サザンクロス:誰も選ばなかった4人の女性
の王がアウラリア王国に侵攻した時、人々は城に希望を託した。
王たちが軍勢を率いることを期待した。
騎士たちが太陽の下で輝くことを期待した。
聖人たちが奇跡を祈ることを期待した。
英雄が現れることを期待した。
しかし、王たちは逃げ去った。
騎士たちは倒れた。
聖人たちは沈黙を守った。
そして英雄は現れなかった。
ただ、古の伝説だけが残された。
南十字星。
それは、あらゆる闇に立ち向かうことのできる古代の光だと人々は言った。それを見つけることができるのは、高潔な心を持つ者だけだと人々は言った。世界が滅亡の危機に瀕した時、四つの星が降りてきて世界を救うと人々は言った。
その四つの星が、豚飼い、娼婦、乞食、そして泥棒だとは、誰も想像もしなかった。
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エレナは王国の辺境にある農場で暮らしていた。
彼女は22歳。日焼けした肌、穀物の袋を運んだせいでたくましい腕、そしていつも藁で汚れた長い茶色の三つ編みをしていた。緑色の瞳は大きく、誠実だったが、村の多くの人は、彼女は世間知らずで純粋すぎると言っていた。
彼女は純粋ではなかった。
ただ、優しかったのだ。
その朝、豚に餌をやっていると、北の方角から煙が立ち昇るのが見えた。
「また村が…」と彼女は呟いた。
彼女のブーツのそばで、豚の一匹がうなり声を上げた。
エレナは悲しそうにそれを見つめた。
「ええ、ボロ。私も怖いわ。」
正午になると、難民たちがやって来た。彼らは埃と血と灰にまみれていた。井戸の前で老婆が倒れ、エレナは駆け寄って水を飲ませた。
「闇の王が…」と老婆は囁いた。「彼はすべてを破壊している。」
「彼を止める方法はないの?」エレナは尋ねた。
老人が顔を上げた。
「南十字星だけだ。」
皆が沈黙した。
「南十字星?」エレナは繰り返した。
「古の伝説だ」と老人は言った。「四つの星。四つの鎧。影の王さえも打ち負かす力だ。」
村人たちは不安げに笑った。
「子供の話だ」と一人が言った。
「もし本当に存在するなら、騎士たちがとっくに見つけているはずだ」と別の者が言った。
エレナは何も答えなかった。
その夜、皆が眠っている間に、彼女はパンと乾燥チーズと毛布を袋に詰めた。農場から古い熊手を持ってきて、一番厚手のマントを羽織った。
父親が玄関で彼女を見つけた。
「行かせない。」
エレナは立ち尽くした。
「行かなきゃならないの。」
「お前は豚農家だろう。」
彼女は視線を落とした。
「分かってるわ。」
「お前には剣もない。魔法も使えない。貴族の名もない。」
エレナは鞄を胸に抱きしめた。
「じゃあ、もし私が失敗したら、誰も驚かないわ。」
父親が近づいてきた。
「奴らはお前を殺そうとしている。」
エレナの目に涙があふれたが、声は震えなかった。
「私がここにいたら、私たちみんな殺される。」
父親は彼女を止めようとしたが、できなかった。
ただ彼女を抱きしめた。
「我が子よ…」
エレナは目を閉じた。
「必ず戻ってくる。」
「そんな約束はするな。」
彼女は悲しげに微笑んだ。
「じゃあ、別のことを言うわ。歩ける限り、歩き続ける。」
夜明けとともに、エレナは農場を後にした。
彼女はこれが伝説の始まりになるとは知らなかった。
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ミラは都で同じ話を聞いていた。
彼女は灯りが絶えることのない歓楽街に住んでいた。そこでは笑顔にもお金がかかる。
彼女は24歳だった。黒髪は腰まで伸び、まるで墨のようにきらめいていた。肌は青白く、唇は自然な赤みを帯び、琥珀色の瞳はどこか遠くを見つめているようだった。彼女は悲しげな美しさを持っていた。まるで檻の中の花のように、優雅だった。
割れた鏡の前に座り、ゆっくりとイヤリングを外していると、カーテンの向こうから二人の酔った兵士が話しかけてきた。
「王様がまた遠征隊を送るらしいぞ」
「全員死ぬさ」
