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それぞれの想い

修正中。

 百鬼夜行の仲間達が病室から出て行くのを確認すると我慢していた痛みに大河が苦しみだした。


「痛っっぐうぅ!!」


 医者に言われなくても、大河は自分の身体の事を自身で理解していた。その上で皆んなと普通に接していたのだった。


 それは皆んなを心配させない……と言う気持ち勿論あったが、何よりも自分は対魔師をやめるつもり何て最初から無い為だ。


 大天狗に最後の攻撃をしている時の自分は、確実に轟鬼家の中でも上位に位置する実力者であると自覚している。


 あの感覚を味わってしまうと、自分はまだ上の高みに行けると言う渇望が出てきてしまう。


 確かに今直ぐに剣を握る事はできないだろう、将来的にも握れるかはわからない。──だが諦めてしまえば握れたかもしれない未来も閉じてしまう。


(俺は負けない……俺は轟鬼だ! 必ず、必ず仲間が居る戦場に戻ってみせる!)


「その為にまずは治さないとな……」


 その呟きは大河しか居ない病室に静かに響くのだった。



 一人帰路についた夏希は見慣れた自分の部屋で、自身の力不足を嘆いていた。


(轟鬼君はもう……刀を握れない……。──もしも、私がもう少し強かったら何かが変わったのかな?)


 暁良と轟鬼が大天狗に殴られ、吹き飛ばされる光景がどうしても頭から離れない。


(もしも攻撃されたのが私だったら……?)


 あり得たかも知れない現実を想像すると身体が自身の想いとは裏腹に勝手に震えてしまう。


(怖い……。私は只、皆を守りたいだけなのに……)


 夏希は対魔師になった時に暁良とやり取りした事を思い出していた。


「その姿がカッコ良くて、私は人を守る対魔師になりたいって思ったんです」

「それは命を賭けれる理由なのか?」

「正直、命を賭けれるかはわかりません!」


 あの時の言葉の意味が本当の意味でわかってしまった。


(私は考えが甘かったんだ。本当に身近な人達があんな事になってやっと分かった……)


 自分に命を賭ける覚悟なんかなかった。分からないじゃなくて……無かったんだ。


「怖いよ……怖いよ暁良さん……」


 その呟きもやはり部屋に虚しく響いた。



 未知瑠は訓練所で一人自主練をしていた。

 次に大天狗みたいなのが現れた時、自分が先陣を切ろうと思ったからだ。


 その理由は……最後の状況で、後輩でありペア相手の大河に重荷を背負わせてしまった事を後悔しているからだ。


 未知瑠もベテラン対魔師だ、身近な人がこの様な結果になったとしても悲しくはあるが受け入れている。


 だが、それでも何か出来た筈だと自分自身が、自分の魂が言っている。


(最後の瞬間全員が油断した! 大天狗相手に油断なんて出来なかった……しちゃいけなかった!)


 あの時の油断を後悔する。


(だから次は油断しない! そして大河があの時、暁良の隣で戦った様に次は私が……)


 次こそはと言う想いが握った剣からは強く感じられる。


 そしてこの日、訓練室の証明が落ちる事は無かった。



 姫乃は大天狗相手にこの結果は良くやったと思っている。


「違う! もっとアイツらが協力的なら……暁良や轟鬼だって無事ニ帰れたんだ!」


 この結果は第一部隊が起こした様な物だ。


「そうだ! 第一部隊が……渡辺津名! 綱ァ……アイツはこの時代でも私の居場所を壊すのカ!」


 渡辺津名は姫乃にとっての完全な敵だ、状況が許すなら必ず殺す。


「あァ、暁良ヲ奪うナら全てヲ殺しテでも!」


 ガンッと壁に自身の額を打ちつけた。


「この考えはダメ……きっと良い手段があるはず。必ずあるよ」


 姫乃は自分自身に言い聞かせると再び思考の波に飲み込まれていった。



 暁良はあの時、呪いとはまた違う感覚、自分が自分じゃない様な状態を思い出していた。


(あの時、俺の全てが研ぎ澄まされていた。もしも、あの力が自在に使えるなら? 俺は守りたい者を守れる様になるのか?)


 力の消耗が激しかったが、大天狗の動きも捉えられた。


 攻撃も通用していた。


 身体も軽かった。


(早く身体を治そう……そして、轟鬼の分まで強くなってアイツの分まで俺が妖怪を倒さないとな)


 暁良は灯が消えた暗い病室で今後の事を考えながら眠りについた。

いつも見て頂き有難うございます。

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