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I do all!  作者: 天音 ユウ
1st Season - Brand New Duo
3/50

第一話 ジュエリーガーデンプロモーション#C

キャラクタープロフィール③

音路おとみち 恭香きょうか

誕生日:八月二十六日 イメージカラー:赤

好きなもの:ロック、ジャズ、楽しいこと、肉、ギター

 十六歳の高校二年生。楽しいことがとにかく好きで、ゼロ期生としてのスカウトもすぐに受けた。

 感情優先に見えて、場の空気や人間関係の調和を上手く取り持つ世話焼きなお姉さん。

 都内の一角に、七階建てのビルを一棟構える芸能事務所がある。ジュエリーガーデンプロモーションと名を掲げるそれは、建物の大きさとは正反対に昨年立ち上がったばかりの新設芸能事務所であった。

 社員数も少なく、所属タレントは十人。更にそのどれもが新人アイドルという事情は、社屋ビルの前を通る人間に想像することはできないだろう。

 そして、そのビルの裏手。所属タレントのために用意された三階建ての寮がある。現在は五人の少女たちが帰る家となっているその場所を、一人の少女が訪れていた。癖のあるロングヘアに包まれた顔は、不安を映したかのような薄幸げなものだ。

 背筋を丸めた少女は、小動物のようにそそくさとロビーを抜けて階段を上がり、二階の廊下に到達するとある一室の前で止まる。

 そして、手元のスマホとドア脇の表札へ視線を往復させると、恐る恐る手を伸ばし扉を三回ノックした。


「はーい!」


 中から元気な声が返ってきたことを確認すると、少女は素早く一歩下がり、鞄の中からイルカのパペットを取り出し左手にはめた。それを顔の前に出したところで、扉が開く。出てきた少女は、ショートカットに活発さの見える顔つきをした、アイドルというよりもスポーツ少女といった印象の持ち主だった。


「あれ、深冬(みふゆ)とクーちゃん! どしたの、なんかあった?」

「『こんにちは、彩乃。事務所から連絡が来てたけど、見てる?』」


 パペットのクーちゃんで顔を隠しながら、深冬と呼ばれた少女は腹話術で問いかける。対する彩乃もそれを全く気に留めず言葉を返した。


「え、うそ! ごめん音楽聴いてたから全然気付かなかったかも! みんな来てる感じ?」

「『うん。事務所にみんなで集合なんだって。みんなが来る前に準備しちゃおうよ』」


 クーちゃんの言葉にありがとー、と手を振って返すと、彩乃は外へ出る準備のために一旦扉を閉めた。深冬は扉の閉まる音をしっかりと聞いてから、クーちゃんをはめた左手を下ろし、右手で胸を撫で下ろす。


「ふぅ……」


 加速していた心拍が、少しずつ収まっていく。合わせて呼吸を整えて、緊張を徐々に和らげる。

 大丈夫、うまく話せた。大丈―――


「お待たせー!」

「ひぇゅ!?」

「うお、あ、ごめん! びっくりさせちゃった?」


 予想だにしない早さで開いた扉と、まったくの油断に大きな声をぶつけられたことで、深冬は目を白黒させて腰を抜かす。

 彩乃としては、服装に問題が無かったため鞄を掴んでスマホをポケットに入れ、すぐに準備が済んだ、というだけの話なのだが、相手が悪かったようだ。深冬を刺激しないよう、労わるように手を差し伸べる。