「南十字星を見つければ別だ」
ミラは動きを止めた。
「南十字星?」彼女は部屋の中から呼びかけた。
兵士の一人が笑った。
「お前みたいな女には聞かせられない話だ」
ミラはゆっくりと歩き出した。
濃いワインレッドのドレスが床をかすめた。彼女の顔には危険なほどの静けさが漂っていた。
「男はいつも物語は自分のものだと思っているのよ」
兵士は軽蔑の眼差しで彼女を見た。
「聖遺物をどうするつもりだ?」
ミラは微笑んだ。
「売るかも。使うかも」。もしかしたら、神々の趣味があなたの想像よりずっと悪いことを証明するために。
兵士は吹き出した。
しかし、ミラは既に決意を固めていた。
その夜、彼女は小さな短剣、隠し持っていた小銭の入った袋、そして密かに読み方を覚えた古い本を詰め込んだ。
裏口から敷居をまたいだ瞬間、売春宿の女将が彼女の腕を掴んだ。
「どこへ行くつもりだ?」
ミラは瞬きもせずに女将を見つめた。
「遠くへ」
「お前は私のものだ」
何年もの間、その言葉は彼女を縛り付けていた。
その夜、二人はもはや一つではなくなった。
「いいえ」とミラは言った。「生き延びるために、あなたにそう信じ込ませただけよ」
女主人はミラを殴ろうと手を上げた。
ミラは短剣を抜いた。
「今日はダメよ」
女は後ずさりした。
ミラは振り返ることなく、雨の中へ歩き出した。
久しぶりに、冷たい夜の空気が自由のように感じられた。
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サラは古い橋の下からその伝説を聞いた。
彼女は18歳だったが、体は
小柄で痩せた体つきは、彼女をより若く見せていた。灰色のブロンドの髪はひどく切りっぱなしで、頬はこけ、青い目は大きく鋭く、まるで攻撃される前に逃げることを覚えた動物のようだった。
彼女は継ぎはぎだらけの服を着て、大きすぎるブーツを履き、穴だらけのスカーフを巻いていた。
盗んだリンゴを半分食べていると、広場で司祭が叫ぶ声が聞こえた。
「南十字星は、ふさわしい者を救う!」
サラは乾いた笑いを漏らした。
「じゃあ、私たちはもう終わりね。」
隣に座っていた小さな男の子が彼女を見た。
「どうして?」
サラはリンゴを半分に切り、一番おいしい方を男の子にあげた。
「だって、ふさわしい者は決して下を向かないから。」
その夜、闇の王の影は貧しい地区にまで及んだ。
彼らはまず宮殿を襲わなかった。
まず寺院を襲わなかった。
彼らは木造家屋、路地、橋、そして破壊された市場を襲撃した。
サラは炎の中を駆け抜けた。
「こっちよ!早く!」
彼女は小さな女の子を抱き上げ、老人の袖をつかみ、3人の子供を地下室に隠した。
騎士たちは街の内壁を守っていた。
誰も橋には行かなかった。
夜が明けると、サラは古い毛布に覆われた遺体を見た。親を失った子供たち、声を失った母親たち。
リンゴを持った少年が彼女を抱きしめた。
「サラ、行かないで。」
彼女は彼の前にひざまずいた。
「行かなきゃ。」
「どこへ?」
サラは南を見た。
「星を探しに。」
「戻ってくるの?」
彼女は唾を飲み込んだ。
「ええ。」
「約束して。」
サラは目に涙を浮かべながらも微笑んだ。
「星を一つ持ってきてあげるわ、いい?」
少年は頷いた。
サラは立ち上がり、歩き去った。
彼女は何も持っていなかった。
しかし、何も持たない者こそ、すべてを失うことを最も恐れない時がある。
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ライラは盗みを働きながら、伝説に耳を傾けていた。
彼女は21歳。顎のラインまで届く短い赤毛、鋭い灰色の瞳、そして冗談なのか嘘なのか決して分からない微笑みを浮かべていた。すらりとして敏捷で、寡黙だった。黒いパンツにソフトブーツ、指なし手袋、そして着古した革のジャケットを身に着けていた。
その夜、彼女は屋敷の屋根から逆さまにぶら下がり、ダイヤモンドのネックレスを盗んだ。
下では、二人の貴族が震える手でワインを飲んでいた。
