第二十一話「尾行」
「うぉ・・・・・・どしたお前ら」
「お、アメセンだ」
ツンツン、と部長が僕を突きながら、扉に立つ顧問の雨笠ミナト先生に「よっ」と挨拶をする。だるそうに左腕を上げて返事をし、先生は教壇近くの椅子に腰を下ろす。
「んで、その二人はなんだ」
「なんか、文化祭の企画が急遽変更あったみたいで」
「へー。何になったんだよ」
「メイド喫茶です・・・・・」
僕はそこでようやく口を開く。
「なんだ生きてたか、隣は動かないままだけどな」
茶川さんにツンツンされる“隣”もちょいと右手を上げて生存報告を示した。言うまでもなくサヤカさんだ。
僕とサヤカさんは部活の教室に来るなり机にぐでっと倒れ込んだ。ショックというか困惑してるというか、焦ってるというか。
以前、一通のメールがクラス全体に届いていた。文化祭企画をただの喫茶からメイド喫茶に変更したいという内容だった。もちろんメインとなる女性陣は大ブーイングを巻き起こし、通知は荒れに荒れた。最後には「男子もメイドになる」という交渉で話は落ち着いたわけなのだが・・・・・
「なんで僕達のクラスの男子、ノリノリなんですか・・・・・」
予想だと、交渉内容に対して男子もブーイングを起こすと思っていたのに、何故か話はスムーズに進んだのだ。嫌がる人も少数いたが、残念ながら多数決の結果に潰され、結局メイド喫茶に変更となった。
「サギーもメイドに着替えるってコトぉ? はっ、楽しみにしとくわ」
雨笠先生がゲラゲラと嘲るように笑う。ちなみにサギーとは僕のあだ名だ。先生は生徒にあだ名を付ける癖があるらしい。
ふと、教室の扉がガラッと開いた。そして入ってきたのは180cmを余裕で超えているであろう図体の志葉君だ。頭スレスレでぶつかりそうになりながらすいませんと一言交えて机に荷物を置いた。
「係の集まりがあって遅れました」
「そっか、志葉は文化祭係だもんね」
コクリと頷く志葉君に茶川さんが驚く。
「志葉君って、なんか『意外』の塊だね」
「志葉は最初からそうだったよ。なんか暗い顔しててさ。でも積極的に話してくれるし、みたいな」
多分積極的に話すのはただ意外なだけじゃなく、部長のことが好きだからなのもあるんだろう。
なんて呑気に考えていたが、僕は文化祭の件で焦っていたことを思い出す。
「企画書、生徒会に通った?」
「だいぶ怒られたが、なんとかな。・・・・すまんな、佐木山、香山。メイド喫茶だなんて嫌だったろう」
「いや、仕方ないよ」
企画書の提出は係の仕事だが、変更の案は別の生徒からの申し出だったのだ。各学年で人気賞も出るので、どうせならば勝ち取りたいと志葉君はなんとか抗議してくれたのだ。
ちなみに男子メイドは係の女子の案なので、志葉君は本当に何も悪くないオチである。
「まあクラスも大変だけど、部活の方も頑張るよー」
その時、部長の荒川カズネが立ち上がって高らかに宣言。
「私たち会話部では、相談部屋を開催します!」
「相談部屋?」
疑問の声を上げたのはようやく顔を上げたサヤカさんだ。随分長く視界を暗闇にしていたので、久しぶりの光に目をパチクリと瞬かせている。
「そ。会話部らしいのって何かなって考えたら思いついた。内容はシンプルで、来てくれたお客さんの相談に乗ってあげる」
「いくら取んの?」
「取るわけないでしょ」
相変わらずダメな大人っぷりを披露する先生に部長が呆れる。
「で、今日決めたいのはテーマ、必要な物とシフト」
「はいはい! 懺悔室! シスターの格好して懺悔室やりましょう!!」
と元気よく立候補したのは言うまでもなく茶川さん。
「茶川、佐木山と香山のライフはもうゼロだぞ」
「ありゃ、またうつ伏せちゃった」
勘弁してほしい。メイドやって、シスターにもなれというのか。女子でも厳しい内容が男子にこなせるわけがない。
「セラピストの格好したらガチっぽくて面白そうじゃねぇ?」
「アメセン、次ふざけたら追放するよ」
