表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/62

一幕

修正中。

 あの戦いから一週間経過すると、暁良も無事に退院出来る程快復していた。


「やっほ〜、無事退院出来たね?」


 姫乃が病院まで暁良を迎えに来ていた。


「迎えに来てくれたのか? ありがとう」


 素直にお礼を言う暁良、これが夏希に対してならどんな風にお礼を言うのか気になった姫乃であった。


「暁良の退院日だし、普通に来るよ」


 当然ね!って顔をしてくる。


「それはそうと他の奴は今日は訓練か?」


 そう言って二人は病院を後にする為、歩き出して行く。


「そうだよ〜」


 寂しくは無いが、迎えに来たのが姫乃だけだったのか気になった。


「皆も暁良が退院する前にある程度実力を付けたいんじゃないかな? あんな戦い見せられたしね」


 大天狗での戦いを言ってるであろう姫乃。


「そうか、無我夢中でやってた事だから次は出来るかわからんけどな」

「あはは、あの時は皆んな必死だったし、火事場の馬鹿力って奴かもね」


 暁良の言葉に姫乃は笑いながら返した。


「それで、俺がいない間は何かあったりしたか?」

「特にないか……あっ、そう言えば夏希の様子が最近おかしいかな?」


 夏希の様子がおかしいと聞き、何時もおかしいだろって暁良は思ったが、流石にそう言う話しをしているのでは無いだろうと察する。


「どうおかしいんだ?」

「何か最近元気がないのよね……訓練にも身が入ってないように見えるし」


 元気が取り柄と自分で言う夏希が、元気がないと言うのは確かにおかしいと思う暁良。


「なんだろうな? まぁ、明日会ったらそれとなく聞いてみるか」

「あぁ〜それなんだけど、一誠から暁良は明日まで休みで良いって言ってたよ」

「そうなのか? 入院で身体が訛ってるし、明日から気合い入れようかと思ったんだが……」


 一昔前の暁良なら素直に休みを喜んでいた筈だが、今は前と少し違う様だ。


「それじゃ、明日はどうするかな?」

「暇なら、何処か出かけようよ」


 時間が空いた暁良に、姫乃はお出かけしようと持ち掛けた。


「そうだな、それじゃ明日はぶらぶら出かけるかー」

「やったぁ、お出かけ! 何処行く?」

「なんだ? そんなに出掛けるのが嬉しいのかよ」


 素直に喜びはしゃぐ姫乃を見て暁良は退院した実感を得た。


「あ、でも明日は先に轟鬼の所に行ってもいいか? 折角時間も出来た事だしアイツに聞きたい事が有ったんだよな」

「それなら今でも良くない? 折角、病院の近くにいるんだから……」

「そうだけど、退院だ!って言って病院を出たのに、また戻るって何か恥ずかしくないか?」


 よく分からない理由で恥ずかしがる暁良。


「別に忘れ物した訳じゃないんだから恥ずかしくないよ〜?」

「そ、そうか……それじゃ外にも出たし、お見舞いの品を買ったら病院に戻るか」


 そう言って二人はお見舞いの品が売ってる店を探し始めた。



 魔強導隊第一部隊は、全員が地に伏しており、それを見下ろすスーツ姿の男がいた。


「ふむ。久しぶりに訓練の手解きをしてあげたが、この結果はどういう事だ?」


 そう言ったスーツ姿の男、源影広は地面に倒れている渡辺津名を一瞥した。


「すいません……ですがまだ私達では影広様に太刀打ちできませんよー」


 津名の言葉に影広は眉を顰めた。


「この結果はどういう事だ? と聞いたのだ……泣き言など不要だ」


 影広が怒ってる事を悟り、津名は慌てて説明した。


「は、はい。単純に私達が【霊血突破(れいけつとっぱ)】を使い切れて無いだけであります!」


「お前達は確か……10%程の解放率だったな? ついでだ、理解度を知りたい。説明してみろ」


「はい! 霊血突破(れいけつとっぱ)は身体強化で細胞や血の一滴にまで流し込む技術、言わばドーピングです」

「続けろ」


 影広は眉一つ動かす事無く続きを促す。


「はい! その強さは深度によって大きく変わります!1〜10%では、通常の身体強化で覆った対魔師の、約1.5倍近く変わります! ──そして、この時点では外見的な特徴は現れません!」

「続けろ」


 先程と同じ様に言った。


「10〜20%は約3倍程出力が上昇します。──そして15%を越えてくると瞳が段々と赤く染まり出すのが特徴です」


 津名は先日、大天狗と戦った暁良と大河の事を思い出す。


(あの二人は霊血突破の存在の事を知らない筈。そしてあの眼の色は……いきなり20%の解放を行った? 巫山戯てる)