「闇の王は南十字星を探している。」
「もし彼がそれを破壊すれば、希望はなくなる。」
ライラはネックレスをポケットに入れた。
「面白いわね」と彼女は囁いた。
貴族の一人が顔を上げた。
「何か聞こえたか?」
ライラは影から微笑んだ。
「あなたの良心かしら」
彼女はテーブルに倒れ込み、ワインボトルを掴むと、窓から飛び降りた。
その後、路地でネックレスを売り、地図を買った。
「闇の王を止められる家宝」と彼女は呟いた。「きっと莫大な価値があるに違いない」
しかし、街を出る途中、難民のキャラバンを目にした。
泣いている子供たち。
裸足の女たち。
這いずり回る老人たち。
ライラは歯を食いしばった。
「私の知ったことじゃない」
彼女は十歩歩いた。
そして二十歩。
そして三十歩。
彼女は立ち止まった。
「ちくしょう」
彼女は振り返り、眠っている家族のそばに小銭の入った袋を置いて、誰も礼を言う前に立ち去った。
「それでも、私の問題じゃないわ」と彼女は言った。
しかし、初めて、彼女は自分の声さえ信じられなかった。
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4人はクロウズ・ロードで出会った。
エレナが最初に到着した。肩に熊手を担ぎ、古くなったパンの入った袋を持っていた。
次にミラが現れた。黒いマントをまとっていた。
サラは茂みから現れ、盗んだ食料の入った袋を持っていた。
ライラは木から降りてきて、リンゴをかじっていた。
数秒間、彼らはただ見つめ合っていた。
エレナが手を上げた。
「こんにちは」
ライラは彼女を上から下までじろじろと見た。
「いいえ」
エレナは瞬きをした。
「何がいいの?」
「納屋みたいな匂いのする農民とは一緒に旅しないわ」
エレナは袖の匂いを嗅いだ。
「まあ…そんな感じ。」
ミラはため息をついた。
「完璧ね。農夫、ストリートチルドレン、そして不良。」
サラは眉をひそめた。
「それで、あなたは?お姫様?」
ミラは苦笑いを浮かべた。
「男たちが金で買って、その後は軽蔑するふりをする存在よ。」
エレナは不快感から目を見開いた。
ライラは口笛を吹いた。
「このグループ、一言ごとにひどくなるわね。」
サラはライラを指差した。
「あんたは泥棒ね。」
「フリーランスよ。」
「泥棒。」
「スタイリッシュな泥棒ね。」
エレナは二人の間に入った。
「私たちみんな、南十字星を探しているんでしょ?」
誰も答えなかった。
ミラは腕を組んだ。
「そうみたいね。」
「じゃあ、お互いに助け合えるわね。」
ライラは吹き出した。
「お互いに助け合う?最後に誰かを信じた時、目が覚めたらブーツがなくなってたわ。」
サラは片手を上げた。
「それは私よ。」
ライラは彼女を見た。
「え?」
サラは小さく微笑んだ。
「いいブーツだったのよ。」
ライラは短剣に手を置いた。
エレナは両腕を上げた。
「やった!もう共通点ができたわね。」
ミラは困惑した表情で彼女を見た。
「何?」
エレナは微笑んだ。
「私たちって、みんなどうしようもない人なのよ。」
しばらく沈黙が続いた。
それからサラが小さく笑った。
ライラは鼻を鳴らした。
ミラは目をそらした。
こうして、誓いも儀式もなく、彼らは一緒に歩き始めた。
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最初の難関は「声の森」だった。
木々は黒く、高く、ねじれていた。枝は乾いた指のように見えた。風は吹くのではなく、ささやいていた。
「何も聞いちゃダメよ」とミラは言った。「この森は罪悪感を糧にしているの」
ライラはミラを見た。
「本は読めるの?」
「ええ」
「そうは見えないけど」
ミラは琥珀色の瞳をライラにじっと向けた。
その中に。
「あなたには心がないように見えるのに、ここにいるのね。」
サラはエレナのそばを歩いた。
「ここ、好きじゃないわ。」
エレナはぎこちなく微笑んだ。
「私も。」
「でも、あなたは先へ。」
「だって、私が後ろを歩いたら、逃げちゃうから。」
ライラは笑った。
