第十一話「なんで長袖?」
二学期末の放課後。僕はサヤカさんとの予定が一つできた。それは一緒に遊園地に行くこと。
心のどこかで楽しみに思いながら夏休み初日を過ごしていたのだが、突然の携帯からの振動音で一瞬で思考が塗りつぶされた。
「メール?」
それはサヤカさんからのメールだった。そこには『頼み事がある』となにやら緊迫した字面が並んでいた。
続きが気になってしょうがなかったので、僕はすぐに何事かと返事をする。
そして即座に帰ってきたメール。それは、
『一緒に夏休みの宿題を攻略してほしい』
「・・・・・なるほど」
勝手に大規模なお願い事でもあるのかと勘違いしていたのでつい苦笑してしまった。
『私だけじゃないんだ』
だが、続け様に送られてきた文章で、急に流れが変わる。
『モエカもいいか』
「茶川さん?」
『ヒデは頭が良いと話したところ、どうしてもと頼んでてな』
「そういう感じか」
僕が独り言を言ってる間に、ポンポンとメールが飛んでくる。
『駄目だろうか』
まあ断る理由もない。僕は二つ返事でオッケーを出す。
『どこで宿題しますか?』
次に気になるのは場所だ。僕は地区センターとか、お店とか、いろいろ考える。ということで思いついた場所を全て書き込んで提案してみた。
——だが予想外の展開が。
「・・・・家!?」
そう。指定されたのは家だった。しかも僕の。
『流石にモエカにも倫理観はあるみたいでな』
「ひどい言い草だな」
『無理強いはしないそうだ』
そう言われて僕はしばらく悩む。
女子二人を家に上げるのか。まあ親さえ良ければ僕も特に問題はないが・・・・いや、
「本当に大丈夫か?」
僕は自分の部屋を見渡す。そして表情が渋る。多分だが、言うほど散らかってはいないだろう。だが、女子がここに来る。そう思うと細かい散らかりですら気になって仕方がないのだ。
『僕の家で大丈夫です』
それだけ連絡してからよし、と意気込んで立ち上がる。
「・・・・片付け開始」
そこから僕の大掃除作戦が始まった。
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「時間ぴったり・・・・」
予定していた時間通りにサヤカさん達が家の前に到着する。
「やっほー!」
「どうも・・・・」
そして第一声は茶川さんの元気な挨拶になった。その後に続いてサヤカさんも小さく頷いて挨拶をする。
「お邪魔しまーす!」
炎天下を歩いてよくもまあ元気なものだなと思う。事実、サヤカさんはずいぶんと汗をかいて疲労が目に見える。
そして僕の部屋へと二人を案内するのだが、そこで茶川さんが驚いたような表情をする。
「なんかすごい綺麗だね」
「綺麗というか、ピカピカだな」
「そりゃあまあ、命賭けましたから」
茶川さんと続けてコメントを足したサヤカさんが何を言ってるか分からないと言わんばかりの表情でこちらを見てくるが、まあこっちの話だ。気にしないでくださいと手を振る。
部屋の真ん中に置かれた丸いテーブルを囲うように三人で座る。そこでチラリと横目で見たサヤカさんの汗を見てやるべきことを思い出す。
「あっ、僕飲み物持ってきます」
「すまんな」
適当にくつろいでてと言葉を付け足してから部屋を出る。
冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを取り出し、コップを三つ用意。すると近くにいた母さんが呼びかけてくる。
「おやつ用意しておいたから持っていきなさい」
「うん。ありがとう」
お茶、コップ三つ、クッキーやポテトチップスなどのおやつ。以上をトレーに乗せてもう一度部屋に戻る。
「お待たせしまし——」
そして扉を開けたその瞬間。僕は中の光景に絶句した。
「やだなあサヤカちゃん、大胆なんだからぁ」
「いっ、いやこれは」
