゃないって。真剣、真剣。」

「…地の文にまでつっこんでくんな。大体、サブキャラの君の発言で物語が進行するとか、認めないからね。私。」

「ひっど!一応レギュラーなのにぃ!」


ギャーギャーと大げさに叫ぶ水谷に耳を塞ぐ私。

…あー、うぜぇ。声でけぇ。日曜日のコイツのテンション、酷い。


ついてけないし。…ついて行く気もないが。


チッと、新たに舌打ちをすると、他の人たちも、横から話に入ってきた。



「……でも、作者もこんな人数増やすんじゃなかったとか言ってましたよ。」

「えっ!?圭、ナニその裏情報!何で知ってんの?」

「さあ?何ででしょう?」

「ま、でも計画性のない作者だからね。仕方ないよ。」

「え。」

「事業仕分けされるとしたら、間違いなく信二から、だよな。」

「え、え。」

「いままで、おつかれ。」



最後に3人が口を揃えて言う。



「…!か、勝手に消すなあぁあ!!」



水谷の悲痛な叫びは、青空に吸い込まれ、消えていった。



――



「…ま、それはともかくとして。」


斎藤は廃人と化した水谷を放置し、爽やかに会話を続けた。


……って、いいのか?後ろのアレ、放置しても。

なんかもう人間じゃないよ?黒いカゲみたい、だよ?


………。


――ま、いいか。どうせ水谷がいてもいなくても、変わんないし(酷)

そう早々と結論をつけた私は何?と斎藤に先を促した。


「……ナツちゃん、信二の言うとおり、メガネとってみれば?」


…おい、斎藤。お前まで、何言い出すんだよ。


「……何で。」

「ほら、コンタクトで可愛くなるって、王道パターンじゃない?暗さも取れると思うよ?若干。」


いや、どこ情報だよ、ソレ。何の根拠があってその統計?


「カワイクなれば、ちょっとは女子からの攻撃が減るんじゃないですか?」


と、乾も言う。

……そんなこと言われても。私、一般の少女マンガヒロインとは175°くらいズレてるからなあ…。

そんなミラクル、ナイでしょ。普通に。


「…別に、興味ない。眼鏡のままで十分。」


コンタクトなんて、と不必要をアピールし呆れたように肩を落としてやる。

すると、さっきまで黙っていた国崎も会話に入って来た。


「散々女どもにバッシングされてて、よく言うな。印象も変わるし一遍やってみりゃいいじゃん。」


は?君までもノリ気?何故?


「……つーか、俺が見たいし。」


…それか、理由は。てか、絶対楽しんでるだろ、君。顔が半笑いなんだけど。


「…だからー、いらないって。コンタクトなんて、絶対ヤダ。」


しかし激しいオファーに、私は断固拒否する。

……いや、今回だけは拒否せねば!


「何で?」

「着脱が面倒。」

「付けたこと、ないクセに?」

「……高いし。」

「あ、4人で買いますよ、それくらい。」


ねえ、と乾が言うと男たちはニヤニヤしながら頷いた。

…そこまでするか?フツー。


「いいじゃないの、お試しなんだし。上手くいったら、メリットあるでしょ?」

「買いにいきましょうよ。近くに店もありますから。」

「…………。」


嬉々として色々と提案してくる男たちに、私は無言で後ろに後ずさった。


……ヤバい。激しくヤバい。

いつもそうだけど、結局コイツらに流されるパターンだよね、これ。

でも、今回だけは……っ!マジ勘弁―――!


私はじりじりと後退をし、男たちと距離をとった。

――しかし。


「おっと逃げない、逃げない。」

「――!」


後ろに下がっていると、斎藤の広い胸にぶつかった。肩に手が置かれ、動けない。


……っ、くそ。邪魔すんなこのアホがっ!

私が後ろの斎藤を見て、目だけで悪態をついていると、


「…ったく、那津って都合悪くなるとすぐ逃げるよな。」


今度はベンチに座っていた国崎が、私を抱き上げ自分のヒザの上に乗せた。


………あー、あれだ。あぐらかいた父親の間に座る息子みたいな感じ。

とにかく、腰辺りでヤツの腕が巻きつき、逃げ場は完全に無くなった。


「…だーっもう!いいから離せってぇ!」


私は顔面蒼白になりながらも、子供のように足をジタバタさせた。


「ダメ。…つか、何でそんなに嫌がるんだよ。」


国崎は、精一杯の抵抗を全く気にせず、至近距離で私を覗き込む。


「……………。」

「もしかして、怖い、とか?」

「……………。」

「まさか、ナツちゃんに限ってそんなことあるワケないよな?」


ニヤリと笑みを浮かべ、やっすい挑発してきやがる国崎。

私はしばらく無言の圧力をかけていたが、何か言えよ、と国崎にせっつかれ、


「……ったら………か………………」


ぼそりと、呟く。


「は?」


…………あーもうダメだ。

私はせめてもの抵抗に、キッと国崎を睨んだ。



「怖かったら…っ悪いか!」



…恥。恥だーーーーっ!!!






「っだーーっはっはっはっはっ!!マージでー!!?」


…案の定、全員に大笑いされた。

いつの間にか、水谷まで復活してるし。うざ。


私は顔を赤く染め、国崎の膝の上で縮こまるように俯いた。

……あー、赤っ恥。だから言いたくなかったんだってば。クソ野郎どもが。


「ナツちゃん、かーわいー。いまどきコンタクト入れるの怖がる大学生って。」

「う、うるさいっ!あんな半透明の異物、目の中になんか入れられるか!!」

「うわ。人類の進歩を異物言ったよ、この人。」

「…そういや、圭はコンタクト作ったよな?どんな感じだったか教えてやれよ。」

「そうですね。でも初めて入れた時は慣れなくて……

目がえぐれるかと思いましたよ。」


――!!