「少なくとも、あの農婦は正直ね。」
すると、森が語りかけた。
「エレナ…」
彼女は立ち止まった。
それは彼女の父親の声だった。
「家に帰れ。お前は特別な人間じゃない。」
エレナは熊手を握りしめた。
「わかってるわ。」
「それなら、無駄死にするだけだ。」
ミラは別の声を聞いた。
「ミラ…汚らわしいミラ…」
彼女の顔は険しくなった。
サラは子供たちの泣き声を聞いた。
ライラは古の笑い声を聞いた。
それぞれが自分の苦しみに囚われていた。
最初に動いたのはエレナだった。彼女はミラに近づき、手を取った。
ミラは身をこわばらせた。
「何をしているの?」
「わからないわ」とエレナは言った。「一人になりたがっているように見えたから」
ミラは皮肉を言い返したかったが、できなかった。
サラはエレナのもう一方の手を取った。
ライラは後ろから二人を見ていた。
「なんて感動的な光景。吐きそうになったわ」
森が囁いた。
「誰もあなたの手を取ってくれないわ、ライラ」
ライラの笑顔が消えた。
サラが彼女に手を差し出した。
ライラはまるで毒を盛られているかのようにサラを見た。
「子供よ…」
「黙って受け取れ」
ライラは数秒間ためらった。
そして、彼女はサラの手を取った。
森が悲鳴を上げた。
声は悲鳴へと変わった。
しかし、四人は暗い木々が背後に隠れるまで、一緒に歩き続けた。
木々が姿を現すと、エレナは深呼吸をした。
「ひどかったわね。」
ライラはすぐにエレナの手を離した。
「誰にも言わないでね。」
サラは微笑んだ。
「何が怖かったの?」
「あなたの鼻を折るんじゃないかって思ったから。」
ミラは自分の手を見つめた。
「うまくいかなかったみたいね。」
エレナは首を傾げた。
「え?」
「森は、人が自分自身の一番嫌いなところを見せつけることで、人を打ちのめすのよ。」
「じゃあ、私たちを打ちのめさなかったのは、他の誰かもそれを見たからかもしれないわね。」
ミラは黙っていた。
そして、つぶやいた。
「なんて気の利いた言い方なの。」
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一方、黒の砦では、闇の王がその知らせを受け取っていた。
一人の将軍が玉座の前に跪いた。
「我が君よ……四人の女が声の森を越えました。」
玉座に座る人物は微動だにしなかった。
その鎧は黒く、古びており、失われた王冠の紋章が刻まれていた。暗いマントが肩から垂れ下がっていた。顔があるべき場所には、影と二つの赤い光だけが残っていた。
「騎士か?」彼は尋ねた。
その声は低く、悲しく、そして恐ろしかった。
「いいえ、我が君よ。」
「女司祭か?」
「いいえ。」
「魔女か?」
「それもいない。」
闇の君主は頭を下げた。
「では、お前たちは何者だ?」
将軍は唾を飲み込んだ。
「豚飼いです。娼婦です。乞食です。そして泥棒です。」
数秒間、沈黙が続いた。
そして闇の君主は笑った。
それは残酷な笑いではなかった。
それは疲れた笑いだった。
「世界は最期まで私を嘲笑うのか。」
彼は玉座から立ち上がった。
「影を送り込め。まだ殺すな。」
「陛下?」
「奴らが互いに裏切るまでどれくらいかかるか見てみたい。」
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二つ目の障害は大理石の橋だった。
輝く鎧を身にまとい、細い口ひげを生やした王国の隊長が、数人の兵士と共に道を塞いでいた。
「道は閉ざされている。」
エレナは一歩前に出た。
「渡らなければなりません。南の遺跡へ向かうのです。」
隊長は彼女を軽蔑の眼差しで見た。
「お前が?」
ライラは微笑んだ。
「気をつけろ、隊長。絞首台は敬意を払うべき場所だ。」
エレナは彼を肘でつついた。
ミラは落ち着いた口調で言った。
「私たちは南十字星を探しているのです。」
兵士たちは笑った。一人がミラを指差した。
「南十字星? 娼婦まで聖女気取りか?」
ミラは視線を落とさなかった。
サラは拳を握りしめた。
