表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クズ聖王家から逃げて、自由に生きるぞ!  作者: 梨香
第一章 クズ聖王家からの脱出

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/136

弓の練習をしながら、お仕事の筈が

 次の朝、ルシウスとジャスに一緒に依頼を受けないかと提案されたけど、断った。


「銀級に頼っていると思われるのは嫌だ。もっと実力を付けてから、一緒に依頼を受ける」

 なんて言ったけど、アイテムボックスの中のビッグボアを売りたいからもある。

 時間停止がついていても、生物(ナマモノ)をいつまでも置いていたくない。


 それに、交易都市(エンボリウム)では、色々と買い物をしたいから、稼ぎたいんだ。ちょっと非常識な手段でね!


 レッドウルフの連中の財布というか巾着を貰ったけど、彼奴ら本当に金欠だった! 全員で五銀貨(クラン)もなかったんだよ! ガッカリしたからね。


「アレクは、真面目だな!」なんて言いながら、ジャスが頭をぽふぽふしようとするから、睨んでおく。


「まぁ、それが良いかもな! だが、護衛依頼を受ける前に一度は一緒に討伐しておこう。連携の練習もしないといけないからな」

 ルシウスの言う通りかも? ただ、私の能力をどこまで見せるのか、悩む。


 冒険者ギルドまで歩きながら、ジャスがチラチラと私の頭を見る。今朝は、ショートボブにしているけど、この髪型って変なのか?


「何だよ! ジャス!」と睨むと笑う。


「いや、その髪型、なかなか似合っているぞ」

 

 そうか? ボブといっても、チョキン、チョキンと切っただけだから、不揃いだけどな?


「ジャス! 女の子に見えても、アレクに手を出すなよ! 今度は去勢コースになるからな」


 ああ、いつもはまともなルシウスが酷い事を言っている。うん? ジャス!!!


「金◯◯、踏み潰すぞ!」と怒鳴っておく。やだやだ、どんどん下品になっていくよ。


「いやぁ! 俺は男には一寸も興味ない! 昨日の酒が残っているんだ、きっと」


 このショートボブは無しだな。明日からは、ベリーショートにしよう。


 なんて馬鹿な話をしながら、冒険者ギルドに着いた。

「じゃあな!」

 ルシウスとジャスは、上級の依頼票の前に行くし、私は中級だ。


「中級になると、魔物討伐が多くなるな」

 この異世界には、人間型の魔物がいるみたいだ。北の大陸にもいるのだろうけど、少なくともサーシャは見た事がなかった。


「オーク、人間型の魔物かぁ」

 少し、ビビる。それも、女を攫って犯すとか聞くとね!


「オークは美味しいぞ!」

 ジャスは、依頼を決めたルシウスが並んでいるので、悩んでいる私の所にやってきた。


「これは、常設依頼だから、何か依頼を受けたい」

 昨日の薬草採取も常設依頼だったから、普通の依頼ってどんな感じかやってみたいんだよね。


「おっ、ラッキー! ミネルバちゃんだ! じゃあな!」

 おい、冷やかしだけかよ、受付のお姉ちゃんに負けた気分だ。


 茶色の常設依頼をチェックしてから、白い紙の依頼を見る。普通は、混んでいるのだろうけど、私の周りに男はいない。

 こそこそ『男殺しのアレクだ』とか『レッドウルフの五人を去勢した』とか嘘が混じった噂が呟かれている。去勢したのは三人だよ!


 まぁ、ゆっくり選べたから良いか!

「よし! これにしよう!」

 武器屋で弓矢を買ったのだ。弓で狩れる魔物が良いよね!


 依頼票を持って、一番短い列に並ぶ。うん? 優男だったけど、問題ない!

火食い鳥(カセウェアリー)ですか? あれは中級でも厄介ですよ。火を吹くし、脚の爪のキックも危険です」

 注意されたけど、多分、大丈夫?


