十幕
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雨が激しさを増していく中、第三部隊は虱潰しに捜索をしているが、行方不明者は一向に見つからなかった……。
(何処にいるんだよ……!お前には借りが一杯あるんだ!返さない内に勝手に死ぬなよ)
ザ…ザザァー。
焦る暁良に通信機が音を鳴らした。
「こちら司令部、第八部隊が行方不明者、小鳥遊元を救助。繰り返す、第八部隊が行方不明者、小鳥遊元を救助。
該当者を名簿より削除、引き続き捜索は続行せよ。引き続き捜索は続行せよ」
(確か、花菱のパートナーだったよな?……クソッ!話しを聞きに行きたいが、行方不明者は他にも居るんだ、集中しろ!)
きっと、生存者には司令部から直接聞き取り調査をしていると信じ、かぶりを振ってから意識を捜索に戻した。
そして、無情にも時間だけが過ぎ、雨がより激しさを増す中、通信機が再び鳴った。
ザ…ザザァー。
「司令部より全隊員へ、これより餓者髑髏討伐準備の為、捜索を終了されたし。
繰り返す、これより餓者髑髏討伐準備の為、捜索を終了されたし」
暁良はその言葉に唇を噛んだ。
此処にはいないが他の三人も同じ様に唇を噛んでいたのであった……。
そして、暁良が集合場所に戻ると、第三部隊の面々はまだ揃っておらず、第八部隊と思われる集団が先にいた。
初めて見る第八部隊の第一印象は異様と呼べる物だった。
どうしてかと言われると、全員がファントムマスクを装着して、顔の上半分を隠しており、全身をフード付きのマントで覆っていたからだ。
辛うじてリーダーらしき人物が女性って事がわかる位だ。
異様ではあるが、暁良は全員集合までもう少し掛かると思い、第八部隊に生存者から何か聞けたかを聞こうとした。
「聞きたい事があるんだが、アンタ達が助けた生存者は、他の行方不明者について何か言ってなかったか?」
「…………」
疑問は無言によって封殺された。
「黙ってないで、教えてほしいんだが?」
「…………」
やはり無言で返された。
そして、その態度に暁良はイライラを募らせていく。
無理矢理聞き出してやろうか?等と考え始めた時、背後から一誠や他の仲間の声が聞こえてきた。
「お待たせしました。おや、第八部隊の面々もお久しぶりですね?相変わらず顔を合わせたく無いって理由で仮面を付けてるんですか?」
一誠の言葉に「はい……」とだけ返すと。
「相変わらずですね……」と一誠は小さく呟く。
「さて、司令部からの聞き取り調査の内容を確認してきましたが、どうやら事態は芳しくないようです」
「芳しくないって言うのはどう言う事ですか!?」
一誠が状況を知っている事がわかった暁良は、食いつく様に一誠に聞いた。
「生存者のパートナーは討伐隊のリーダーだった方らしく、相手が悪いと解ると新人達を逃す為にベテランチームで殿を務めたそうです」
花菱らしいと思う暁良達だったが、それと同時に餓者髑髏を相手取り、殿を務める事がどれだけ無謀な事か容易に想像出来た。
「そして、生存者の小鳥遊さんは逃走中に餓者髑髏に一度追いつかれたそうです。
これが意味する事は……わかりますよね?」
その意味は、殿を務めてた者達が全滅した事を示していた。
「アイツがやられた?嘘だろ……殺しても簡単に死ななそうな奴なんだぜ?」
暁良が静かに呟くと、
「その口振り、やはり知り合いでしたか……。
お気持ちはわかりますが、隊規をちゃんと思い出して下さいね」
第三部隊の隊規は、
一に仲間を決して見捨てない、生きているならば必ず助けに行く。
二に任務に支障がない限りは有情であれ、支障が出るなら非情になれ
三に生きているならどんな状況でも生にしがみつけ
四に決して死ぬな。
今回の場合は二番目の事を一誠は言っているのだろう……。
「わかってます……ですが、まだ死んだと確定した訳ではないので希望は捨ててないですよ」
暁良の言葉に姫乃や未知瑠、夏希達三人も頷いた。
だが、それを諦めの表情で見やる一誠や他の百鬼夜行メンバーであった。
「さて、それでは司令部から預かっている言葉を皆んなに伝えます」
一誠は第八部隊も同じ内容の事を伝えられているだろう事を理解しているが、第八部隊が率先して動かない事もまた、理解しているので自分で率先して動いた。
「これより、第三第八による大討伐はかなりの規模の戦いになると予想されます。
それに伴い、司令部は非戦闘員が多い為、撤収します……との事です」
当然だろうと、全員が理解している。
戦えない者が居た所で足手纏いにしかならないのだから、この判断は正しい。
むしろ、残ると言われなくてホッとした位だ。
「つまり、今この場を仕切るのは私かアインス君になる」
アインスと聞いて、外国人?と暁良は思いチラッと第八部隊を見るが、仮面をしているとは言え、日本人の容貌にしか見えなかった。
そして、それを察した一誠は、
「あぁ、アインス君達は本名を知られたくないからか、コードネームを名乗っているのです。
そのコードネームは、ドイツ語で1〜10をメンバー其々に当て嵌めているから、リーダーである彼女はアインス君と呼んでいます」
一誠がそう言うと、第八部隊の面々が頷いた。
(名前も知られたくないのか……、これは筋金入りだな)
「それで、アインス君は指揮しますか?」
その言葉にアインスは首を左右に振って否定した。
「指揮……苦手だから、任せる」
アインスはそう言うと、フードを深く被り静かに一歩下がった。
「まぁ、そう言う事ですので、以後は私の指揮下で動いてもらいます。
それでは、相手は餓者髑髏です。
本来ならキツい相手ですが、我々第三部隊は先日、大天狗を討伐したばかりです、自信を持って戦いに臨みましょう」
その言葉に第三部隊は全員が力強く頷いた。
「第八部隊の皆さんも過去に大百足を狩った経験を持つ方も居ますし、力強く感じます。
その強さを今回も発揮して貰えると助かります」
大百足を狩ったと聞いて、暁良や他の面々も多少面を食らった。
大妖怪とカテゴライズされた大百足を倒したとなると、その話しを聞いてみたい暁良だったが、今回は任務に集中する事にした。
「さて、そんな話しをしてる間に逢魔時ですね」
時間が来たと同時に、余りの妖気で世界が歪む。
いや、歪んだ様に感じる程、粘着質な妖気が肌にまとわり付いてきた。
楽しんで頂けたら幸いです。