「部長、雨笠先生がふざける以外のことするの見たことないですよ」
「おいシバっちゃんなんつった!? よし分かった待ってろよ、今最高の案を出してやるから」
そして腕を組み、ううむと先生が唸る。長い間低く唸りに唸って、顔も見えなくなるぐらい首を前に曲げて、今度は後ろに倒れかかったりして、
「・・・ううむ・・・・・・」
「思い付かないなら素直にそう言いなよ」
「いや、あともう少し」
「はい、他に案ある人」
「先生の格好とか」
ここで意外にも手を上げたのはサヤカさんだった。部長の顔が好評の笑顔に変わる。
「いいね、面白そう。結構好き」
「私も賛成!」
「俺も」
「いいと思います」
「こんなブラックの何が面白いんだ」
皆からの高評価にサヤカさんが嬉しそうにフンスと鼻を鳴らす。唯一、雨笠先生だけは不満そうにしているが。
「じゃあ格好に関してはアメセンみたいな名札買って、あとは私服か制服で事足りるかな?」
「ちなみにコレ百均」
ぶらりと胸元まで伸びる名札を掲げてみせる。それには雨笠、と記されていて、丁寧にフリガナも振ってある。
「名札してんのアメセンだけだよね」
「お前みたいな名前を読み間違える奴がいるからな」
「そんなに根に持ってたの? ごめんて」
まあ決定でいいかな、と呟いて部長は黒板に近づく。流れるようにチョークを指で掴み、それを滑らせ「買い出し」と書き込んだ。続けて箇条書きに名札、と足してから振り向く。
「他にある人」
「どうせならあのサングラスも真似しましょうよ」
「シバっちゃん指差さない」
と説教しつつ今度はサングラスを外して、
「これも百均」
「百均ばっか・・・・・ってか先生の目初めてまともに見た!」
「綺麗な二重ですね」
僕と茶川さんでそんなふうに茶化してみたら、先生は微妙な顔をしてサングラスを元に戻してしまった。
残念、と思ってもなさそうに呟いた茶川さんが手を挙げる。
「飾り付けとかどうですか?」
「たとえば?」
「教室の扉前に立て看板とか! 相談部屋とその説明書いたら良さそうだな〜って」
「いいねー」
すらすらと名札の下に立て看板を追加する。
「ちなみに部費はそんなに多く貰ってないからな。必要最低限を揃えろよ」
「こんな小さな部活じゃねえ」
と、部長はチョークを持たない反対の手を腰に当てて苦笑する。
会話部は活動内容もルールも緩く、人によっては存在がありがたい部活だ。ただ、緩すぎて逆に必要かどうかが問われるわけで、部員もそう集まることがないのだろう。
ただ、この人数だからこそ良いと、僕は密かに思っているのだが。
「じゃ、まあ、こんなもんかな。後は部費の残り金額次第だね。ダンボールは探せばタダだし、塗装は生徒会から借りられるペンキとかで十分だし。・・・・・・異論ある人?」
部長の問いかけにみんなが首を横に振る。
「よし! じゃあ話し合いは終わり」
チョークを片付けてもう一度前を向いた部長の顔にはニヤリと笑みが浮かんでいた。
「まだ活動時間は残ってるけど、皆はどうする? このまま残るか」
そしてそのニヤッとした口角が片方だけ上がり、
「買い出しに行くか」
「行きま———す!!!」
目を輝かせた茶川さんの勢いのいい一言により、その場の誰もが半ば強制的に買い出しに連行となった。
◇
バスに乗り、しばらくした頃にある建物についた。それは普段は寄らないうちの生徒の寄り道ランキング一位のモールだった。部長はよくここの勉強スペースを利用するらしく、中にも詳しい。
「百均もあるし、工作専門店もある」
「二班に分かれますか」
「だね。じゃあ百均班は先生コスプレ道具集め、工作班は立て看板含め飾り付け集めって感じで。あ、領収書を必ずもらうように」
そうして志葉君の案が採用され、志葉君と部長の百均班、僕とサヤカさんと茶川さんの工作班に分かれた。ちなみに班分けの案は茶川さんのもので、この形になったのも志葉君へのささやかな気遣いだろう。
