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脳内計算  作者: 西山ありさ
本編
16/126

in居酒屋

前回までのあらすじー♪


主人公、地味メガネの本城那津は、3人のギャル子のカモにされ、合コンに連行されました。


ムカついた那津は、それをブチ壊すために、ご自慢の面白い『キャラ』で大暴れ!!


結局、その合コンはご破算となりましたが、

何故か相手のイケメンたちに気に入られ、攻められたり、追いかけられたり、すったもんだしました。


平穏を望む那津は抵抗し、拒否し続けましたが、

イケメンの内の1人、国崎にまんまと騙され、

ついに、晴れて彼らとお友達になることになりました☆


あらすじ おしまい☆



……わー。何て下らない展開。

ベタすぎて誰もウケないって。


しかも、主人公が私とか。

ハハ……日本もここまで腐ったか。



「おい、いつまでも現実逃避してねぇで、戻ってこい。」

「……うるさい。逃避くらいさせろや。」







「那津?」

「………。」

「なーつー?」

「………。」

「黙ってないで、何か言おうか。」

「………。」


……ピッ。


『……なら、今すぐ君らとオトモダチ』「っわーーー!!分かった!分かったから、止めろ!!」


慌てて遮ると国崎の野郎はにんまりと笑った。

…やっぱり魔王だろ、君。


――今、私は国崎の車の中にいる。

前回と同じく運転席に国崎、助手席に私。…もちろん、例の居酒屋に向かうためだ。


不本意だが、ひっっじょーに、不本意だが!

私は、彼ら4人の友人となってしまったらしい。

しかも、ご丁寧にも先ほどの会話はすべて録音済み。

…言質も取られたか……ハァ。


「そんな落ち込むなって。別にカノジョになれって言ってるわけじゃねーんだし。」

「……トモダチでもなりたい子たちが、どんだけいると思ってんの。」

「さぁ?10ダースくらい?」


この野郎、人事だと思って気楽に笑いやがって。120人程度で済むワケねぇだろ。

各ファンが集まったら、もの凄いことになるに決まってる。


「ま、いざとなれば、俺が脅しにかかるから、大丈夫だって。」

「…脅し、ね。」


確かに国崎が本気で怒ると、怖そう。きっとニコニコと仮面をかぶったまま、追い詰めていくんだろうな…女子を。恐ろしい。


「もうすぐ着く。あいつらは先に席で待ってるって。」

「はあ…」

「これ見よがしにため息つくなよ。」

「つかずにいられるかよ。超憂鬱なんだけど。」

「あっそ。ま、頑張れ。」


彼はそのまま前を向き、アクセルを踏んだ。


…返事、軽いぞ国崎。この胸の痛みはどこにぶつけりゃいいのやら。

今日はヤケ酒コースかな………。






「着いたぞ、ここだ。」


黒い車が駐車場に停まる。どうやら到着したらしい。

私たちは車から降りて、アットホームな感じの居酒屋ののれんをくぐった。


「お、来たね。」

「やっほー、ナッちゃん。」

「奥の席どうぞ。」


店に入るなり、私と国崎を出迎えるイケメン's。

…にぎやかだね、ちくしょう。

私は促されるまま1番奥の座席に座った。国崎はその隣だ。


「あ、那津は説得してきたから。よろしくしてやって。」

「さっすが聖悟!」

「へー!どんな手使ったの?」

「んー、秘密。」

「教えて下さいよ。」


楽しく笑いあう4人を尻目に、私は無言を貫き、壁に目を向けていた。

――石だ、私は石なんだ。だから、おかまいなく。


「…よっしゃ、じゃ、腹ぁ割って話そうじゃねぇか!」


何を。


「とりあえず、生ビール、頼みますか?」


乾のスルー技術はなかなかのものだと思う。


「あれ?ナッちゃん、お酒ダメじゃなかったっけ?」

「………」


ちら、と国崎を見ると、ヤツはニヤリと笑いながら例の録音機のボタンに手をかけて…

…って、ダメッ!それ!


