七幕
何時もありがとうございます!
こんな時間にUP!
暁良達、百鬼夜行は幻魔による本格的な訓練が開始された。
まず言われた事は第一段階を維持しながら並列して、別の事をやらされた。
「第一段階は無意識レベルで発動できる様にするんじゃぞ。
何故なら霊血突破を使う状況は、常に戦う事を想定されておるんじゃからのぅ」
幻魔の言う通り、戦いは常に色んなことを頭や身体を使って処理していくのだ。
だから、この程度を出来なくては、戦闘しながら霊血突破を使う事は夢のまた夢なのである。
「ほれ鏑木よ、動きを止めるでない。
霊気を血液に流したからと言って身体操作と同じ物で考えるな、常に別の物として考えよ」
幻魔は全員を見て回りながら其々の人間にアドバイスをしていく。
全員が幻魔の対応に素直に応えていく。
(そう言えば、霊血突破を元々知ってた胡桃はどれ位出来るんだ?)
暁良は第一段階の霊血状態を維持しながら、胡桃の方に意識を向けてみると、
「あぁぁぁぁ!!ホントこの技は難しいです!血液はまだ分かりますが、細胞に霊気を流すってどう言うことですか!」
癇癪を起こしているが、その言葉は暁良と姫乃以外の全員が思っている事だ。
(霊気を持たない姫乃はこの訓練どうしてるんだ?)
今度は姫乃に視線を向けると、姫乃も暁良同様視線を向けてきた。
「何か言いたそうだね?私がこの訓練どうしてるか気になったんでしょ〜」
思っている事を見透かされている暁良は、頭を軽く掻くと、
「あぁ、そうだよ。
姫乃は霊気が使えないのに訓練はどうしてるんだ?」
こんな呑気に会話をしているが、幻魔が注意しないのは、必要最低限の霊血を維持できてると見ていたからだ。
「さっきの幻魔が言ってた事は私もやっているわよ、但し妖気でだけどね」
暁良は初耳だった、つまり霊血突破を姫乃は使えると言う事でもあった……。
「そうね、人間とは少しだけ身体に起こる事が違うけれどね」
「どう違うんだ?」
「何%かって言うのはよくわからないけど、最初にツノが生えてくるわね、その後更に力を使うと段々とマトモな理性が失うかな〜。
幻魔が言う様に私もそれ以上は怖くて解放した事ないけどね」
そう言われると何度かツノが二本生えてる姿を見た事あるなと思い出した。
「でも、私は血液に流してるってイメージは無いけどね〜。
さて、余り話してると幻魔が怒るわよ?今もこっち見てるしね」
姫乃の言葉を聞いて暁良は幻魔の方に視線を向けると、此方を見ていた。
(少し、長話しが過ぎたか)
「暁良よ、第一段階は問題なさそうじゃから早々に第二段階に入るのじゃ。
余裕な態度で遊んどる位じゃ問題無いのじゃろ?」
付き合いの長さから幻魔が多少怒ってる事を理解した暁良は訓練に集中する事にした。
(難しいが、無意識下で霊気を纏わせるのは技を使う時と感覚が似ていて慣れているからな、出来なくはない)
暁良は第二段階に問題なく至れた。
「第二段階に入ったなら、そのまま身体強化をするんじゃ。
まだ余計な事はせんで良いからやってみるがいい」
その言葉に暁良は目を瞑り、瞑想するかの様に呼吸を落ち着けた。
(難しいな……、ちょっとずつで良いから今を維持しつつ、いつも通り身体強化をかける)
ちょっとずつ身体強化を掛けていくと、暁良は何時も以上に自身が強化されている事に気付いた。
(これは、間違いなくあの時感じた力だ……、轟鬼と俺はあの時、この領域に足を踏み込んだんだ)
「暁良よ、今のその霊気が細胞内を巡っている状態を身体に覚え込ませ、そして、常に動ける様にするんじゃ。
見た感じ、まだ5%未満ではあるが、大天狗の時に25%まで行けたのじゃ、焦らずにやれば、必ず辿り着けるじゃろ。さて、暁良は合格じゃ、後は自主訓練でもしとれ」
そう言った幻魔は、暁良を自分の訓練対象から外したのか、他の者の指導に向かっていった。
つまりは後は勝手にヤレと言う意味であるが、認められたとは言えその対応に、嬉しい様な悲しい様な微妙な気分になる暁良であった。
(そうか、俺は合格ラインを貰えたのか……。まさか社長から教わってた剣術の経験が霊血突破の技術に役立つとは思わなかったな)
「よかったわね、これで一方的に第一の奴等に好き勝手やられずに済むんじゃない?」
姫乃が再びやってきて、そんな事を言ってきた。