エレナはもう一歩踏み出した。
「その言葉を取り消しなさい。」
兵士は瞬きをした。
「何だって?」
「言ったことよ。取り消しなさい。」
ライラは小声で言った。
「農民さん、それはまずいわ。」
隊長がエレナに近づいた。
「いいか、農民。道端のゴミなんかで王国が救われるわけじゃない。」
その時、サラが爆発した。
「あんたこそゴミよ!」
皆が彼女を見つめた。
小さな物乞いの少女は震えていたが、それでも話し続けた。
「貧しい地区が襲われた時、あなたは貴族の家を守った。子供たちが叫び声をあげた時、あなたは扉に鍵をかけた。誰が誰を救うべきかを決める権利はあなたにはない。」
隊長は彼女を殴ろうと手を上げた。
その前に、ライラは短剣を隊長の手首に押し当てた。
「触ってみろ。残りの指で数えるようになるぞ。」
ミラも短剣を抜いた。
エレナは熊手を振り上げた。
4人の身分の低い女が、10人の王国兵と対峙した。
その時、一人の老女が近づいてきた。
「通してやれ。」
隊長は唸った。
「口出しするな。」
別の難民が口を開いた。
「あの農婦が食べ物を分け与えているのを見た。」
ある女がサラを指差した。
「あの娘が私の子供たちを助けてくれた。」
ある男がミラを見た。
「あの娘は以前、私の妹の薬代を払ってくれた。」
ライラは、ある少年が言った言葉に凍りついた。
「赤毛の女がコインを置いていったんだ。」
「私じゃないわ」とライラは呟いた。
少年はニヤリと笑った。
「いや、私だよ。」
難民たちは少しずつ兵士たちを取り囲んだ。
怒りで顔面蒼白になった隊長は手を下ろした。
「道を空けろ。」
4人は渡った。
向こう側で、ミラはライラを見た。
「コイン?」
ライラは舌打ちをした。
「落としちゃったの。」
サラは微笑んだ。
「たくさんのコインね。」
「ポケットが壊れてるの。」
エレナは笑った。
「そうね。」
ライラは先に歩き出した。
「みんな嫌い。」
しかし、彼女は歩き続けた。
あまり遠くに行かないように、速度を落としてください。
――
三日目の夜、影が襲ってきた。
彼らは男ではなかった。
無表情で長い手を持つ、黒い人影だった。
サラが最初に彼らを見た。
「目を覚まして!」
エレナは、頭があった場所に爪が突き刺さるのと同時に、横に転がった。
ミラは燃えている枝を掴んだ。
ライラはナイフを二本取り出した。
「やっとまともなものが!私たちを殺そうとする怪物たち!」
エレナは熊手で影を叩いたが、武器は煙のように彼女をすり抜けた。
「効かない!」
ミラは本で何かを思い出した。
「明かり!明かりが必要だ!」
サラは古いシャベルで燃えさしをすくい上げ、投げつけた。
影は退散した。
エレナは毛布に火をつけ、旗のように振り回した。
「下がって!」
ライラは岩に登り、影に飛びかかり、胸の赤い斑点に短剣を突き刺した。
影は悲鳴を上げて消えた。
「赤い目!」ライラは叫んだ。「光を狙って!」
ミラは短剣を投げた。
影が倒れた。
サラは地面に白い石を見つけた。
「これ、光ってる!」
彼女は石を火の中に投げ入れると、銀色の光が爆発した。
影たちは逃げ去った。
全てが終わった時、四人は息を切らしていた。
エレナの頬には切り傷があった。
ミラのドレスは破れていた。
サラの手は火傷していた。
ライラの唇には血がついていた。
エレナはサラを見た。
「あなたの手…」
「何でもないわ。」
ミラはひざまずき、サラの手をそっと取った。
「頑固にならないで。」
サラは手を振り払おうとした。
「大丈夫。」
「それは私の決めることよ。」
ミラはドレスからきれいな布を一枚ちぎり、サラの手に包帯を巻いた。
ライラは黙って見守っていた。
「よくやったわね。」
サラは瞬きをした。
「褒め言葉?」
「慣れちゃダメよ。」
エレナは微笑んだ。
「私たちは友達になりつつあるのね。」
ミラはため息をついた。
「せっかくの雰囲気を壊さないで。」
---
五日目、彼らは南の遺跡に到着した。
苔むした白い柱が、青い花畑に半分埋もれていた。中央には屋根のない神殿が、空に向かって開かれていた。