途端、戦慄が走り私は顔をこわばらせる。

…え、えぐれるって!!

頭の中を、グロテスクな想像が駆け巡った。


「…!いーやーだーっ!やっぱ帰るぅーー!!」

「冗談だって。落ちつけよ。」


爆笑しながら、4人は暴れる私をたしなめた。

…こいつらどこまでSなんだよー!!怖ぇよ。もうなんか、色々と怖ぇよー!




―――

――




「…じゃ、ナッちゃん。ここで待ってるからサクサク作ってきな~」

「………。」


――場面は変わり、今、私はコンタクト屋……というか眼科と眼鏡屋がくっついたような店の前にいる。


…ま、抵抗空しくムリヤリ引き摺られてきたわけだ。予想通りにね。

はあ………やっぱり、結局こうなったか。


「……ホントに入るの?」


最後の確認のように私は背後の4人を振り返る。

すると


「何を今更。」

「行ってらー。お金は後で払ってあげるから。」

「別に、そう大したことないですよ。」

「頑張ってね。」


彼らはそれぞれ適当な激励を送ってくれた。

本当に、相当手を抜いたカンジの。


……………はは。あはははは。

―もう、君ら死んでくれないかな。


何、そのニヤけた顔。

こっちはガクブルだっての。嫌な汗が止まんないのっ!悪いかっ、畜生!


彼らを睨みつけながら、店の一歩手前で止まったままの私。


…入るしかないんだけど、勇気が出ないというか、決心がつかないというか………

つーか、私は承諾してないんだけど、何で自分の為でもないのにこんな高価な買い物しないといけな…

「さっさと入れよ。邪魔。」

「だ、わあああっ!?」


ウィーン。


ついに地の文まで遮ってくれた国崎の容赦ないヒトコト、そして背中を押されたことによって店内に(強制的に)入った。


「いらっしゃいませー♪」


途端に聞こえる、店員の美声。


……おねーさん?

もう、貴女の笑顔すら悪意あるように見えちゃうよ。

私、結構な重症じゃない?このボロボロのハートは修復不可能かも。


……あぁ、もういいよ………さっさと逝ってくるか………

私は足取りも重く、ふらつきながら店内奥まで案内された。





――



那津を待つ間、4人は近くのコンビニの前で待機中だ。

それぞれ思い思いのことをしていたら、ふいに水谷はコーラをグビグビ飲みながら隣の男に話しかけた。


「…なぁ、聖悟。どんなんになると思う?」

「あ?何が?」

「眼鏡とったナッちゃんに決まってんじゃん。そういえば見たことねぇし。」

「ひょっとしたら大変身とかあるかもしれませんよ?」

「ナツちゃん、黒縁だからね~。あんま目ぇ付近は隠れてて見えないし。」


乾、斎藤と次々と彼の考えに便乗するが、


「……無いだろ、そんな漫画みたいなこと。大体、眼鏡がないくらいでそこまで変わらねぇよ。」


国崎は苦笑して答えた。


「えーそうかあ?じゃ、何でノったの、このハナシ。」

「え、だって」


国崎は振りむいた。



「―楽しいだろ?見てて。取り乱す那津見るの、興奮するんだよな。」



ニッコリ。


「…………」

「(ドS……)」

「(ドSだ……!)」


3人の心がひとつになった。


「ん?どした?」

「…や、何でも無いっす。ハイ。」


乾いた笑いの3人を不思議そうに見る悪魔。

『えー分かんないか?』と続けようとする国崎に、斎藤が慌てて口を開いた。

――とりあえず収拾つけとこう。


「……ま、まあそうかもね。そんなこと簡単に起こるわけないよね、実際。」







「……私もそう思うけど?」







女性の声が、ふいに聞こえた。

4人は声のした方に同時に振り向き、


「え、」

「は?」

「な、」

「………」


――全員、呆けた顔を作った。


……彼らの目線の先には、本城那津が普段通りの表情で立っていた。

普段の、覇気のない彼女らしい顔。

――ただ、眼鏡をかけていないという点以外は。


「……な、なにさ、一体。」


当の本人はいきなりフリーズした彼らに、ビクッと肩を震わせる。


――え、何そのアホらしい顔。どうした。イケメンが台無しなんだけど、君ら。

…んー、そんなに変かなー、裸眼の私。


「……いや、何っていうか……」

「…すごい、変わったね?ナツちゃん。」


しばらくして、ようやく水谷と斎藤がぼそぼそと話した。しかし、何故か私と視線を合わそうとしない。

…なんか、よそよそしくね?まぁいいけど。


彼らのリアクションが掴めないまま、私は腕を組んでショーウィンドウ越しの自分のカオを覗き見た。


「えー、そうかぁ?あんま変わってないと思うんだけど。…あ、てか乾!コンタクト全然痛くなかったよっ!」


そういえば店内でちょっとした恥をかいたことを思い出して、騙しやがったな、とばかりに噛みつくと、


「……ん?信じてたんですか?あの話。」


あー、スミマセン。と、彼は事も無げに言って下さった。



………おい。なんぞそれ。

あまりにも自然に言われたんで開いた口が塞がらねぇよ。どうしようお頭。


うなだれる私。そして、


「…君、今回酷くない?」


…そう呟くので精一杯だった。



………ああ、信じてましたよっ!

悪い!?網膜に入れた瞬間ビクッとなりましたけど、何か!?(自棄)






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