「依頼部位は、肉と羽になっているが、少しぐらいは傷つけても良いのか?」

 これ、重要だから聞いておく。

「あまり傷が多いと、買取り価格は下がりますが、矢傷や首を落とした程度は問題ありません」

 弓を装備しているから、そう言ったのかも?


 二階の資料室で、火食い鳥(カセウェアリー)の生息域を調べる。かなり深い所にいるみたいだ。

「よし!」転移の練習がてら、森の奥まで行こう。


 今日は、門の位置も知っているから、ずんずん進む。

「おい、お前!」と何故か止められた。

「あっ、隊長さん! 荷車は返して貰ったと思うけど?」

 ギルドに頼んだよね? もしかして、返していなかったの?


「いや、荷車は返却済みだ。それより、あの男たちが気になって」

 えっ、レッドウルフと知り合いだったの? 警戒して、スッと後ろに下がる。剣の間合いから離れたい!


「誤解するな! 単なる好奇心だ!」

 ふうん、なら良いか。

「彼奴らは、何人もの新人を強引に勧誘して、断ったら殺していたようだ。ギルド長が取り調べている」

 隊長は、思い当たる事件があるのか、深く頷いた。


交易都市(エンボリウム)の為に、ありがとう! 感謝する」

 隊長、兵士達に敬礼された。お尻がむず痒い気分になったから、そそくさと門を出る。


 別に交易都市(エンボリウム)の為にした訳じゃない。馬鹿が突っかかって来たから、返り討ちにしただけだ。

  

 森の中に入り、人気がなくなってから、転移を繰り返して、奥に進む。

 これ、今のレベルだと見えている箇所にしか転移できないんだけど、もっと上達したら、覚えている場所にも行けるかな?

 

 防衛都市(カストラ)で落ち着いたら、エンボス島のマギー、海亀亭(トゥラトゥラ)のリリーに、会いに行きたくなるかも? 海を渡れるようになるには、まだまだ練習しなきゃいけないだろうけどさ。

 

 あっ、クズ王妃(オルグェーヌ)に復讐してなかったな。クズ聖王(パーベェル)にも! でも、あそこには二度と近づきたくない。それに、いずれは好色王(アマース)に攻め滅ぼされそう。関わらないでおこう!


 かなり森の奥に来た。火食い鳥(カセウェアリー)を探さなきゃ!

 でも、常設依頼の薬草も見つけたいな。今は、お金が欲しいから売るけど、薬師として食べていく為に、練習材料にもしたいから。


「なかなか、火食い鳥(カセウェアリー)は見つからないな。大体、鳥だけどあまり飛ばないなら、弓の練習にならないかも?」


 ぶつぶつ言いつつ、もっと森の奥へと、転移していく。

 うん、五十メートルぐらいは飛べるようになった。これ、魔物に襲われた時も逃げられるかもね。


 火食い鳥(カセウェアリー)は見つからなかったけど、オークが歩いていた。豚みたいな顔、それなのに二足歩行? その上、腰ミノっぽいのも着ているし、冒険者から奪ったのか、剣も持っている。


 股間を隠すのは、急所だからか? 恥を知っているのか? なんて首を捻っている間に、かなり遠いのに見つかったのか、走ってくる。


 ゲッ、彼奴、私が女とわかったのか、グヒグヒ笑っているし、股間がモッコリだ。ゲー!


 矢の練習どころじゃない。

「バリア!」で首チョッパーする。

「これ、どうしよう? 肉が美味しいと言われても、食べる気にならない」


 取り敢えず、アイテムボックスにしまっておく。

 ああ、こんなの入れておきたくない。

 早く火食い鳥(カセウェアリー)を見つけなきゃ! 依頼を終えたら、荷車を借りて、オークをギルドに納めたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こちらでも首チョッパーは健在! 転移魔法の訓練も順調ですし、アイテムボックスもどんどん拡張していそうですね。次はどんな魔法を覚えるのか楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