地面には石に刻まれた十字架があった。
四つの尖った十字架。
四つの星。
サラはささやいた。
「南十字星…」
ライラは周囲を見回した。
「宝はどこ?」
「…」ミラは中央へと歩み寄った。
「もしかしたら金じゃないのかも」
「すべて金であるべきなのに」とライラは言った。
エレナはひざまずき、石に触れた。
大地が震えた。
古代の声が四方八方から響き渡った。
「南十字星を求めるのは誰だ?」
エレナは唾を飲み込んだ。
「私たちです」
「どんな権利で?」
ミラは顔を上げた。
「何の権利もありません」
サラは驚いて彼女を見た。
ミラは続けた。
「私たちは高貴な者ではありません。聖人でもありません。清らかな者でもありません。選ばれた者でもありません。しかし、私たちはここにいます」
声は静まった。
そして、尋ねた。
「お前は何を望むのか?」
エレナが先に口を開いた。
「家を守るため。」
サラは言った。
「子どもたちがもう飢えることがないように。」
ミラは少し間を置いて言った。
「周りの人たちが私に抱くイメージ以上の存在になるために。」
ライラは地面を見つめた。
「私…」
皆が彼女を見つめた。
ライラは歯を食いしばった。
「もう走るのはやめたい。」
石の十字架が光り輝いた。
地面から四本の光の柱が立ち上がった。
それぞれの柱の中に鎧が現れた。
エレナの鎧は白と金で、重厚感があり、大きな肩当てと緑の星が刻まれた巨大な盾が付いていた。
ミラの鎧は銀色に紫の装飾が施され、戦闘服のように優雅で、軽やかなマントと籠手には魔法のシンボルが描かれていた。
サラの鎧は水色で、軽量で、翼のついたブーツと光の弓が付いていた。
ライラの鎧は黒地に赤い線が入り、しなやかで鋭く、二本の湾曲した剣が月のように輝いていた。
ライラは口をあんぐりと開けた。
「とんでもない値段ね。」
ミラはライラの腕を軽く叩いた。
「だめよ。」
「何も言ってないわ。」
「考えたんでしょ。」
「考えてないわ。」エレナは目の前の鎧を見つめた。
「これ、本当に私のものなの?」
古の声が答えた。
「南十字星は、自分をふさわしいと信じる者を選ぶのではない。世界から価値がないと言われても、歩み続ける者を選ぶのだ。」
サラは泣き出した。
「じゃあ…私たちも?」
光が四人を包み込んだ。
光が消えると、彼らはもはや以前と同じではなかった。
エレナはまるで常に持ち歩いていたかのように盾を掲げた。
ミラは彼女の手を見た。そこには魔法の円が光っていた。
サラは光の弓を引き絞った。
ライラは獰猛な笑みを浮かべながら剣をくるくると回した。
「さあ」と彼女は言った。「あの闇の野郎、来い」
そして奴はやって来た。
空が砕け散った。
黒い雲が廃墟を覆った。
闇の王は黒い炎に包まれ、影の軍勢を引き連れて降りてきた。
その存在は柱を震わせた。
「やはり本当だったのね」と彼女は言った。「南十字星が目覚めたのね」
エレナが前に進み出た。
「通すものか」
闇の王は彼女を見た。
「守護者気取りの豚飼いめ」
そして彼はミラを見た。
「男に利用され、純潔を装う女」
ミラは拳を握りしめた。
彼はサラを見た。
「誰かを救えると思っている乞食め」
サラは震えながら弓を引いた。
ついに彼はライラを見た。
「そして泥棒。恐怖に駆られたら真っ先に裏切る奴だ。」
ライラは微笑んだが、顔色は青ざめていた。
「葬式のような格好をしている割には、よく喋るわね。」
闇の王は片手を上げた。
空気は幻影で満たされた。
エレナは自分の村が破壊されるのを見た。
ミラは自分を抱きしめる手を見た。
サラは子供たちの泣き声を見た。
ライラは雨の中、一人立ち尽くしていた。
ライラは路地裏に置き去りにされ、一人ぼっちになった。
「この世界は変わらない」と闇の王は言った。「強者が弱者を踏みにじり、金持ちが正義を金で買う。善人は死に、残酷な者が支配する。なぜこんな世界を守る必要がある?」
ライラは視線を落とした。
「だって…」
彼女の声は震えた。
闇の王が近づいてきた。
「かつて私は王だった」
四人は彼を見つめた。
