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脳内計算  作者: 西山ありさ
本編
15/126

02




…what?


今度こそ耳がおかしくなったと思った。

『ヨワイ』なんて。そんな単語が私に発せられるなんて。


「…なんて?」

「いや。那津は弱いなーと思って。他人と関わりたくない、1人でいたいって、社会的に弱い証拠だろ?」


…んだと?

ピクッと、額に青筋が浮かぶ。若干顔が強張ったかも。

しかしヤツはそれを知ってか知らずか、好き勝手に話し続ける。


「俺たち4人と付き合う社交性すら持ち合わせて無いって…人間として失格じゃね?可哀想なヤツだな。」


私を見降ろし、ハッと鼻で笑う国崎。


拳を作りぎゅっと握りしめる。怒りで手が震えている。

…くっ、落ちつけ私。

怒ったら、負けだ。こんな安い挑発に乗るんじゃないったら。


「じゃ、悪かったな。弱い者イジメして。俺も大人げないコトしたわ。」


最後に鮮やかな笑顔でヤツはそう言い放ち、席を立った。


……………。


私は突如、無言で勢いよく立ち上がる。

そしてそのまま、国崎の方へつかつかと歩み寄り、自分より頭2つくらい背の高いヤツの胸ぐらを掴みあげた。



「……誰、が。弱いって?」


あまりの怒りで、女子とは思えない程極端に低くドス黒い声が出る。眼鏡の奥の瞳は鋭く男を睨みつけていた。

――しかし、睨みつけられている当の本人はどこ吹く風で気にもしていない様子。



「お前。本城那津が、だよ。心の狭い社会不適合者サン?

俺らと遊ぶこともできない可哀想なお前をいじめてゴメンネって、謝ってんの。理解できた?」



至近距離で私と目を合わせ、冷笑する、国崎聖悟。


…完璧に、蔑んでいる。

この私を。独りで生きて来た、この私を。

元々、話始めたのは最近で。お互い何も知らない状況で…なのに、何で、そこまで見下されなければならないのか。


―君に、私の何が分かるというわけでもないのに。


……ふざけるなよ。


怒りのボルテージがMAXに上がり、私は国崎の方へガバッと顔を上げた。

そして。


ゴッッ!!!!


「――――っ!?」


鈍い音が、公園に響いた。


―私が頭を振りかぶって、彼に頭突きをかましたのだ。

突然の攻撃にヤツは相当痛がり、たたらを踏んでそのまま尻もちをついてしまった。


私はそんな国崎にゆらりと近付き、見下す。


「…黙って聞いてりゃ、勝手なことぬかしやがって……」

「……。」

「私が弱い?人間的に不都合だと…?」


すうっ


「ふざけんなーーーっ!!」


今度は大声が公園に響き渡る。私の、血の叫びが。


「私は!そんな人間不審者でも、ネガティブなニートでもねぇ!!

もっと高尚な、気高い一匹オオカミだっ!!何言ってやがる!」


へたり込んでいる男に人差し指を突き付け、何度目か分からない暴言を吐く。

――しかし、いつもは私が息をつくまで放っておく国崎が、何故か今回は反論してきた。


「何だよ、ソレ。結局は変わらないだろ。人と関わるのが怖いって時点で。」

「…は!私は怖いなんて、ひとことも言って無い!別に上辺だけの付き合いならいくらでもやってのけるわ!!」

「それってキャラ作って逃げてるだけじゃん。やっぱり素の自分を出せる程、強くはないんだな、お前。」

「―!黙れ!そんなん、全然楽勝だ!私はそんな弱いヤツじゃねぇし!!」

「へぇ。じゃ、見せてよ、俺たちに。楽勝なんだろ?」

「当たり前だ!そこまで不愉快なことぬかすんなら、今すぐ、オトモダチ登録でも何でもしてやるわあぁあ!!」




「………。」

「………。」


ゼイゼイ、ハアハアと息を切らす私を尻目にヤツはゆっくりと立ち上がった。パンパンと、ズボンについた砂を払う余裕まで見せて。

そして、とびきり『悪い』笑みを浮かべる。



「…言ったな?」



―――!!

その言葉に、私はすべてを一瞬にして理解した。

そして、つい10秒前の自分のセリフを省みて、顔面が蒼白になる。


――え、今、何て言った?私。

なんか地獄の果てまで後悔するようなコトを…言ってしまったような気がするのだが。


真っ青になっている私と対照的に、景気良く笑う国崎。


手を差し出し、


「さ、居酒屋行くかー。マイフレンド。」

「!!っぐ!」


図々しく『フレンド』を強調してきた。


…や、やっぱり私……

や っ ち ま っ た !?


「……ま、待て、国崎。今のは言葉のアヤで…「女に2言は無しだろ?バッチリこの耳で、聞いたぜ?」


う!!

グサッと言葉が心臓に突き刺さる。


「ちょ、待「はーあ、疲れた。慣れないコトなんて言うもんじゃねぇな。なんか頭突きまで食らったし。」


んーっと伸びをして、あー頭が痛い、なんて言いながら額に手を当てる国崎。


…もしかして……

いや、確実に……


…ハメられた?私。

この、悪魔に。


「…ククッ。なーに固まってんだよ。そんな上手かった?俺の誘導尋問。」

「卑怯だ…」

「那津って、怒り方ワンパターンだよな。慣れたら、扱いやすい。」

「………。」


もう国崎の方を振り向く気力すらない。


完敗。そんな言葉が脳裏に浮かび、さらに気分が落ち込んでいく。

反対に至極嬉しそうにニコニコと笑う国崎は、完璧に沈んだ私に顔を近づけた。


「だから、言っただろ?そう簡単に逃がすつもりは、無いって。仲良くしようぜ?那津ちゃん?」


―すると、ヤツの顔が急接近して


ちゅ。


頬に柔らかい感触が。



……

………っ!!


数秒後、状況を理解した私は、慌てて国崎の傍を離れる。

多分、頬もろとも顔全体が朱に染まっている。


…な、なにした!?今!?人が放心してる間に!!

あまりのことに、脳が3秒ほどフリーズしたではないか!!


「なっ!なにすんの!!」

「ん。お近づきのしるしってことで。」

「んなの、いらんわーー!!マジで一遍死ね!」


変態男を置いてダッシュで公園を抜ける私。楽しそうにその後からついて来る国崎。


…ありえない。ありえないだろ。

この私としたことが、ヤツの手の上で踊らされたなんて、冗談じゃない。

うっかり自殺してしまいそうだわ。


――いや、その前に精神的に殺されるかも。

近々、確実に……


………。


あ゛ーーーーーー!!!(叫)

やっちまったあぁあ!!!!!!


いきなり都合よく猫型ロボットとか現れないかな!

タイムマシン、早急に1台くれ!!






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