「あぁ、アイツ等の強さの秘密はわかったからな。
これで俺達は第一と同じ土俵に立った」
暁良はそう言って拳を軽く握り、握った拳は此処にいない大河の分も乗せ、更に強く握り込んだ。
「それじゃ、その状態を維持しながら私と戦闘訓練でもする?」
願っても無い事だと思い、コクリと頷いた。
百鬼夜行メンバーと離れた位置に二人は移動し、更にお互いも距離を取ってから見合う。
「今回は、私も出せる分の力は出して良い?」
「あぁ、むしろ出してくれた方が霊血突破でどれ位、能力が向上したかわかるから助かる」
能力が向上した実感はある。
だが、実際にどれくらい上がったのか分からない暁良は姫乃と比べる事によって測る事にした。
「わかったわ、それじゃ私が勝ったら今度こそ二人で何処かに連れて行ってね」
「いつから賭け勝負になったんだ?まぁ、良いけどな。
それじゃ俺が勝ったら何してくれるんだ?」
幾ら自分が成長してるからと言って、姫乃に勝てるとは全く思ってない暁良。
「ふふっ、それじゃ暁良が勝ったら私が暁良と二人で遊びに行ってあげるね」
「それって賭けになってないだろ……。
まぁ、いいや、宜しく頼む」
勝っても負けても暁良が姫乃と出掛けるのは決まっているようだ。
暁良と姫乃、両者は構えを取る。
特に誰が開始の合図をするのか等の事は話さなかったが、
「開始じゃ!!」
幻魔が開始の合図を取ってくれた。
「五月雨一閃!!」
暁良の十八番である斬撃の雨を浴びせる。
そして、その雨は姫乃が剣の持ち手を蹴り上げ不発に終わる。
(初めて、姫乃と戦った時もこれをやられたな……、だが、俺も成長してるんだよ!)
蹴り上げられた剣の持ち手は、上に弾かれた勢いを利用して、バク転で自身を回転させて受け流す。
そして、そこから大きく踏み込んで最速の技を発動した。
「風雷!」
蹴り上げられた際に出来た隙は体捌きにより短縮され、最速の攻撃により隙を帳消しにした。
そして、暁良が風雷を放った時、姫乃は蹴り上げたままの体勢であった。
(イケる!!)
だが、その蹴り上げた足はそのまま踵落としの要領で風雷を弾く。
「やるね!」
「簡単に防いでおいて、よく言うぜ!」
暁良は簡単にと言うが、姫乃としては一瞬だけだがヒヤリとしていた。
姫乃も今の一連の動きを見て、以前までの暁良とは何処か違う気がした。
「それじゃどんどん行くぜ!」
「何時でもいいわよ!」
今の短い戦闘の時間だが、それを見ていた百鬼夜行達は霊血突破の可能性を感じ取れた。
「喰らえ、不知火!」
左右同時に飛んでくる斬撃に姫乃はバックステップで下がる。
しかし、暁良はそれを読んでおり、そこから更に踏み込んで次なる技を放った。
「桜花!」
暁良は普段全く使わない技を使う。
その技は単なる突きなのだ。
しかし、霊力を籠める量は普段込めている領域とは桁違いな、所謂脳筋技なのである。
姫乃も込められた力に絶対に当たる訳にはいかないと、逆にその突きに向かって突き進んでいく。
そして、突きにクロスカウンターを決める様に被せて、その拳を暁良に当てた。
ドォォォォォン!っと大きな音を立てて暁良は吹き飛ばされた。
その勢いに姫乃は思わず「やっちゃった……」と漏らした。
吹き飛ばされた場所には土煙が立っており、暁良がどうなったかわからない状態であった。
だが、
「百鬼夜行内で姫乃の初白星は俺だな!」
姫乃は背後から首筋に刃を当てられていた。
「えっ?どうして私の背後に……」
姫乃には背後を取られて刃を当てられてる状態がよく理解出来てなかった。
「正直ダメージは滅茶苦茶痛いけど、姫乃が刀に拳を被せた段階で何処に攻撃が来るかわかったからな、全力で霊血突破と部分強化をしてダメージを減らしたんだよ。
そんで、俺が吹っ飛んでいった場所にお前の意識が向いてる間に、背後を取ったってだけたぜ」
殆ど奇襲に近い勝利ではあるが勝利は勝利であった。
「ぶぅ〜〜、何か納得いかない!」
姫乃は頬をプクゥと可愛く膨らませて文句を言っている。
「まぁ、勝ちは勝ちだからな。
さて、今度の休みは映画でも行くか」
「むぅ〜、誤魔化されてる気がするけど、まあいいわ……。
それと映画でいいわ!楽しみにしてる」
喜怒哀楽が激しい姫乃の姿だったが、暁良は微笑ましく姫乃を見ていた。
これからもどうぞ宜しくお願いします。