「私は民を愛した。穀倉を開放し、借金を帳消しにし、腐敗した貴族を罰した。だが、奴らはどうした?」
彼の声は低く響いた。
「奴らは私を裏切った。貴族は私を売り渡した。民は沈黙し、騎士たちは逃げ出した。妻は、彼女を守ると誓った者たちに殺された」
闇が彼を包み込んだ。
「そして私は真実を理解した。人は変わらない。ただ恐怖に従うだけだ。」
ライラは盾を握りしめた。
「そんなことはない。」
「そうでしょう?彼らはあなたをただの農民と呼んだ。」
エレナは一歩後ずさった。
「ええ。」
「彼らはあなたを物のように扱った」と、ミラを見ながら言った。
ミラは目を閉じた。
「ええ。」
「彼らはあなたを餓死させようとした。」
サラは静かに涙を流した。
「ええ。」
「そして、誰もあなたを愛してそばにいてくれなかった。」
ライラの笑顔が消えた。
闇の王は手を差し出した。
「私に加われ。この腐りきった王国を焼き尽くしてやる。もう誰もあなたを軽蔑しない。誰もあなたを利用しない。誰もあなたを見捨てない。」
一瞬、誰も言葉を発しなかった。
それは恐ろしい申し出だった。
そして、魅惑的だった。するとサラが前に進み出た。
「私もこの王国が嫌いよ。」
エレナはサラを見た。
「サラ…」
「この街の通りが嫌い。貴族が嫌い。金で溢れかえる教会が嫌い。子供たちがパンを盗まなければならないのが嫌い。」
闇の王は頭を下げた。
「つまり、君は分かっているのか。」
サラは弓を構えた。
「ええ。あなたがなぜ苦しんでいるのか、分かります。」
彼女の指の間に光の矢が現れた。
「でも、すべてを破壊すれば、私が救いたい子供たちも殺してしまう。」
彼女は矢を放った。
矢は闇の王の肩に命中した。
彼は後ずさりした。
ミラが両手を上げると、銀色の結界が一行を包み込んだ。
「私も残酷さを知っている。」
彼女の琥珀色の瞳が輝いた。
「でも、生きたいと願うすべての女性たちのために、私の苦しみで決めさせるわけにはいかない。」
エレナは盾を構えた。
「私の村は完璧じゃない。人々は怯えている。時には不公平なこともある。時には臆病なこともある。」
彼女は仲間たちを見つめた。
「でも、私を見捨てることもできたのに、一緒に歩んでくれた3人の仲間を知っている。」
ライラは剣をくるりと回した。
「感傷的な説教はやめてくれ、農夫さん。」
エレナは微笑んだ。
「あなたもいい人よ。」
「その言葉を取り消せ。」
「嫌よ。」
ライラは闇の王を睨みつけた。
「私は生まれてからずっと盗み、嘘をつき、逃げ回ってきた。明日もまたそうするかもしれない。」
彼女の剣が燃え上がった。
「でも、今日は逃げない。」
南十字星が空に輝いた。
闇の王が咆哮した。
戦いが始まった。
エレナは盾で最初の攻撃を受け止めた。衝撃で地面に亀裂が入ったが、彼女は倒れなかった。
「私を通り抜けさせるものか!」
ミラは光の輪を放ち、影を切り裂いた。
「サラ、上!」
サラは翼のついたブーツを輝かせながら跳躍し、空から矢を放った。
「ライラ、右!」
「見えたわ!」
ライラは黒い稲妻のように動き、影の赤い核を切り裂いた。
闇の王は嵐のように影の中を進んできた。
彼の黒い刃がエレナの盾に激突した。
「お前は落ちる。」
「そうかもしれないわ!」エレナは叫んだ。「でも、私は必ず着地する!」
ミラが彼女の背後に現れ、エレナの背中に手を置いた。
「あなたは一人で落ちるのではない。」
サラは空に向かって矢を放った。
光が雨のように降り注いだ。
ライラは崩れた柱に沿って走り、跳躍して、二本の剣を闇の王の鎧に突き刺した。
初めて、闇が砕け散った。
兜の下から人間の顔が現れた。
白髪、灰色がかった肌、そして幾世紀もの苦痛に満ちた瞳を持つ男。
彼は悪魔ではなかった。
彼は疲れ果てた王だった。
エレナは盾を少し下ろした。
「あなた…」
闇の王は自分の顔に触れた。
「憐れむ目で私を見るな。」
ミラは静かに言った。
「憐れみではない。」
サラは弓を下ろした。
「悲しみだ。」
ライラは歯を食いしばった。