「大丈夫、立てる?」

「は、ぁ、ぁう、すみ、すみましぇ」

「ごめんごめん、思ったよりすぐ出れる状況だったからさ。ほら、ゆっくりゆっくり。お尻痛くない?」


 彩乃の右手を握り返してどうにか立ち上がると、深冬は絶え絶えの息を必死になって整える。数十秒かけて人心地を取り戻し、視線をあちこちに泳がせながら彩乃に謝った。


「あ、あの、すみま、せん、でした」

「あたしは大丈夫大丈夫! 深冬の方こそびっくりしちゃったでしょ、水とか飲む? っていうか、クーちゃんに話してもらわなくて大丈夫なの?」


 言われて初めて気付いたらしく、深冬は慌ててクーちゃんを構え、先ほどのように流暢に話し始めた。


「『思ったより早くてびっくりしちゃったみたい。もう大丈夫』……です」

「そか。じゃあ事務所行こっか」


 深冬の右手を握ったまま、彩乃は寮の出口へと歩き出す。深冬は少し驚いたのを顔に出さないよう努力しながら、彩乃に連れられていった。


「けど全員集合かー。何があるんだろね」

「え、あ、『うーん、なにか大きなお仕事かなぁ』」


 寮を出て歩くこと一分。正面から事務所に入ってロビーを通り抜け、奥にあるエレベーターに乗る。他に誰か乗らないかと廊下を見渡していると、眼鏡をかけたスーツ姿の男性が見えた。男性もこちらに気付くと手を振りながら小走りでやって来る。

 彩乃は「ひらく」のボタンを右手で押しながら左手で手を振り返し、男性が乗ってくると三階のボタンを押すと共に挨拶した。


「右城さん、お疲れ様です」

「おつっ、『お疲れ様です!』」

「ああ、二人ともお疲れ様。今みんなに連絡が行ってるはずだけど、蘭子たちが戻ってくるまで少し時間かかるかな? 少しゆっくりしてることになりそうだな」


 プロデューサーの右城はスマホ片手に、現在の状況を確認しながら言葉を返す。彩乃もスマホを取り出すと、SNSのメッセージ欄を確認した。


「えーっと、ましろと弦音の撮影が終わって、今ひとみと一緒に帰ってる途中、だそうです」

「ひとみはまた自分から見学か……凄いな」

「自分がいないとましろがスケジュール忘れるって、こないだ言ってましたよ」


 他愛もない会話を交わしているうちに、エレベーターが三階へと到着する。三人は廊下に出てしばらく歩き、途中に設置されたベンチの前で右城が立ち止まった。

 この階の最奥には社長室があるが、人数も揃わないうちから入るわけにはいかない。


「よし。それじゃあ、もう何人か集まるまでここで待っててくれるかな? 自由待機ってことで」

「了解です!」

「は、いっ!」


 敬礼と共に大きな声で返事する彩乃と、目こそ合わせないものの精一杯の返事を絞り出す深冬を見て、右城は頷いて懐から財布を取り出し、五百円硬貨を彩乃に差し出した。


「これで何か飲み物でも買って待っててくれ」

「え、いや悪いですよ! あたし財布持ってるし! ねぇ?」

「ひゅっ、は、え、『そうですね。大丈夫ですよ』」


 驚いた勢いのままに話を振られ、深冬は目を白黒させながら狼狽えるが、なんとかクーちゃんを顔の前に出して事なきを得る。右城は困ったような苦笑をこぼして硬貨をしまうと、今度何か奢るよと言い残して先に社長室へと消えていった。

 去っていく背中を見送りながら、彩乃は息をついて深冬へと目をやる。


「いやー、びっくりしちゃったね」

「は、ぁぅ、はい……で、でも、あの、ああいう、時、って……こ、断るのも、失礼、だっ……て、聞いた、こと、ぁ、あります……」

「え、マジ? あたし、もしかしてやらかしたかな……」


 頭に手を置いてばつの悪そうな顔をする彩乃の横を通り抜け、ゆっくりとベンチにかけた深冬は限界とでも言うように深く息を吐く。それを見た彩乃は、顔を覗き込まないよう心がけながら、思い出したように言った。


「あ、なんか飲み物買ってこようかな。深冬とクーちゃんはいる?」

「あ……『僕は大丈夫。深冬には、お茶かスポーツドリンクをお願いできるかな』」

「おっけ! 超特急で買ってくるから任しといて!」


 笑顔でサムズアップすると、彩乃は小走りでエレベーターへと引き返していく。廊下でひとりになった深冬は、小動物のような動きで周囲に人影がないことを確認してから、左手にはめたクーちゃんと向き合った。