「…っ。れ、例のじいちゃんの教えは実在するが、私は去年から飲んでるから平気!」


慌てて早口で言う私。ったく、イヤな弱みを握られちまったぜ……。


「ダメじゃん、それ。」

「大体飲み会とかで、『私、飲めません。』とか、白けるだろ絶対。」

「は、言えてる。」


4人は同感、といった風にニヤッと笑った。





――グダグダと話していると家に店員が来たので、オーダーした。

…うーんお姉さん、顔赤いね。そして私に向かって『え?』って顔するの、やめてね。よかったら代わってくれてもいいよ?


「じゃ、カンパーイ!!」


ガチンッと、ジョッキをかち当てる音。そのまま、全員ぐいっと一口飲んだ。

…あーうめ。ビール飲むの、久々だなぁ。

私はいくらか気分をよくして、白い泡を飲み込んだ。


その後、ぞくぞくと届く料理たち。

適当に枝豆などをつまんでいると、サラダを山盛りに盛っている斎藤が(オモムロ)に話しかけて来た。


「…ね、自己紹介とか、いる?」

「え、合コンで言ったじゃんか。」

「那津は、何1つ聞いちゃいねぇよ。」

「うわー、酷っ!ホントに俺らに興味無いんだ!!」


…悪かったな。その件に関してはすげぇ後悔してるから、触れるなよ。

私はまた一口ビールを流し込むと、バツが悪そうに視線を下げた。


「…別に、いいよ。顔と名前覚えときゃ、いいでしょ。」

「ダメだって。せっかくムリに友達になったんだから!」


…ムリに、ねぇ。


――そして、何だか知らんが、自己紹介をし始めた男たち。


…ああ、うん。一応聞いてるから、大丈夫だって。

だからそんな何回も聞き返してくんな。ウザいから。



「……斎藤 宏樹。19歳ね。今は、彼女より彼氏が欲しいかなあ。」


そして、斎藤 宏樹のターン。今日もキマッてる黒髪の彼は、そう言った。


…って、

……………は?

ちょっと、待て。聞き流すところだった。何か引っかかったぞ。


「……彼氏?」


ま  さ  か  。



「ああ、俺、バイだから。」



斎藤は至極簡単に、あっさりとした口調で答えて下さった。途端に空気が凍った気がした。

…主に、私周辺の。

ま、まさかのリアルBLが身近に!?しかも、こんな爽やかな男前が!!?


「冗談、だよね?」

「んーん、マジマジ。」

「…彼氏とか、作ったことあるんだ?」

「詳細に聞きたい?」

「や、遠慮しときます。」

「そ?あ、でも女の子でも全然OKだから。」


二コリと笑って手を振る、斎藤。…フォローになってねぇよ。


「…ククッ。驚いたろー?ナッちゃん。俺らも聞かされた時は、本気で貞操の心配したよなー。」

「聖悟なんか、一時期、本気で狙われましたし。」

「え、マジで!?」

「…食いつくな。今は、何でもねぇから。」


…昔は、あったんだ?

