食物ダンジョンと迷宮ダンジョンで金儲け!
結局、ヘレナを捕まえて、クレアとジャスが子どもの件を聞いた。
「話すことなんてない。パンサーの義手は私が自由都市群に運ぶよ!」
ルシウスの部屋で、星の海のメンバーと話す事は無いって態度。
「子どもがいるんだろう! 取り返すぞ!」とジャスが吠えたら、泣き笑いして事情を話した。
「ジュリーの父親が自由都市群にあの子を渡したのさ! 生きていたら、私が殺してやるところだけど、ドラゴンに殺されたそうだからな」
ドラゴン! オークションに出たのは、その人達が討伐したのか?
「なんで、そんなクソ男と子どもを作ったんだ? まさか……借金奴隷だったから、無理やり……」
クレアが聞き難そうに質問した。
「いや、若気の過ちさ! バンズは、腕だけは良くて、一緒に組んで護衛や魔物を討伐するうちに……酔っ払って、そういう仲になったんだ」
ヘレナも酒癖が悪そうだ!
「ただ、ジュリーを身籠った時に別れたのさ! アイツ、賭け事が大好きで、借金漬けになっていたからな!」
本当にクソだった。身籠ったヘレナを捨てて、賭け事三昧!
「でもまぁ、強い事は確かだったので、何とかやっていたそうだけど……借金が重なって、借金奴隷落ち。それで、鉱山に住み着いたアースドラゴンの討伐に行かされて、死んだって噂だ」
その死んだバンズは良い! 子ども、ジュリーは?
「なぁ、何故、ジュリーは自由都市群が離さないんだ? 借金奴隷の子どもで、借金奴隷なら、金で解放出来るんじゃないのか?」
「ああ、それは……あの馬鹿から魔法を受け継いでいたからさ。アイツはクズでどうしようもない男だったけど、魔法使いだったからな」
「魔法使いかぁ……」
クレアとジャスが絶望的な顔になる。
「えっ? 魔法使いだからって、ヘレナの子にかわらないだろう?」
黙って聞いていたルシウスが、北の大陸とは違うのだと説明してくれた。
「南の大陸では、魔法使いは貴重だ。まして、借金奴隷の子どもなら、囲い込むのは決定だな! バンズは金で子を売ったのかも?」
「それって、合法なの?」
全員が首を捻る。
「自由都市群の要人が養女にしているかもな。孤児院でも、扱いは良いんだ」
それだけは安心しているとヘレナは悲しそうに笑う。
「養女なのに、孤児院で暮らしているの? もしかして、その孤児院って……教会なの?」
「ああ、自由都市群にも教会もあるし、あの孤児院は教会が運営している」
「クソ教会め! 女神様が嘆いておられるぞ!」
私の頭の上の白猫が怒って尻尾を額に打ち付ける。
「猫が話した!」
ヘレナは、猫が話してビックリだ。
「ああ、こいつはアレクの従魔だ。口は悪いが、女神様が遣わした従魔だからな」
ヘレナが、スクッと立ち上がったと思うと、私の前に跪く。
「もしかして、愛し子様ですか?」
私は、ヘレナの手を取って立ち上がらせる。
「違うから! 俺は、女神様の愛し子じゃない!」
これは、言っておかなきゃね!
「でも、子どもを母親から取り上げるのは、許せないな! バンズが幾ら借金をしていたのかは分からないけど、買い戻すよ!」
「まぁ、アレク! そろそろ諦めたらどうだ!」
ルシウスは笑うけど、本当に違うから!
自由都市群にいたパンサーにも質問しようと、部屋に呼ぶ。
「俺が聞いて良いのか?」とヘレナに確認する。
「ああ、ジャスが取り返すと言ってくれて、腹が決まったんだ!」
これまで、ジュリーの事を案じて行動が取れなかったと悔やむヘレナ。
「えっ、あのバンズが父親だったのか! 強いけど、ギャンブル中毒のクズじゃないか! なんでまた!」
ああ、そういう感じの男だったんだね。私とルシウスは、死んでいてよかったと安堵した。
ジャスとクレアが、そのバンズを殺したら、面倒だからね。
借金奴隷の持ち主と、ややこしい話になりそうだもの。