「だ、だめだったかな? 『ううん、大丈夫。言うべきことを言っただけだよ』そう、だよね……彩乃さんも、わかってくれるよね『自信を持って。みんな優しい人なんだから』」


 呟くような声で話していると、エレベーターの扉が開く。肩を跳ねさせて視線を移すと、彩乃と共に恭香と月乃がエレベーターから降りてきた。まず彩乃が小走りで彩乃に近づき、スポーツドリンクのボトルを渡してくる。


「はい深冬、おまたせ~」

「は、早かっ、た、です……ね。ぁりが、とぅ、ござぃ、ます」


 ボトルを受け取りながら、小さな声で礼を言う。すると、続けて恭香が手を振りながら歩み寄り、隣に座ってきた。


「やほー深冬。早いね!」

「ぁう、『こんにちは恭香。月乃もお疲れ様』」

「ええ、お疲れ様。深冬たちはオフ?」


 クーちゃんが胸ビレを振りながら挨拶を返すと、月乃も笑顔で対応し柱に背を預けた。その質問には、彩乃が嬉しそうに手を叩いて答える。


「はい! 深冬たち、ここ来る前に寮まであたしのこと迎えに来てくれたんですよ!」

「あら、そうなの。やるじゃない」


 月乃が関心した様子で微笑みかけると、深冬は白い肌を少し紅潮させて目を逸らした。その隣で、恭香は足を組み膝に頬杖をついた姿勢で彩乃に訊ねる。


「彩乃は今日何してたの?」

「あたしですか? 普通に部屋で音楽聴いてました。夢中になってたら、右城さんからの連絡気付かなくて」


 笑って答える彩乃と、それに笑い返す恭香に割って入るように、月乃が軽く釘を刺す。


「通知はしっかり確認しないと駄目よ。特に今日は緊急だったから、見逃してたら問題になるわ」

「すいません、気をつけます」


 彩乃が少し頭を下げたのと同時、エレベーターの扉が開く。四人の視線が吸い寄せられた先に、ましろたち三人と前野が現れた。

 まず初めに、弦音が彩乃へ手を振って駆け寄り、ハイタッチする。続いて恭香がましろに手を振ると、ましろも手を振り返しながら歩いてきて恭香の隣に腰掛けた。最後にひとみが挨拶を交わしながら月乃と深冬の間で立ち止まる。前野はというと、挨拶を交わしてすぐに社長室へと入っていった。


「ましろ、撮影どうだった?」

「楽しかったですよ。衣装も可愛かったし」

「そーそー! 聞いてよ恭香さん、ましろ今日の撮影一発OKもらったんだよ! やばばのばじゃね!?」

「一発か! やるじゃんましろ、やばばだねー」


 興奮気味に話す弦音たちとは反対に、月乃は落ち着いた調子でひとみと言葉を交わす。


「ひとみも撮影だったの?」

「いえ、私は見学に。実際に現場で見ればわかることもあるかなと思って。それに、私が」


 そこまで話したところで、何かに気付いたようなはっとした表情でひとみは言葉を切った。月乃と深冬が疑問を顔に浮かべるが、一拍の間を置いて話を再開する。


「……私が同じ仕事をする時、スタッフさんに迷惑かけるわけにはいきませんから」

「いい心がけね。あなたのそういうところ、私は好きよ」


 満足そうに頷く月乃を見て、ひとみも微笑み返す。その様子を見て、深冬も密かに口角を上げた。

 その一方で、恭香たち四人も楽しげに話を続ける。話題はましろから弦音の仕事に移ったようだ。


「でもいいなー弦音。私もギターの宣伝モデルやりたい」

「恭香さん、撮影苦手だもんねー」

「そうなんだよねー。弾いてるとこプロモ動画にする! とかなら喜んで受けるんだけど、じっとしてるとこ撮られるのはまだ慣れないなあ」


 他愛もない話をしながら笑う恭香の横で、ましろが彩乃のスマホを見て指をさす。そのカバーには、小さな熊が座るようなポーズをとった、水色のキーホルダーが付けられていた。