 周りから天才と言われた自分が出来ない事を、知りもしない二人がやってのけた事に津名はギッと静かに歯軋りをした。


「そして、20〜30%まで」


「もういい」


 津名の言葉は影広に遮られた。


「何か間違っていたでしょうか?」


 津名は間違えたから止められたと思ったのだ。


「違うな。それ以上を知っていようが知らなかろうが、今のお前達には関係ないからだ」


 暗にお前達は20%を越えられないだろ? と言ってくる。


「……はい」


 その言葉に第一部隊はそう答える事しか出来なかった。


「津名君、最近の君は十二聖筆頭候補と言われて、少し自惚れているのではないか?」


 津名には、そんな積もりは全くなかった。ただ、楽しく盛り上げようとしたりはしてはいるが……。


「決してそんな事はありません!」

「ならば、次の大討伐が起こるまでに、全員15%は目指してもらう」


 その言葉に津名達は「15%……」と呟き、碓井に関しては「あら〜大変」としか言わなかった。


「出来るだろ?霊血突破の存在すら知らない奴が、二人も20%を超えたんだろ? 君達が本当に天才なら容易いだろ」


 無茶を言う! 津名はそう思っているが、影広の言う通り実際に越えてる奴がいる為、反論出来ずただ頷く事しか出来ない。


「では目標も出来た所で……十分に休憩は出来ただろ? 訓練の再開だ全員で掛かって来なさい」


 そう言った影広の瞳は真っ赤に成る程、血走った眼になっている。


「素人が成れた20%だ、これ位でやらせてもらおう」


「御指導お願いします……」


 津名のその挨拶に、残りの三人も「お願いします」と続いた。


 そして暫く後には、最初の様に全員が倒れ伏すのである。



 場面は再び変わる。


 暁良と姫乃は大河の見舞いをする為に、病院に戻って来た。見舞いに来たと言うのも勿論本当の事ではあるが、暁良はあの戦いの時、自分と大河に何が起こっていたのかを話したかったのだ。


「そうですねあの時は無我夢中でしたから──ただ、どうにかしないと……って思いは強かったです」


 大河に戦いの事を聞くと、その様な言葉が返ってきた。


「そうか、俺もあの時は無我夢中でもっと速く! もっと鋭く!って考えてたな」


「確か、あの時二人は真っ赤な眼をしていたけど、何かしたって自覚はあるの?」


 二人の会話を聞いていた姫乃は、思い出したかのように言った。


「あの時は大天狗の動きも見えたし、身体も異常に軽かったしな……何でそうなったかはサッパリ分からんが」

「そうね、あの時のあの動きは私もビックリしたし、第一部隊も同じ様に思ってたと思うわ」


 姫乃はあの時の二人の状態を、第一部隊ならば何か知ってると予想していた。


(あの時の津名の顔は本当に驚いた顔と悔しそうな顔が入り混じっていた気がするのよね……?)


 あの表情を見てから、第一部隊の強さの秘密が此処にある気がしてならない姫乃であった。


「結局、あの時の事を話しても解決しないか〜。まぁ相談して強くなれるとは思っていなかったがな」


 暁良は収穫が無い事は想定内ではあった。


 そして話も一段落ついた所で大河が、


「まぁ、解決した所で今の俺には剣が握れないのでどうしようも無いですけどね!」


 等と笑いながら言ってくる。


「「…………」」


 大河の笑顔の自虐に、暁良も姫乃も何を言って良いのかわからなかった。


「あっ、すいません。笑う所だったと自分では思ったのですが……」

(笑えねぇよ!)


 暁良と姫乃は表面上は苦笑いをしつつ心の中で強く突っ込みを入れていた。


「さて、それじゃそろそろ帰りましょうか?」


 姫乃は病室に備え付けてある、時計を見て、暁良に帰ろうと促す。


「あぁ、こんな時間か。……そうだなそろそろ帰るか」


「あ、源先輩も姫乃さんも今日は有難うございました! また来てください!」


 二人が帰ろうとしたので大河は二人にお礼を言った。


「おぅ、それじゃまた来るから」

「ゆっくり休んでね」


 二人が別れの挨拶を口にして部屋から出るとそのまま病院を後にする。


「さて、この後は何処か行くか?」

「うん、行く! 最近は二人で飲みに行ってない気がするから飲みに行こうよ!」


 その言葉に暁良は「そうだな」と返して、近場のオシャレなお店に二人は入っていった。


 お店では明日何処に行くかの話しをし、行きたい場所が決まる頃には結構な時間が経っていた為、遅くならない様に二人はお店を出た。


「はぁ〜〜! お酒美味しかった」


 姫乃は今入ったお店のお酒をかなり飲んでいた。


「結構飲んでたしな、明日は大丈夫か?」

「大丈夫だよ? 私はそんなに酔っ払わないから! 明日はちゃんと水族館に行くんだからね」


 明日、行くのは水族館に決まったのである。


「そうか、それじゃ明日もあるし今日は解散と行きますか」

「そうだね、それじゃまた明日!」

「おぅ、また明日だな。おやすみー」


 そう言って二人はそれぞれ帰路に着いたのである。

何時も見て頂き有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