「女子高生になりたかった男」――
午後九時二十三分、定時帰宅。
相川太一(40)はコンビニで買った冷凍パスタを電子レンジにかけながら、鼻歌まじりにテレビの録画を再生した。画面に映るのは、制服のリボンを揺らすアニメの女子高生たち。空想の中では、今日も春が舞っていた。
だが、現実は違う。
薄暗いワンルーム。洗濯物は干しっぱなし。脱ぎ捨てたスーツが床でくたびれている。
冷凍パスタがチンという音を立て、太一は動いた。淡々と、何の感情もないルーティン。
「……そうだ、日記でも書こうか」
そのとき、ふと脳裏をよぎったのは、桜の香りでも、恋のときめきでもなかった。
ただ、手持ちのノートとキーボードが呼びかけていたのだ。
相川太一(40)はコンビニで買った冷凍パスタを電子レンジにかけながら、鼻歌まじりにテレビの録画を再生した。画面に映るのは、制服のリボンを揺らすアニメの女子高生たち。空想の中では、今日も春が舞っていた。
だが、現実は違う。
薄暗いワンルーム。洗濯物は干しっぱなし。脱ぎ捨てたスーツが床でくたびれている。
冷凍パスタがチンという音を立て、太一は動いた。淡々と、何の感情もないルーティン。
「……そうだ、日記でも書こうか」
そのとき、ふと脳裏をよぎったのは、桜の香りでも、恋のときめきでもなかった。
ただ、手持ちのノートとキーボードが呼びかけていたのだ。
【【4月1日】——春の入口、部屋の出口
2025/06/27 08:00
【4月2日】——昨日の続きを、誰も知らない
2025/06/28 08:00
【4月3日】——無風の日に、窓だけが開いた
2025/06/29 08:00
【4月4日】——話さなくても、たしかにそこにいた
2025/06/30 08:00
【4月5日】——放課後、誰かの夢の続き
2025/07/01 08:00
【4月6日】——開かない窓と、ひらかれた道
2025/07/02 08:00
【4月7日】——沈黙と会話のあいだで
2025/07/03 08:00
【4月8日】——誰かの一歩と、誰かの足踏み
2025/07/04 08:00
【4月9日】——たった一言が、心のどこかをノックする
2025/07/05 08:00
【4月10日】——ほんの少しだけ、距離が縮む日
2025/07/06 08:00
【4月11日】——届かない声と、届いてしまう沈黙
2025/07/07 08:00
【4月12日】——揺れる位置、揺れないふり
2025/07/08 08:00
【4月13日】——ふたつの静けさ、ふたつの温度
2025/07/09 08:00
【4月14日】——整えて、つなぎなおして
2025/07/10 08:00
【4月15日】——動き始める誰か、止まったままの誰か
2025/07/11 08:00
【4月16日】——ズレと重なり、そして輪郭
2025/07/12 08:00
【4月17日】——声に出せた一歩と、声には出せない縁
2025/07/13 08:00
【4月18日】——跳ねる光、止まった影
2025/07/14 08:00
【4月19日】——言葉にできないまぶしさ、呼びかけられる存在
2025/07/15 08:00
【4月20日】——騒がしさの中の静けさ、静けさの中のざわめき
2025/07/16 08:00
【4月21日】——小さな交差点、止まらない日曜日
2025/07/17 08:00
【4月22日】——未来が「他人事じゃない」と気づく日
2025/07/18 08:00
【4月23日】——答えられなかった問い、呼べなかった名前
2025/07/19 08:00
【4月24日】——揺れる温度、見つけた名前
2025/07/20 08:00
【4月25日】——遠いまま、隣にいる
2025/07/21 08:00
【4月26日】——ほどける金曜、宙を見上げる
2025/07/22 08:00
【4月27日】——輪郭をなぞる、重なる休日
2025/07/23 08:00
【4月28日】——ひとりでしか見えないもの、ひとりだから出会えたもの
2025/07/24 08:00
【4月29日】——近いからこそ、届かないこともある
2025/07/25 08:00
【4月30日】——戻った日常、少しズレたまま
2025/07/26 08:00