簡単に説明しよう。サヤカさんが茶川さんを床に押し倒していた。もう一度言おう。サヤカさんが茶川さんを押し倒しているのだ。
「・・・・」
「ひ、ヒデ、これはちが」
「あとはごゆっくり・・・・・」
「ちょっ、ちょっと待」
バタン。
うん、しばらく外で待っておこう。二人が満足するまで、部外者はここで待機だ。
「ん?」
と、急に自分の異変に気づく。・・・・すごくモヤモヤする。
今は多様性の時代だ。女子同士でなんておかしなことでもない。だがそこじゃない。それ以外で、なんだかすごくモヤっとするのだ。
「戻ってこいヒデ!」
と、よく分からない自分の感情に困っているところでサヤカさんが扉を開けて叫んだ。
「あ、終わりました?」
「誤解だ!」
そして中に入ってトレーをテーブルに置いてからサヤカさんから説明が入る。
「こいつがヒデの部屋を探索しようとしてたところを止めようとして」
「それで押し倒してきたんだよね〜大胆でびっくりしちゃったよ」
「お前は喋るな! ・・・・・・それでたまたま手が滑ってあんなふうになったんだ」
「な、なるほど」
ということらしい。
まあ、手が滑ってあの形になるっていうのも中々の奇跡だと思うが。
「まあとりあえず、本題の宿題を始めましょうか」
「えぇ〜めんどくさ〜い」
「人の家に来てまで駄々をこねるな!」
なんだか、茶川さんといるとサヤカさんがしっかりして見える。そういうマジックだろうか。
「ま、頑張りますヨ・・・・」
「と言いつつお菓子を食べるな」
茶川さんも気持ちを切り替えたところで、僕たちは宿題に使うプリントやら教科書を広げた。
そして数分が過ぎた頃。
「・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・」
思ってた数倍静かだった。これだけ集中できるならわざわざ集まらなくてもよかったのではないか。
しかし、そうでもないらしい。
「だぁーッ! もう無理!!」
突然の大声に僕とサヤカさんが揃って驚く。
「問題分からないし量も多い!!」
「集中していたのに邪魔をするな」
さっきの静けさが嘘かのように消えてなくなった。不満そうな顔でサヤカさんが文句を言うが茶川さんは気にも止めないでいきなり立ち上がった。
そして高らかに宣言する。
「ポッキーゲームを開始します!!」
「・・・・・・はい?」
「な、なにを言っている」
突然の発言に僕とサヤカさんは揃って呆気に取られる。
「じゃじゃ〜ん」
そんな僕たちを気にせずに、茶川さんは自身のバッグから赤い箱を取り出す。
ここまで準備がいいと怖いな。
「挑戦者は佐木山君とサヤカちゃんです」
「おいどういうことだ! お前もやれ!」
「えぇ〜私はいいよ」
「言い出しっぺの法則・・・・」
「むぅ・・・・・分かったよ」
僕のボソッとした口出しに根負けして茶川さんがポッキーを一本取り出す。
「はい、じゃあサヤカちゃんやろっか」
「わ、私!? ヒデとやればいいだろう!」
「え? だって、そんなことしたら」
その言葉を待ってましたと言わんばかりの嫌な笑みを浮かべて。茶川さんがサヤカさんの肩にくっついて、
「サヤカちゃん妬いちゃうでしょ?」
ボソリ。僕には聞こえない声でなにか呟いた。だが言われた当の本人はみるみる内に真っ赤に染まっていく。
「そ、そんなことなんてない!!」
「まあまあ、はい」
「むぐ!?」
サヤカさんの威嚇などものともせずに、茶川さんがサヤカさんの口にポッキーを一本つっこむ。
「じゃあ佐木山君、判定お願いね。はい、スタート〜」
と言って、嵐の勢いで始まったポッキーゲーム。
・・・・・・とりあえず、実況しようか。
まずはお互いの睨み合いが始まった。まあなんというか、サヤカさんの目つきが異様に