「彩乃、早速それ付けてるんだ」

「うん! あたし、一応イメージカラー水色だし。せっかく同じ色当てたならって」

「似合うよー、わたしも今度付けて来ようかな」


 柔らかな笑顔のましろと、エネルギーの垣間見える元気な笑顔を見せる彩乃。そんな様を見て羨ましくなったのか、弦音が彩乃に抱きついた。


「なんなん~、あーしも混ぜてよー。みんなでおそろすんの?」

「わっ、とと。黄色もあるよ、よかったらいる?」

「ま? いいって言うならもらっちゃおかなー♪」

「あ、じゃあわたしがあげるよ。黄色四つあるから」


 ましろの口から何気なく放たれた言葉に弦音が違和感を覚え、彩乃と恭香がすっと目を逸らしたタイミングで、またもエレベーターの扉が開く。全員の視線を一手に受けながら、最初に廊下に出た蘭子がキレのある動きで敬礼した。


「お待たせ致しました! 公演組、ただいま帰還です!」

「おまたせ~。みんな待ったかしら~?」

「大丈夫大丈夫、安全運転でふっ飛ばしてきたから」


 蘭子に続いて千里と後藤が姿を表し、更にその後ろから稔と左枝が現れる。一斉に立ち上がり挨拶の言葉をかけるアイドルたちに、左枝は簡潔に伝えた。


「みんなお疲れ様。一応、段取りの確認だけするから、もう少しだけここで待っててくれ」

「心配せんでもそう待たせないよ、ほい左枝っちキリキリ歩く~」


 後藤に背中を押されながら、左枝もまた社長室へと消えていく。二人の背中を見送ったあと、暫しの沈黙を破ったのは弦音だった。


「結局、何の用なんだろね」

「うーん……何か大きな仕事とか、事務所全体のPRで何かするとかじゃない?」

「そうですね。まだ私たちも新人ですし、売り出すために何かイベントに出る、とか」


 現在、ジュエリーガーデンプロモーションに所属するタレントは新人アイドル十人。それを厳密に分けると、一期生が七人とその前にデビューしたゼロ期生が三人。更に言えば一期生のうち六人がオーディション合格による採用で、残った一人とゼロ期生の計四人がスカウトされる形で所属している。

 現在の暦は四月。今年の一月にデビューした一期生は、まだ三ヶ月しかアイドルとして活動しておらず、先んじてデビューしたゼロ期生の三人も昨年の十一月から、つまりまだ半年しか活動していない真っ新な新人なのである。

 にも関わらず彼女達の双肩には、新設されたばかりの事務所を背負って立たなければいけない責任がのしかかっている。もし全員のプロデュースが失敗すれば、それはつまり事務所そのものの事業失敗につながってしまうのだ。

 そういった事情まで含めて省みると、恭香やひとみの言った事務所の宣伝活動やイベント参加による知名度向上のために集められたと考えるのも自然なことと言える。

 ひとみの次に言葉が発されるより先、社長室の扉が開き、左枝が顔を出した。エレベーターから降りてきた時とは正反対に、電流のような緊張感が十人の間に走る。左枝が普段と変わらない様子で扉を開けると、奥の社長室が見えた。


「それじゃあ、みんな入ってくれ。さすがに人数分の椅子はないから、立っててもらうことになるけど」


 促されるまま、少女達は最奥の部屋へ足を踏み入れる。社長室とは言っても飾り気は少なく、一人用にしては少し大きな机と、おそらく普段はそこにないものであろうホワイトボードが目を引く。普段は来客用に使われているソファとテーブルは部屋の端へ寄せられ、十人が立つスペースが確保されていた。

