クイーンアントとタランチェラとの連闘
クイーンアントは、他の兵隊アント達の三倍の大きさだった。
「じゃあ、いくぞ!」
ジャスが炎の剣で、クイーンアントをぶった斬ろうとするけど、防衛力が半端ない。
「畜生! 固えなぁ」
白猫は、私の頭の上で戦いを見ている。
「いや、何度も炎の攻撃を受ければ、防衛力も減るだろう」
私は、クイーンアントの溶解唾をバリアで防ぐ。
蟻って小さいから、まだ許せる虫だったけど、巨大になると、マジ無理!
「そろそろ、アレクも攻撃しろ! ジャスは盾に持ち替えて防御だ!」
白猫の指揮で、守りを替わる。
「バリア!」では効かない。
「昆虫系の弱点は、関節だ!」
えええ、ジャスったら頭に炎の剣を当ててたじゃん。
でも、先ずは、脚を止めよう。
「バリア! バリア! バリア! バリア!」
脚の関節にバリアを掛けまくると、なんとか二本は切れた。
「愚か者、首の関節を狙うのだ!」
白猫って褒める事はしないよね! 可愛い猫ちゃんなのに! 後でもふもふの刑にしちゃうぞ。
「首にバリア!」
狙っても、巨大な頭が邪魔だ。
「ええい、遮断! 遮断! 遮断!」
ぜぃぜぃ、なんとかクイーンアントを討伐できた。
機械騎士もジャイアントアントを討伐し終えたみたい。
ルシウスと機械兵で散らばっているドロップ品を拾っている。
兵隊ジャイアントアントのドロップ品は、角砂糖! 砂糖って南の大陸では、北よりは安いけど、それでも高価だから、ルシウスは喜んでいる。
クイーンアントからのドロップは、何だろう?
大きな壺だけど……?
「これは……酒なのか?」
ジャスが壺の蓋を取って匂いを嗅いでいる。
「米から作った酒だと思う」
鑑定では、日本酒とでたけど、これって神様のやらかしだよね。
「ほぉ、それは楽しみだ!」
「どんな味か一口!」
そんな呑気な話をしていると、脳内地図がまた真っ赤になった。
「巨大蜘蛛だ!」
ふぅ、虫って数が多いから嫌だ。それに、巨大蜘蛛って、迷宮ダンジョンにも機械蜘蛛で出てきたけど、生物の方がより気味悪い。
子どもタランチェラでも、子牛ぐらいある。それがうじゃうじゃ!
その後ろから、母蜘蛛? 家ぐらいあるんだけど……デカすぎない。
わぁ、脚に生えている毛もゴツイし、無理、無理、無理!
「逃げよう!」と私が叫ぶけど、二人は戦う気だ。
「普通なら巨大蜘蛛のドロップ品は、絹糸か生地だけど、食物ダンジョンだからなぁ!」
「きっと酒だぜ!」
あああ、嫌だけど、二人を置いて一人で逃げる卑怯者にはなりたくない。
「アレクは、ボスタランチェラだ!」
ヘイヘイ、リーダーのルシウスの指示には従うよ。
子タランチェラは、蜘蛛の糸を吐くので、それを機械兵や機械騎士が踏み潰していく。
ジャスは炎の剣で、バッサ、バッサ、切っていくし、ルシウスも風の剣で切り裂いていく。
「巨大蜘蛛もクイーンアントと同じだ」
つまり、関節を狙えっていう白猫の言葉に従うよ。
それに、さっさと終わらせたい。何だか、身体がゾワゾワするんだもの。
「遮断! 遮断! 遮断! 遮断!」
首と胴体を切り離しても、こっちに向かってくる。
「ギャァ! 来るな! 遮断! 遮断! 遮断!」
バラバラに切り裂いて、やっと討伐できた。
「ウホホイ! やはり酒だな!」
私が座り込んでいると、ボスタランチェラのドロップ品をジャスがチェックしに来た。
「子タランチェラのドロップ品は、胡椒とかスパイスだった。なかなか金になりそうだ!」
はぁぁ、二人は虫も平気みたいだけど、私はちょっと……。
「ここで休憩しようぜ!」
いや、いや、ここは巨大蟻の集団と巨大蜘蛛の集団に襲われた場所じゃん。
「セーフエリアまで行こうよ」
食物ダンジョンは、セーフエリアがあまりない。
階数ごとに転移陣があるから、目的の階に潜って日帰りが多いからかもね。
ただ、十二階、十四階、十六階には、セーフエリアがあると脳内地図が教えてくれる。
「まぁ、そうだな! そこで昼飯にしよう」
ジャスがエールを出してくれと頼むけど、サッサとこの階は終わらせたい。
無視して、セーフエリアに向かう。つもりだったのに、足元に上級薬草が!
「ちょっと薬草採取したい!」
と言う事で、二人にはエールを一杯だして、私が薬草採取する間の護衛を頼む。
「ここって良いなぁ!」
かなり上級薬草が採れて、ご機嫌な私を、二人が微妙な目で見ている。
薬草採取している間に、キャタピラーが集団で襲ってきたみたい。キモいよね! ドロップ品は、肉だけど……食べる気にならないよ。
「これは、ギルドに売ろう! 高く売れるって噂を聞いたから」
セーフエリアでは、一組のチームが休んでいた。うん? 何だか、ジャスが変な顔をしている。でも、あの赤毛の女の人、ジャスのお姉さんのクレアに似ているような? 誰?