殺意を持っているが。それを茶川さんが楽しむかのようにニヤニヤしながら目を細める。触発されたサヤカさんが最初の一手として凄まじい勢いでポッキーをかじっていく。それをばっちこいと言わんばかりの顔で迎え撃った。
な、なんだろう。一本のポッキーでここまで時間が長く感じることがあるだろうか。
二人の距離が一気に縮む。そして、それぞれの唇が触れる——と、思った瞬間。
「ふぁい、ふほっふ」
はい、ストップ。そう言ったのだろう。茶川さんがギリギリで自身の手を間に入れてサヤカさんの猛攻を止める。
そして自らポッキーを噛みちぎり、呆気なく勝負を終わらせた。
「・・・・・・?」
予想外の展開にサヤカさんが困惑の顔を見せる。
「ひゃ〜負けちゃった」
「な、なんのつもりだ」
「え? 普通に負けただけだよ?」
そんなわけない。その嫌な笑みがそう確信させる。
「じゃあ、リーグ戦だから。次はサヤカちゃんと佐木山君!」
「お、お前!」
最初からこれを狙ったということだろう。リーグ戦だとかルールを後付けして、言い逃れしづらいように。
「ほら早く早く!」
「ちょっと待て聞いてな——むぐ!?」
またもや無理やり口にポッキーを詰められるサヤカさん。不憫だ。
そして事は茶川さんの思惑通りに進んでいく。僕とサヤカさんは向かい合うように座らされ、茶川さんがその横につく。
状況に納得のいかない僕たちをよそに、茶川さんはカウントダウンを始める。
「五秒前〜! ごぉ、よーん、さん〜、にぃ・・・・・・・いち!! はいどうぞ!」
その勢いのまま、つい僕はサヤカさんの反対側のほうを咥える。
「・・・・・・・」
「ひふほ」
・・・・・・・ん?
今なんて言ったんだ?
と、僕の困惑に気づくこともなく、サヤカさんが突進の如くポッキーをかじっていく。
「行くぞ」って言ったのか・・・・!
意図を理解して僕も遅いスタートを切る。考えなしで突っ込むわけにはいかない。相手の唇に触れないようにギリギリを攻めなくては。
「おぉぉ〜〜っ!」
そんな様子を見て茶川さんが歓喜に似た声をあげるが、今はかまってられない。
・・・・・・サヤカさんには申し訳ないが、勝負を一瞬で終わらせてしまおうか。勝ちか負けか、そんな事は置いておいて一気に詰めよう。
決断して僕はすぐに行動に起こす。ええいままよ———っ!?
「おぉっと?」
茶川さんが横で小さく呟く。僕も同時に脳内で声をあげる。なぜなら、サヤカさんが目を瞑った状態で一気にこちらに向かってきたからだ。どうやらこちらと同じく勝負を一瞬で終わらせにきたらしい。
なんにせよ、今やるべきことは、キスを回避することだ。僕はすんでのところでポッキーを噛み切る。
「はいっ! 勝負ありっ!」
勝負のことなど気にしてられず、僕はひたすら自分の唇を手のひらで触った。
・・・・・・大丈夫だ、きっと触れてない。
「・・・・・・勝ったのか?」
「サヤカちゃんの勝ちだよ〜」
「そうか」
そう返答して後ろを向くサヤカさん。冷静なフリをして、喜びを隠せていない。
ひたすら口元を気にする僕だが、サヤカさんは目を瞑ってたからか、表情からは特に焦りなどは見られなかった。
必死に悩んでるのは僕だけか・・・・・・と、思っていたのだが——そうでもないらしい。
「・・・・・・なあ、モエカ」
「ん?」
サヤカさんがボソリと茶川さんに話しかける。
「さっきのポッキーゲームだが・・・・・き、き」
「き?」
「キスとか、してないよな・・・・・?」
「ははぁ〜ん?」
これまた定着してきたニヤ顔で反応する茶川さん。そして意地悪に言ってみせる。
「さあどうでしょう〜。そんなに気になるなら、実際にキスの感覚を知ってみてはいかが〜?」
「ば、馬鹿を言うな!!」
サヤカさんはコソコソ話で収めるつもりだったのだろうが、茶川さんがわざとらしく大きな声を出したせいで話が僕にまで聞こえてくる。
