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第9話チーム

中等科に上がって、初等科の頃とは少し変わった事がある。初等科では基礎を学ぶ為、クラスは学園側が割り振っていたが、中等科からは、学園側がクラスを割り振る前に生徒自身の選択がある。

戦闘科と文官科である。

国営の学園で、将来優秀な人材を拾い上げる都合上、文官になりたいのか騎士になりたいのか自分が進みたい道を選ばせ、その為の教育をしていく。勿論、向いてないと学校側が専攻の変更を勧める事もある。


ケイトは勿論戦闘科を選択している。


中等科の初授業はオリエンテーションの様な物だ。

中等科の間にチームを組むクラスメイトを決めるチーム分けと、そのチームのリーダー、サブリーダーを決めるのである。


このチーム分けはほとんど生徒の自主性に任されている。

中等科に上がったと言う事は一般常識など問題がないとして進学許可が出たと言う事だから、先ずは生徒の達自身でチームを分ける様に言われる。

勿論、それだけの理由ではなく、貴族も通う学校なので、そのしがらみと言うのもあるし、頭のいい貴族の生徒ならば、優秀な人材をスカウトする場でもある。

なので、生徒の自主性でチームを分ける事になっているのだ。


教員が指示を出すと、そこかしこで貴族の派閥同士なのか自然とチームができ始める

そして、初等科の時に成績の良かった生徒から貴族のチームにスカウトされて行く。


もちろん、生徒主導だからこそのいざこざも起こる。


スカウトしようとした平民の取り合いになる事もある。

余ってくる生徒もいる。


そして、平民からは色々な年齢の生徒がいるのだが、基本、貴族は最低年齢で入学している。

(貴族)のメンツがある訳だから留年しない様に10歳までに家庭教師を付けて英才教育を施されている。

何が言いたいかというと、貴族の生徒は最低年齢の12歳である。

つまり、子供だからこそのトラブルも起こったりする。


そして、今ケイトの目の前では、今まさにその真っ最中である。


「アリッサ、迎えに来たぞ。お前を入れて俺のチームは完成だ」


「何を言っている、リボル。お前の親の派閥は違う派閥だろ!

アリッサ様は僕達と組むに決まっている」


こうして2つのチームがアリッサを取り合っている。

ケイトが、今朝剣術の練習をしていたアリッサは貴族である。

それも、かなり位の高い貴族らしい。

らしい。と疑問系なのは、ケイトは目の前で起こっているこの争いで初めてアリッサが貴族なのだと知ったからだ。

内容を見るに、アリッサの親の派閥の貴族のチームとそうではないチームが言い争っている。

そして、この2チームのリーダーはアリッサの事が好きなのだろう。

子供は分かりやすいな。とケイトは思った。

これでも元おっさんである。大人だからこそ、分かるのである。


ケイトは初め初等科で仲が良かったアリッサを誘おうと思ったが、この状況でそんな事をすれば藪から蛇、もしチームを組めても恨みを買う事は必須だ。


そうこうしているうちに、どんどんチームが決まっていき、ケイトはあまり物として取り残される事になった。

ケイトと同じ様に余っているのは獣人の少女と人族の少女だった。

ケイトはアリッサとチームを組む事は諦め、2人とチームを組む事に成功した。


ケイトがなんとかチームを組めた事に安堵していると、アリッサは、言い争っている貴族をほったらかして、ケイト達のチームに合流した。


「それじゃ、この4人でチーム結成だね」


チームを組んだ2人の少女は、突然の貴族合流に驚いて、縮こまってしまっている。

だって、アリッサがそんな事をすれば、アリッサを取り合っていた貴族チームの怒りはこちらへ向くわけで。


「アリッサ、貴様平民なんぞと組むつもりか?」


「アリッサ様、その様なあまり物よりも僕達と組んだ方がいいですよ。

連携も取れてますし、成績も上位。 アリッサ様をお守りできます」


「いやよ。貴方達と組んでもつまらないもの。私は私が組みたい人とチームを組むわ!」


貴族達のを断ってアリッサは胸を張った。

いや、そんな事をされると恨まれるのは俺たちなんですが?


「…チッ。 俺に恥をかかせて覚えておくんだな」


アリッサの返答に、リボルと呼ばれていた生徒のチームはケイト達を睨んで離れていった。


「何を言っているのですか!考え直してください。アリッサ様」


「いやよ」


「く、なら、僕もそちらのチームに入ります!」


熱烈だな、この子は。

自分だけでもチームに入ると言い出した。


「エルサ様、それは…」


「アリッサ様を守るにはこうするしかありません。貴方達は別で組みなさい」


「…分かりました」


結果、もう1人チームに加わり、最大人数の5人チームになってしまった。

刺々しい視線がいたい。

チームが決まれば、教員に報告しなければいけない。


「ほう。この5人で最後だな。

ケイト、お前モテモテだな」


気さくな教員がケイトにそう言って笑った。


「え?」


「そりゃ男が女4人に囲まれてりゃモテモテだろ。…よし。お前達の指導上級生はコイツらだ」


「ええ!」


「なんだ?私が女だと不満か?」


ケイトの恋する少年と言う予想は何だったのか。

いや、そもそもエルサと呼ばれていた時に気付いてもいいだろうに。

エルサは、ただボーイッシュでアリッサを盲信している少女であった。


睨まれたケイトは、ただ懸命に首を振ったのだった。




「そうか。君達が面倒を見る下級生か。よろしく頼むぞ!私の名前はエリーゼだ!」


「俺はキース。俺達は平民だが上級生だ。ちゃんと指示には従う様にな」


「さあ、貴方達も自己紹介しましょう。これから一緒にやっていくチームなんだから」


先輩のエリーゼに言われてケイト達もお互いに自己紹介をする。


アリッサ、エルサ、ケイト。

そして獣人の少女カルと平民の少女ミリィ


まだ不安は残るが、とりあえずチーム分けは無事に終わったのだった。

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