その昔を想像し、少し哀れみの視線を送ってやると小突かれた。いて。


――しかし、斎藤がまさかのホモ…いや、バイか。

BLとか別に偏見は無いが……意外すぎるわ。世の中は広いなあ。


「あ、でもさ、それ女子に言えば?『俺、男にしか興味無いんで』とか。」

「言って、聞くと思う?」

「…なるほど。」


イケメンも苦労しているようだ。



「…いやーしかし、聖悟もよく落としたよね。こんな頑固な子を。」


空になったジョッキにビールを並々と注ぎながら、斎藤がケラケラ笑う。

落としたとか、人聞き悪いこと言うな。頑固で悪かったね。


「別に大したことはしてねぇよ。何か自爆してくれただけだし。」

「は、よく言うわ。思いっきりハメたくせに。国崎いつか殺す。」

「ハハハ。」


笑い転げる水谷、傍観しながらひたすら食べている斎藤、時々助け舟を出す乾、そして、睨みあう私と国崎。

――居酒屋の1室で、酒を飲みながら、静かに夜は更けていく。


アルコールの熱に浮かされ、陽気に笑う男たちをぼんやりと見ながら、

―私は1度、冷静に考えることにした。 



本当に奇特な野郎どもだ。

正直、ここまでするとは思わなかった。

最後は国崎の罠にかかった私が悪いが、こんな…ゴキブリ並みにしぶとくつきまとってくるとは。


もう何度もきっぱり断った。手札も全部使い切った。

それでも、ダメだったんだから……もう、私が折れるしかない気がする。

―なに、どうせコイツらの一時の世迷言。

私など、すぐに飽きて捨てられるにきまってる。それまで、適当にやればいいか。


私はついに降参した、と同時に、『これからどうするか』に思考をシフトチェンジさせた。


……よろしい、なら私のやることは、1つだ。


私は、眼鏡の奥の瞳を細めた。



「あのさ、」


私はすくっと立ち上がって、4人を見下す。


「私と友達になるにあたって、お願いがいくつかあるんだけど。」

「は?オネガイ?」

「何だそれ。お前にそんな権限無…「いいから、聞いて。」


…おお、初めて国崎の言葉を遮った。ちょっと快感。

いい気になりながら、私は息を吸い込んだ。


「まず、私以外の女友達を早急に作れ!しかも複数!」


ビシッと人指し指を突き付ける。良い子はマネしちゃダメだぞ。


「…は?女、友達?」

「え?」


当然のごとく、目を丸くする4人。私は気にせず続ける。


「口答え無用!とにかく可愛い子、数人選んで来い!むしろ彼女でもよし。」

「…防波堤かよ。」

「悪いか!このままじゃ、女子からの被害を被るのは確実に私なんだよ!何人かで怒りを分散した方が、得策。見目麗しい子なら、私は上手く隠れられるし!」

「…策士ですね、ナツさん。」

「ああ。こっちのことは全く考えてないあたりが。」


ふーん。どうせ自己本位ですよー。

君らと一緒にいるってのは、それだけリスクがあるんだっての。我慢しやがれ。


「ま、それはよろしく頼む!…んで、次ね。私、君らのメールアドレスさらすから。」

「おいっ!売るなっつったろ!!」

「何言ってんの国崎。あんだけ目立つことしといて、明日私はどうなると思う?下手すりゃ身ぐるみはがされんのよ?とりあえず餌まいて、彼女たちの怒りを鎮めてもらわなきゃ。」

「…なんか、イケニエみたいですね。」

「なるほどー。で、俺たちの携帯はパンクしてもいいって?」

「すぐにアドレス変えりゃ済む話でしょ。もしくは機種変更するとか。」

「…ホント、性格悪すぎ、お前。」

「ありがと。褒め言葉としてもらっとく。…で、あとはー。」

「まだあんのか?」


「最後だっての。んーっとね、…必要以上に私には関わるな。」


瞬間、水を打ったように突然静まり返った室内。

う、空気が重い。



「…何それ。やっぱ俺らと一緒にいるのは嫌ってこと?」


不審そうに尋ねる水谷。いつもみたく、軽いノリではない。

私も覚えず喉がごくりと鳴った。


「……違う。そこはもう諦めたから。私が言いたいのは、最低限のプライバシーは守れってこと。

誰でも人に干渉されたくないことってあるでしょう?ましてや、私らは異性なワケだし。」

「………。」

「…私は、キチンとけじめさえつけてくれたら後はどうでもいい。普通に仲良くできると思う。だからコレは守って。」

「ちなみにそれが守れないと?」

「大学内では話しかけずに、他人のフリするかな。」

「えー、そんなんヤダー。」


彼は打って変わって顔を崩し、クスクスと笑いだす。

…お、よかった。元の陽キャラに戻った。真剣な水谷はある種キモイからな。





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