食物ダンジョン十四階
何かもやもやした気分で昼食を終え、気を取り直して十四階へ!
「ここは、ジャングル?」
脳内地図では、森林エリアっぽかったんだけど、実際に降りてみたら、ジャングルだった。
まぁ、防御の周りもジャングルっぽいんだけどね。
雨が降っていないだけ、マシだよ。
「ううう、またヴリシャーカピが出るのかぁ」
食物ダンジョンの浅い階でも出たけど、アイツら嫌い。
「ヴリシャーカピだけじゃなく、上位種のハヌマーンも出るかもな!」
うっ、ジャスって嫌いだぁ! なんて言っている場合じゃない。
噂をしたからじゃないだろうけど、ヴリシャーカピの団体だ。それに、ボスの白い躯体ばかり、後ろには巨大なハヌマーン。
「ザコは機械騎士に相手をさせるから、ハヌマーンを討伐しろ」
頭の上の白猫が偉そうに指揮をする。星の海のリーダーはルシウスなんだよ。
白猫は、私の従魔の筈なんだけど?
「よっしゃぁ! やるぞ!」と吹っ切るように吠えるジャス。
「あっ、バリア!」
ヴリシャーカピのボス達が石を投げて来たからね。
機械騎士の何体かは潰されちゃったけど、白猫は気にしないで何体も出す。
「ジャスは、盾だ!」
深層階のボス戦の練習をしようとルシウスは考えている。
マジックポーチから、大楯を出して構える。
「ハヌマーンは、睡眠の魔法を掛けるぞ!」
嫌な魔法だね! バリアの上に防御を重ねがけしておく。
「防衛力も強いなぁ!」
ハマヌーン、守りも堅いけど、攻撃力も強い。
ヴリシャーカピのボスも石を投げてくるけど、ハヌマーンは岩をバンバン投げる。
それに、あれはストーンジャベリン? 岩というより岩の槍! バリアを突破されないように気をつけながら、こちらも遮断を掛ける。
ジャスは炎の盾で攻撃、ルシウスは風の剣で斬りつけるけど、岩に阻まれる。
岩がハヌマーンの鎧というか、防衛壁になっている。このままじゃあ、こちらが体力切れになってしまう。
遮断で倒せないなら、女神様の裁きしかないのか? 髪の毛が伸びるのって嫌だけど……などと考えていたら、白猫に指導された。
「ホーリーランスだ!」
あれって、ストーンジャベリンの神聖版じゃないの? でも、髪の毛ザッパンよりはマシ。
「ホーリーランス!」
おお、岩を避けてハヌマーンに当たった。
「グオオオオオ!」
げっ、ハヌマーンが吠えると、ヴリシャーカピ達の身体が一回り大きくなった。
「エール!」すかさず白猫がこちらにも応援を送る。
「ファイト一発!」
恥ずかしいスキルだけど、私も叫んでおくよ。
「聖属性に弱いみたいだ! ホーリーランスを続けろ!」
ルシウスは、私の盾をジャスに任せて、強化されたヴリシャーカピの相手をしている機械騎士達の戦闘に加わる。
「ジャス、炎の盾だ!」
ハヌマーン戦の指揮は、白猫。私の従魔のはずなんだけどさ。
ジャスの炎の盾、使っているうちに威力が増している? いや、盾が良いからかな? そんな事を考えている余裕はない。
「ホーリーランス! ホーリーランス!」
目を潰そうと連発するけど、手で防がれる。
でも、手に負傷してかなり怒っているのか、私に向かって大岩を投げてきた。
「防御は任せろ!」
バリアを突破してくる大岩をジャスが盾で跳ね返す。
「ホーリーランス! ホーリーランス!」
やっと目を潰したけど、再生しているじゃん!
「遮断! 遮断!」
再生しきる前に、遮断で真っ二つに引き裂いた。
「疲れたぁ」へなへなと座り込みたいけど、まだ戦闘は続いている。
ヴリシャーカピのボスの集団、まだ残っているんだよ。
「呼び寄せを使われないようにしろ!」
白猫の無茶振り。ボスが吠えると、ヴリシャーカピが何頭も現れる。
「雑魚は機械騎士に任せて、ボスをやるぞ!」
ルシウスの指揮で、ボスをやっつける。
「遮断! 遮断! 遮断!」
残ったヴリシャーカピは、機械騎士と機械兵のレベルアップの為に任せる。
「ハヌマーンのドロップ品は……おお、酒だ!」
大きな樽入った酒。鑑定したら、ワインだった。
「これは……置いておこうぜ!」
ジャスと私は飲みたいって欲望優先。ルシウスは、金になるから悩み中。
ヴリシャーカピのボスも酒! でも、エールなんだよね。
ヴリシャーカピの雑魚は、バナナやポポや砂糖! 砂糖は、低層階ではボスしか落とさなかったから、嬉しいね!
「十四階になったばかりなのに、かなり苦戦したな!」
ルシウスは、もっと戦力が必要だと苦い顔だ。
「ハヌマーンは、これからも何回も戦うさ!」
ジャスは、今度はサッサと倒そう! と凄くやる気満々。多分、酒がドロップしたからだと思うよ。