表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クズ聖王家から逃げて、自由に生きるぞ!  作者: 梨香
第三章 防衛都市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/137

魔導書とシャツ

 次の日はお休みだから、少し羽目を外すのかなと思ったけど、魔導書を試したくて、うずうずしていたみたい。


 金熊亭で、エールと量の多い食事をして、ルシウスの部屋に集合だ。

 私の部屋でも良いのだけど、女だとバレてから遠慮しているのかも。


 朝に回収した冷風機をアイテムボックスから出して起動させる。

「おお、涼しい!」

 この朝の冷風機の回収と出すのって、地味に面倒! まぁ、私のベッドマットも面倒なんだけどさぁ。


 ただ、冷風機を作動させたら、風が埃っぽい。金熊亭は、ベッドの下の埃とかちゃんと掃除してないからね。

浄化(ピュリフィケーション)!」を掛けておく。


「おお、こんな魔法が使えたら便利だな」

 ジャスとルシウスが期待しているので、アイテムボックスから魔導書を五冊出す。


「アレクは触らない方が良い。多分、どの魔導書も開く事ができると思うが、開かれた魔導書は白紙になってしまうからな」

 白猫(レオ)に注意されたから、机の上に並べるだけにする。


「炎の剣、大地の盾、風の剣、癒しの風、疾風の矢」

 私が思っていた魔導書は、土の魔法とかだったけど、一つの魔法が使えるだけ?


「ううう、盾も良いが、剣の強化も欲しい!」


「俺は、盾は使わないから、剣だな!」

 

 ジャスの言葉に白猫(レオ)が呆れる。


「盾を装備していないなら、余計に大地の盾があれば防御力がアップするのだ」


 ふうん、そういう感じなんだね。


「ルシウスとジャスが順番に欲しい魔導書から選んでいけば?」

 

 でも、二人は悩みに悩んで決められない。

「面倒臭いな、我が決めてやろう!」


 えっ、白猫(レオ)なら適性が分かるの? でも、ちょっと良い加減に選んだだけみたい。


「ほら、ルシウスは風の剣、癒しの風。ジャスは炎の剣と大地の盾……疾風の矢はアレクかな? 矢が少しはマシになるかもな」


 ルシウスは、風の剣の魔導書を手に持ち。慎重に開く。

 パラパラパラとページが捲れて、魔導書は白紙になった。


「これで風の剣の魔法が使えるようになったのか?」

 不安そうだけど、白猫(レオ)は素知らぬ顔だ。


「俺もやってみよう!」

 ジャスは炎の剣の魔導書を開く。パラパラパラとページが捲れて白紙になるのも一緒だ。


 でも、ルシウスもジャスも二冊目は開けられなかった。


白猫(レオ)! 開かないよ!」と私が抗議したら「交換したら?」なんて投げやりな言葉。

 それに、おねむみたいでルシウスのベッドでうとうとしている。


「まぁ、試して損はしないか」

 ジャスは癒しの風、ルシウスは大地の盾が開けられた。


「癒しの風?」

 ジャスはピンと来ないみたいだ。

「鑑定!」で調べてみると、炎の剣レベル1と癒しの風レベル1が出た。

 ここではレベル設定が生きている。ダンジョンでドロップした魔導書だから? 

「レベル1だけど、ちゃんと習得しているよ。使っていけば、レベルアップするんじゃない?」


 ルシウスも不安そうなので、鑑定してみる。


「うん、ルシウスも風の剣と大地の盾を習得しているよ」


 ううん、よくわかんない。ジャスは炎と風で相性は良さそうだけど、ルシウスのは風と大地ってイマイチ良くないんじゃないの?


ゲーム脳はどちらだニャニャニャニャニャン!」と眠そうな白猫(レオ)に馬鹿にされた。


 こうゆう奴いるよね。飲み会とかで、ぼんやり眠たそうで会話にも加わらないくせに、悪口の時だけ生き生きしちゃう奴!


「魔導書は、自分の使える魔法とは違う体系のも稀に使えるから便利なのだ」


「あっ、そういう感じなんだね。じゃあ、私は疾風の矢は要らないかも」


 矢は使えるから、そう口にしたのに、全員に「必要だろう!」と言われた。


 まぁ、魔導書に興味があるから試してみるけどね。


「疾風の矢……へぇ、こんな感じなんだ」

 風に矢が乗る感じかぁ、良いかもね! 