話も順調に進み、早速買い物に取り掛かった。
「あるかな〜、どこかな〜」
と、リズミカルに繰り返しながら大きい店内を回る茶川さんが探すのは立て看板だ。
「看板はあいつに任せて、私達は他に飾りを探そう」
「はい」
サヤカさんに誘われて茶川さんとは逆の方向に向かった。とはいえ、僕とサヤカさんのセンスではどうにもピッタリな飾りが見つからず、同じ場所を何度も何度も無意味に回る。
「相談部屋っぽい飾りってなんなんですかね」
「それが分かれば、こう何度もずっと同じ場所をグルグル回ることはないんだがな」
「はは・・・・・・。あ、ダンボールの配布やってますよ」
結局僕達のセンスではダンボールを手に無意味に店内を回ることしかできなかった。
とは言えそれどころではないのだ。個人的に。以前サヤカさんと出かけてから、また調子がおかしくなっている。二人きりになると思わず緊張してしまう。サヤカさんはなんともなさそうなのが悔しい。
「どうした」
「あ、いえ、すいません」
「あ、ねえねえ見て〜見つけたよぉ」
と、立て看板を手に茶川さんがこちらに歩いてきた。助かった、なんて心のどこかで思いながらいいですね、と上の空で返事する。
「二人は何か見つけた?」
「完敗だ」
「ええ〜。まあ、私も思い付かないしなぁ」
「まあ費用も抑えられますし、また後にしましょう」
そういうわけで工作班はひとまず任務を終えた。やることもなく暇になるわけだが、僕はちょうど寄っておきたい場所があった。位置は地図で確認できたので、それに従い二人を連れて目的地に向かう。
そうして訪れたのは、服屋がずらっと並んだコーナーだ。連れてこられた二人はなんとも不思議そうに目を丸めている。
「あの、茶川さん」
「え? は、はい」
不意に呼ばれて困惑を増させてしまったが、ここまで来たからにはもう止まれない。
「僕に、コーディネート教えてください」
◇
「ひひ、見て見て、サングラス」
目の前で笑うのは、百均のサングラスのサンプル品をかけている荒川部長。雨笠先生が持っているものに似ているサングラスなのがこだわりだ。
「じゃあこれを五つ。・・・・・・いや、三つぐらいでいっか」
満足した部長はカゴにサングラスをポンポンと入れる。そうして次の狙いに足を運ぶ。ふざける時はふざけ、しかし仕事はテキパキと順調に進めるところが部長の尊敬できるポイントだ。
「お、名札これじゃない?」
「本当に全身百均なんですね、あの人」
「んね〜」
雨笠先生が言っていた通り欲しいものが全て百均で揃ってしまった。部長との時間もここまで、会計が終わり次第あの三人と合流するだろう。
密かに気を落としながら部長の会計についていき、その後店を出た。そこでまた一つ聞かれないぐらいのため息。すると、
「ね、ついでにどこか見ていこ」
「え」
「追加で欲しいものあるかもしれないしさ」
こんなの断る理由がない。当然イエスだ。
よし、と部長が嬉しそうに拳を握り、秘密の寄り道会となった。
「まさか会話部が文化祭の企画を出すとは思ってもなかったや」
「去年はなかったんですか?」
「部員がね・・・・・・。私含めて三人ぐらいいたけど、みんな次第に幽霊部員になって、結局退部した。私が部長なのも部員が私ただ一人だったから」
笑って返すのもおかしく、リアクションに困り言葉に詰まってしまう。俺が入部したときは部長と二人きりだったのが少しラッキーだった、なんて思ってしまったとは当然言えない。
適当な雑談を続けていると、急に部長があるお店に目を引かれた。
「コスプレのお店だ。ちょっと行ってみよ」
中に入ってみれば、あらゆる格好を装うマネキンに囲まれる。すごい迫力だ。いくつものコスプレが並んでるが、ただ一つ、口を出せずにはいられないようなマネキンがあった。
「白衣ですよ」
「おお、アメセンぽい!」
「先生」という無難に命名されたマネキンだ。先生セット一式として白衣以外にも中のシャツなどが含まれているが、単体でも購入が可能らしい。