「・・・・・・かなわないな」
そして、突然始まったポッキーゲームは、サヤカさん二勝と茶川さんの満足でこれにて終了した。
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チラリとサヤカさんを見た。
「あの・・・・・・ずっと聞きたかったんですけど」
「なんだ?」
「なんで長袖なんですか?」
今更聞いても遅いだろうが、やはり触れずにはいられない。
こんな真夏に長袖長ズボンのジャージって、どういう。
「私は長袖の服しか持ってないんだ」
「死にたいんですか?」
僕と茶川さんの倍は汗を流しているであろうに、サヤカさんはケロッとした顔で言ってくる。
見てるこっちが辛くなってくるもので、僕はある発想に至る。これを提案するのは気が引けるが、お互いのためだ。
思い切って言ってみる。
「僕の服、着ます?」
「え」
「え?」
まあ予想通りだが、サヤカさんに続いて茶川さんも食いついてくる。
「・・・・・じゃあ、たの」
「ええぇーッ!? 彼シャツー!?」
サヤカさんの言葉を遮って茶川さんが大声をあげる。
意味不明な発想に自分の発言が遮られたことでサヤカさんが苛立ちをあらわにする。
プクーッと頬を膨らませて、ボソッと、
「・・・・・勇気出したのに・・・・・」
「あ、ごめんごめん・・・・・」
僕には聞こえなかったが、茶川さんには聞こえていたようで手を合わせて謝罪を口にする。
そしてサラッと小さく茶川さんがOKサインを出してきた。
なんとなく意図を掴んで、僕はクローゼットから無難な白Tシャツを取り出す。
「じゃあ、出てすぐお手洗いありますので」
「う、うむ」
そして案内に従ってサヤカさんが部屋を出ていく。若干の気まずさが残りながら、茶川さんと二人きりになる。
絶対なにかからかわれる。そう覚悟したのだが、
「佐木山君ってさ、きっと頭いいほうだよね」
その声色は、なんだかいつもと違う。
「もっといい高校とか行けたんじゃないの?」
「あんまり高みを目指すとか、考えてなくて」
「そっか」
「でも、今の高校で出会えたものがありますし」
あえて名指しは伏せる。だがまあ、茶川さんなら容易く読み取ってくれるだろう。
予想通り、茶川さんは笑みを浮かべる。だがいつものニヤニヤじゃない。なんというか、優しい笑みだ。
「まあご存じの通り、私とサヤカちゃんは中学からの仲なんだけどさ」
「初耳なんですけど」
「あれぇ・・・・・・? え、サヤカちゃん私について何か話してない?」
「いや、なにも・・・・・・」
悲しそうな表情の後に、茶川さんは語り出す。中学校三年生から知り合ったこと、茶川さんも一時期敵対視されてたこと、高校は一緒に選んだこと。そうして二人の関係性について軽く教わった。
「まあそんなところだよ」
「意外とそこまで長い仲じゃないんですね」
「相性バッチリだけどまだ一年もないんだよ〜」
と自称する。
まあ確かに、コンビとして見ればいいペアだと僕も思う。二人の会話はコントのようにスムーズに進んでいく。
「私、最初敵だって言われたときはびっくりしちゃったよ。前サヤカちゃんと作戦会議したときにね、なんで佐木山君と敵対してるのか聞いたんだ。そしたら、会話のきっかけ作りなんだってさ」
「きっかけ、ですか」
「そうそう。シャイなのに結構ぶっ飛んだことしてるよね〜。ちなみに私のときも同じ理由だったよ」
そして、茶川さんは結論に移った。
「サヤカちゃんってきっと、ものすごく寂しがり屋なんだよ。・・・・・・私はね、二人には死ぬまで一緒にいてもらいたいんです。だから応援する」
と、しんみりした空気を打ち消すかのように、ニヤ顔で言葉を締めた。
「応援、ですか」
苦笑で答える。
と、不意に部屋の扉が開く。
「・・・・・・なんだこの空気は」