「「「今度、試してみよう!」」」


 意見が一致したけど、もう白猫(レオ)が本当に寝落ちしそうなので、部屋に連れて行く。


 ついでに、ジャスの部屋も浄化(ピュリフィケーション)して、冷風機を出しておくよ。


 すやすや眠る白猫(レオ)は、とても可愛いけど、神様(ガウデアムス)なのを忘れては駄目! と自分に言い聞かせる。

 お風呂は明日にして、浄化(ピュリフィケーション)を掛けて眠る。



「おぃ、起きろ!」ジャスが騒いでいる。


「休みだよねぇ……」と扉を開けると、ルシウスと二人で、ソワソワしている。


「朝飯の後でシャツを仕立てに行こうぜ!」

 うっ、ヤバい! 仕立て屋で女だとバレる! と一瞬、ドキッとしたけど告白した後だった。寝起きで、頭の回転が止まっていたのかも。


「それと、魔法の練習もしたい! 何かダンジョン以外の依頼を受けても良いかもな」


 それは、休日になっていないよ!


「ジャス、それは後で良いんじゃないか? それより、売る物を整理して、ギルドに持っていこうぜ!」


 ルシウスの銀のポーチに、大量のぬいぐるみと人形を押し込む。これ、マジに要らないから売却! 絹の糸と絹の布も、売却! 


「上級回復薬は、万が一の時に置いておこう! アレクと俺が持つで良いか?」


 ジャスは文句は無いと頷く。


「馬車の部品が邪魔だけど、部屋の中では組み立てられないな。機械馬に引かせたら、移動が楽になるのか?」


 これまで、交易都市(エンボリウム)自由都市群(パエストゥム)に移動する時は、護衛依頼を受けていた。


「自前の馬車があれば、そこで眠れるけど……あああ、マジックテントがあるか!」


「そうだな! 今は、オークダンジョンからオークが沸いている異常事態だけど、普段なら星の海(シュテルンメーア)だけで移動できるんじゃないか?」


「昼は、馬車で移動して、夜はマジックテントで眠り、機械兵に見張りをさせる! いけるよね?」


 三人で言い合って、わいわい騒ぐ。女将さんが「朝ごはんは良いのかい?」と下から叫んでいる。


「いる!」とドカドカ下りる。白猫(レオ)を忘れて、慌てて抱き上げたら「ふん!」とご機嫌斜めだった。


 近頃は、女将さんに甘えて、ミルクや柔らかく煮た肉を貰っているんだ。見た目が可愛いから得だよね。


「素敵なティアラを付けて貰ったんだね! 可愛さ倍増だよ」


 白猫(レオ)が「ニャン!」と鳴くと、ミルクのお代わりを女中が素早く持ってくる。良いご身分だね。


 この日は、不要な物をギルドで売却し、シャツを仕立て屋で頼み(ギリギリ三着)、金熊亭の馬小屋で機械馬二頭と馬車を組み立てたのを出した。

 うん? ピカッって光ったんだけど?


「へぇ、なかなか良い馬車だな?」とルシウスとジャスは笑っているけど、何か変な感じ。

 これって……扉を開けたら、そこは居間だった。


「ええっと、これはマジック馬車なの?」


 白猫(レオ)も少し驚いている。

「ザコの馬車のドロップ品からマジックアイテム? まぁ、アレクは女神様(クレマンティア)の愛し子だから、贔屓されているのではないか?」


 ルシウスとジャスは頷いているけど、「愛し子じゃないよ!」と一応は言っておく。愛し子はサーシャで、私はリリーフ投手みたいなもの。次の愛し子との中継ぎだ。


 残った部品でギリギリ組み立てた馬車は、ごく普通の良い馬車だった。

「これは売ろう! いや、クランを作ったら……いや、売ったら良いな!」

 マジック馬車、十人乗っても大丈夫そうだからね。


 準竜の肝で中級回復薬を作ろうと思っていたけど、やはり迷宮ダンジョンの疲れを癒す事に使うことにした。


 つまり、スイーツを食べに行って、新作の焼き菓子を買ったんだ。因みに、白猫(レオ)連れで、イートインは無理かな? と思ったけど「きゃぁ、可愛い」「キュートなティアラ!」と許可された。


 ミルクとサイコロ状にカットして貰った焼き菓子を、一番良いソファの上で食べている。

 前世なら駄目だけど、ここでは可愛いが正義みたいだ。

 だって、性格の悪さを知っている私でも『可愛い』と思っちゃうんだもん!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マジック馬車の居間は、洋風か和風か? 家具などはついているのかな? 10人寝ても大丈夫て感じなのかな?
シャツは、1日で仕立てられたのかな?
魔導書は便利ですね。攻撃面に特化した人が覚える回復・補助魔法とか、その逆とか存在するかしないかの差が大きいですし。あとルシウスとジャスが正式に魔法戦士になったのは確実に戦力アップだなと。 クラン作成…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