「ほぉー、お値段は〜?」
どうやらもう購入寸前の考えである部長は服に隠れた値札をペラリと確認する。
「・・・・・・・・ほう」
お高かったらしい。
しかし、諦め切れないのかそこから離れない。
「いや、買う」
「え?」
部長はいきなり財布を出し、中の札の枚数を数え始めた。
「買う。これあった方が絶対盛り上がるもん」
どうやらなに一つ冗談ではないらしい。
「せっかく文化祭で会話部として活躍できるんだから、できること全部したい」
「そう、ですね」
俺も鞄から財布を取り出した。
「俺も半分出しますよ」
「え!? いいよいいよ、私の私情だもん」
「気にしないでください、俺も盛り上げたいので」
「・・・・・・ありがと」
部長が優しく微笑む。これが見られるのなら、いくらでも金を支払いたくなる。
そんな俺のくだらない欲望に気づくはずもなく、部長は腰に右手を当て、逆の手は顎に、うーむと悩み始めた。
「さて、問題は志葉だ」
「俺?」
「うん、正直やっぱり高いから買うのは多くて三枚。みんなでうまくシフト合わせて同じ物繰り返し使えばいいんだけど、志葉はサイズが合わない」
と言って腕を必死に伸ばし、部長はどうにか俺の頭に手を届かせようと試みる。だが背伸びをしてみても届かなかったので、疲れたようにため息をしながら最終的に諦めた。
「どしよっかなぁ・・・・・んー・・・・・・・・・・・あっ」
何か思いついたのか、パッと顔を上げた。そして急にプククと笑い始めたのだ。
「な、なんですか?」
「くく・・・・・・いや、ひひ・・・・・いい案思い付いた・・・・・ふふ」
なんだか嫌な予感がするのだが、成績も優秀である部長の思い付きなら、と無理矢理自分を納得させた。
「よし、じゃあお支払い行こ!」
「は、はい」
いや、やっぱり不安だ。
◇
「なんでサヤカちゃんそんなんになってるの・・・・・・?」
プクッと頬を思い切り膨らませ、眉毛もグッと逆八の字に下がっていて、一言で言って怒っているようなのだ。
「ずるいぞ」
僕と茶川さんの頭上にハテナが浮かぶ。
「ずるい! モエカにばかり!!」
「え、私?」
「おいヒデ、私に聞いてくれてもよかったんだぞ!」
ああ、そういうことか。
多分こういうことだ。茶川さんにコーディネートをお願いしたとき、サヤカさんもずっとアドバイスがしたかったのだろう。だが何一つ口出しができなかったことで妬いているのだ。
もちろんサヤカさんに聞いてもよかったのだ。だが、そうするわけにはいかなかった。・・・・・・サヤカさんのためにちゃんとしたコーデを組むつもりだったのに、そのコーデを本人に直接聞くわけにはいかない。そんな僕の心情を相変わらず察しよく気付いた茶川さんがニヤニヤしている。
「まあでも楽しみじゃない? かっこよくなった佐木山君」
「そ、それは・・・・・・」
口に出すことはできなかったようで、サヤカさんは小さく頷き行動で示した。その反応が見れたのはかすかに嬉しい。
「い、今更ですけど、こんな寄り道してていいんですかね。買い出しに来たのに」
誤魔化すように話題をすり替えた。
「大丈夫でしょー、言われてる時間まで余裕あるし」
「連絡の一つはしておくか」
「しておきます」
「集合場所分かりやすいようにフードコート行こうよ」
その場の全員が賛成ということでフードコートに集まる連絡をしてから服屋から立ち去り、一つ下の階にあるフードコートを目指した。どうせなら部員全員でご飯でも、なんて考えながら歩いていると、
「あ、隠れて!」
茶川さんが唐突に伏せた。なにがなんだか理解が追いつかないが、とにかく伏せろと手で合図されては無視はできまい。ただこの場で伏せたとしても、ガラス壁では透けて意味がないのだが。
そんなことを全く気にしてないようで、茶川さんはある一点を指す。
「見て」
「志葉君と部長、ですね」