「そして怒り。あなたは、その苦しみを他者を守るために使うことができたはずなのに。なのに、それを彼らを滅ぼす口実にした。」
闇の王は震えた。
「お前は何も知らない!」
彼の力が爆発した。 4人は後ろに吹き飛ばされた。
彼らの鎧は砕け散り始めた。
十字架の古の声がこだました。
「最後の光は、四つの星が一つになって鼓動するときのみ目覚める。」
傷ついたエレナは、盾まで這っていった。
「私一人では無理!」
ミラは立ち上がろうとした。
「私たち、誰も無理よ。」
サラは涙を流したが、微笑んだ。
「じゃあ、一緒にやりましょう。」
ライラは折れた剣を見つめた。
そして、他の3人を見た。
「もし私たちが死んだら、あなたたちに知っておいてほしいことがあるの。」
エレナは唾を飲み込んだ。
「何?」
ライラは微笑んだ。
「私はあなたが好きだった。」
サラは涙を流しながら笑った。
「それがあなたの最後の言葉ね!」
「私は詩人じゃないわ。」
ミラは初めて、苦味のない笑顔を見せた。
「もう十分だ。」
四人は立ち上がった。
エレナが先頭。
ミラが左に。
サラが右に。
ライラが後ろに立ち、攻撃態勢に入った。
四つの鎧が光り輝いた。
まるで四つの独立した光ではなく。
星座のように。
南十字星が空から降りてきた。
闇の王は剣を振り上げた。
「世界は変わらない。」
ああ!
エレナは答えた。
「今日は無理かもしれないわね。」
ミラは続けた。
「明日も無理かもしれないわね。」
サラは付け加えた。
「でも、誰かが始めなきゃいけないのよ。」
ライラは微笑んだ。
「そして、どうやら私たちにその役目が回ってきたみたいね。」
四人は一斉に攻撃を仕掛けた。
エレナの盾が闇を打ち砕いた。
ミラの魔法が憎しみの鎖を解き放った。
サラの矢が絶望を貫いた。
ライラの剣が呪いを断ち切った。
闇の王の黒い鎧は粉々に砕け散った。
古の王は膝をついた。
炎は消えていた。
影も消えていた。
ただ、四つの星の光の下で涙を流す老人が一人だけいた。
「俺は…ただ、世界が公平であってほしかっただけなんだ」と彼は呟いた。
エレナが近づいた。
「それなら、休みなさい。」
ミラは付け加えた。
「私たちはこれからも戦い続けます。」
サラは涙を拭った。
「でも、まだ生きられる者を滅ぼすようなことはしません。」
ライラは剣を鞘に収めた。
「それに、長々とした演説は結構です。」
先王はかすかに微笑んだ。
そして、彼の体は光に包まれた。
消え去る前に、彼は四人を見つめた。
「南十字星…良い選択をしたな。」
そして、闇の王は消滅した。
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四人が帰還すると、王国は彼らを聖人にしようとした。
貴族たちは王冠を用意した。
吟遊詩人たちは歌を作曲した。
司祭たちは、ずっと彼らを信じていたと宣言した。
ライラは彼らの顔を見て笑った。
「嘘よ。」
エレナは自分の農場に戻った。
しかし今、彼女の盾は戸口に置かれ、兵士たちは誰も彼女を嘲ろうとはしなかった。
ミラはかつて住んでいた売春宿を買い取り、ホームレスの女性たちのためのシェルターにした。
サラは古い橋の下に子供たちのための施設を開設した。もっとも、もう誰もそこを「乞食の橋」とは呼ばなかった。
ライラは秘密結社を創設した。
彼女たちは腐敗した貴族から盗みを働いた。
貧しい人々に食べ物を分け与えた。
誰かが彼女に「合法か」と尋ねると、彼女はこう答えた。
「いいえ。でも、公平なことよ。」
数年後、子供たちは新しい伝説を知った。
それは王女の話ではなかった。
聖人の話でもなかった。
完璧な英雄の話でもなかった。
それは豚飼い、娼婦、乞食、そして泥棒の話だった。
世間から蔑まれた4人の女性。
闇を貫く4つの星。
そして伝説の最後の言葉はこうだった。
南十字星は決して最も清らかな者を選ばなかった。
それは、たとえ傷を負っていても、なお他人の手を握ることができる人々を選んだ。
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