「おかえり〜! お似合いだね〜、ねえ佐木山君」
「え、あ、えっと、はい」
あまりにも切り替えが早くて適当な返事をしてしまった。
だがそれがサヤカさんにはクリーンヒットだったようで「う、うむ」と顔を赤くしていた。
「じゃあサヤカちゃんが涼しくなれたところで」
と、茶川さんが教科書を閉じて立ち上がる。
「服でも買いにいきますか!!」
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「宿題終わってないぞ」
「いい? サヤカちゃん。今度サヤカちゃんは佐木山君と二人で出かけるんだよ? しかも遊園地だよ? なに着ていくつもりなの?」
「ジャージだが」
「それはいろいろとダメなの!!」
女子二人が並んで言い争っている。
なんということだ。宿題をするために家に女子をあげたかと思えば、今度は服を買いにお出かけときた。
そして茶川さんの案内に従って、入る前から女子の服屋らしい雰囲気を漂わせるお店に到着した。一目でわかるが、ここは全体的に綺麗めな服を扱っているようだ。
さて勇気を出して踏み込もう。そう思った瞬間だった。
「じゃ、佐木山君はここでステイね」
「は、はい?」
「好きな色なに?」
「え、し、白・・・・・?」
「おっけー! よし行こうサヤカちゃん!」
「お、おお?」
そしてサヤカさんを連れ込んで二人は店内に消えていった。僕は一人残された。
「・・・・・・・」
近くの自販機で飲み物でも買おう。
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「どう? どう?」
「あ、あんまり急かすな! まだ着替え途中だ・・・・・」
慣れない服で難航中のサヤカちゃん。私が手伝いに入ろうと思ったけど、恥ずかしいようで試着室の外で待たされている。
「・・・・・・よし、着れたぞ」
「お」
そしてようやくの合図で、私は思いっきりカーテンをかっぴらく。
「な、なああぁぁっ!? 一気に開くな!!」
「おお、私の目に狂いはなかった・・・・・・」
上は佐木山君が好きと言っていた白色のシャツ。下は暗い色のスカート。どちらも一色に染まったシンプルなアイテムを使って、変に着飾らず、だが目を惹くようにコーディネートにした。
素材がよかったのもあるが、我ながら完璧だ。
「これは、あっと言わせてやれるぞ〜・・・・」
そして私は、一人ニヤニヤしながら、サヤカちゃんと一緒にレジへ向かった。
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そうしてしばらくしてから二人は戻ってきた。
「なあ、今からでも返品しないか?」
「いいの? 可愛いって言ってもらえるかもしれないのに」
「・・・・・・・」
「可愛いって言われたいんだぁー」
そんな会話をしながら僕の方へ歩み寄ってくる。
「佐木山君お待たせ」
「あ、はい。服買えました?」
「うん、とっておきのね」
と言ってウィンクしてくる。
「あ、ちょっとお手洗い行ってくる」
そして茶川さんは一仕事終わったようにふぅと額の汗を拭って、トイレがある方へと歩いていく。
そうしてサヤカさんと二人きりになったわけだが、突然サヤカさんが仕掛けてくる。
「勝負だヒデ。何色の服を買ったか当ててみろ」
「勝負ってよりクイズですけど」
僕はしばらく考え込む。
なんというか、イメージカラーが暗めな色だから・・・・・
「黒ですか?」
「違う」
首を振って否定するサヤカさん。
そして答え合わせ。
「・・・・・白だ」
と、顔を赤くして、目を逸らして、サヤカさんは答えを出す。
「いいですね」
「う、うむ。そうだなっ」
サヤカさんが不自然に返事をする。
そして、ここの会話の意味を知るのは、また後の話となるわけだが——本当にごめんなさい。