指しているのは、なにやら仮装が沢山並ぶ店内を歩く部長と志葉君だった。もうお会計を済ます場面らしい。
「ちょっと見張っちゃお」
「楽しそうだ」
「ノリノリですね・・・・・」
意外と乗り気なサヤカさんの横で僕も志葉君達の様子を見る。
支払いも終わってお店から出てきた。ガラス壁で完全に透けて見えてしまうので少し移動して視界の隅に隠れる。どのみちバレるのも時間の問題なのでただの悪あがきだが。
「なんか手に持ってるね」
「衣類のようだが」
「追加の買い出しですかね」
すぐに見つかると思ったが、意外とバレない。それに楽しみを見出してしまった茶川さんが再び立ち上がる。
「後つけてみよ」
と、そう言って歩き出した。志葉君の恋事情を知ってるだけあって、この状況が大変面白いのだろう。とは言え罪悪感は本物なので止めようとするが、先を行く茶川さんの後ろにサヤカさんがとっととついていってしまう。もう後戻りはできない。
「あ、志葉君が部長さんの荷物持った! 佐木山君見習ってよね志葉君を」
「え、まあ、はい・・・・・・」
「私の鞄を持たせてやってもいいぞ」
「あ、ありがとうございます・・・・・・。ありがとうございます?」
荷物が一個増えながらも尾行は続く。フードコートを目指しているであろう二人の姿はいい雰囲気に見える。
しかしやはり、こう人と並んでみると、志葉君は本当にデカい。部長が小さいのもあってかなり目立つ。
「ってか、そろそろフードコートに着いちゃいますよ」
「え〜面白いこと起こらずか〜」
「何を望んだんだ」
そりゃもうこれがこうであれがあーで、とサヤカさんを見ながら嬉々として全て曝け出す。
まあ元々尾行なんて気の引ける行動だ。むしろ何も起こらなくてよかった。ここで仮に部長と志葉君が茶川さんが望むような何かをしようものなら一生謝罪案件だ。
一人で勝手に安堵していると、茶川さんが突然「あれ?」と首を傾げた。視線の先を見てみると、二人の姿が消えていたのだ。皆が視線を外したあの一瞬でどこに行ったのか。いきなりの予想外の事態に僕達三人の足が止まる。
とは言え何もしないわけにはいかず、見逃したという体でフードコートに向かおうとした。すると、壁があるであろう位置から突然何かがシュッと落ちてきた。
「あだっ!?」
それは見事に茶川さんの頭に直撃。ズキズキ痛むそこを抱えてしゃがみ込んだ。そんな茶川さんを見下す声が横から降りかかる。
「な〜に尾けてるんだね君たちは」
「ぶ、部長」
なんと荒川部長だった。どうやらしっかりバレていたらしい。
見れば部長と志葉君が隠れた場所は関係者用の扉が設けられたスペースだった。瞬時にここに隠れたらしい。
「い、いつからバレてたんですか!?」
「え、コスプレ屋さん出たすぐ。志葉がちょいちょいって教えてくれた」
「ええーっ」
茶川さんは悔しそうにしつつ、未だ痛む頭を抱えている。どれだけの力で叩かれたんだろう。
「で。なんで尾けてたの?」
フードコートに向かいながら部長が尋ねた。しかし本音で答えるわけにもいかず、茶川さんはもちろん僕も何も答えられなかった。サヤカさんはノリノリでついていっただけなので知らんぷり。
「え、やましい感じ・・・・・・?」
「・・・・・・」
「え、怖い、え、なに?」
「・・・・・・志葉君が部長にどうアピールす」
「うぉおおッ茶川ぁあああ!?」」
「志葉!?」
うっかり口を滑らそうとした茶川さんの口を封じに叫びながら志葉君が飛ぶように動く。解放してと言わんばかりの目配せもフルシカト。言わせまいという強い意志を感じる。
「なになに志葉がどうしたの?」
「興味を示さないでください!!」
先ほどまでのすました顔もどこへ行ったのやら、その必死な形相に気圧されて部長もそれ以上は踏み込まなかった。
「むもむん、まんめもむも」
「もう喋るな!!」
すみません遅れました!(毎度のことながら)
これからもこのペースかとは思いますが、よろしくお願いします。