 机の右には右城と前野、左には後藤と扉を閉めて歩いてきた左枝が構え、その中心で一人の男性が猫を撫でている。

 この事務所の社長である宝多と、そのペットのルビーだ。


「お疲れ様。まず唐突に呼び出してすまない。だが、今回のことはどうしても速やかに話しておきたくてね」


 宝多は撫でる手を止め、笑顔でアイドルたちに語りかける。ルビーは何かを察したように、机から飛び降り誰にも見えない位置で体を丸めた。


「君たちに集まってもらったのは他でもない、仕事の話だ。私のツテで早いうちから確保した話なんだが、今年の末に新人アイドルを対象とした大型のオーディション番組が予定されているんだ。右城くん」


 合図に合わせて、右城と前野がホワイトボードを回転させる。隠れていた面には、大きく『新人アイドル デュオユニットオーディション Brand New Duo』の文字が書かれていた。


「Brand New Duo……これを制したアイドルには、年明けの歌番組『新春うたフェス』でパフォーマンスする権利が贈られる予定となっている」


 告げられた報酬に、息を呑む音が幾つか聞こえる。『新春うたフェス』と言えば、一月初旬に行われる大型の歌番組だ。当然、そのステージに立つには並々ならぬ話題性や認知度が必要とされ、アイドルで言うならば大型事務所の国民的アイドルばかりが出演するような場所である。その出場権がかかっているという情報は、オーディションがどれだけ大規模なものかを証明するに余りあるものだった。


「優勝すれば名前を売るまたとないチャンス、そうでなくても、準決勝の結果発表からは年の瀬にテレビや各種配信サービスで生放送される。これを利用しない手はないと私は思っている。だから君たちには、このオーディションに全員参加してもらう」

「ぜ……」

「全員……ですか」


 十人全員での参加。それが意味するところは、今この場にいる仲間たちも打倒すべきライバルになるということ。

 しかし、少女たちの懸念点はそこではない。大型イベントに大きな報酬、そこで名を売るための全員参加。そこまでは急な招集ということもあり飲み込めた。だが、ホワイトボードに書かれた文字は『デュオユニットオーディション』。


「そして、ボードを見てもらえばわかると思うが、このオーディションはデュオユニット……つまり二人一組でしか参加することができない。よって君たちには、これから二人組のユニットを組んでもらう」


 緊張が走る。つまり、今ここにいる十人は、二人ずつ五つのユニットに分けられ、その状態で大型のオーディション優勝を目指さなければならない、ということだ。

 誰か一人が味方になる。それを理解した者から、宝多に視線を向けていく。


「そしてユニットの組み合わせだが―――」


 宝多はそこで一度言葉を切り、自分に向けられた視線をひとつひとつ確認してから再度口を開いた。


「君たち自身で決めて欲しい」


 静寂。今の今まで真剣な表情を向けていた少女たちは、戸惑いを隠せない様子で固まってしまった。

 通常、複数人のアイドルでユニットを結成するのであれば、その組み合わせは事務所側が決めるものである。それはただの少女にアイドルという箔を付けて売り出している事務所として当然の権利と責任であり、所属アイドルはその点において従う側だ。


「無論、こちらにも意見はある。仕事として、しっかりとオーディション優勝を狙っていけるようなユニットで無ければ結成は認めない。ただ、この事務所の方針として、今回だけは君たち自身に背中を預ける相手を選んでもらいたい」


 その”方針”にどんな意図があるのか、意味があるのか。それを推し量るだけの余裕は、今の彼女たちにはなかった。予想外の要求にただ戸惑い続ける少女たちを前に、宝多は念を押すように言い切った。


「期限は八月末日。それまでに、最も輝ける相方を見つけて欲しい……期待しているよ」

キャラクタープロフィール④

天宮あまみや 月乃つきの

誕生日:7月21日 イメージカラー:青

好きなもの:ほろ苦い飲み物、完璧なパフォーマンス、努力、成果

 十六歳の高校二年生。努力を重んじる完璧主義者。

 その実恰好つけなところがあり、自分で思っているほどクールではない。

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