終幕
修正中。
目が覚めると、そこは病室だった。
暁良は痛みで軋む体を起こす。
「痛てぇ、俺は……一体どうなったんだ?」
直前に大河が殴られ、そのまま自分も吹き飛ばされた所で記憶が途切れていた。
(そうだ……轟鬼! アイツは無事なのか?)
辺りを見回すも誰も居ない。
ナースコールを押そうと体を動かそうとした所に部屋のドアが開く。
「──暁良起きたのね!」
「姫乃、大天狗との戦いはどうなっッ痛ァ」
全身を激しい痛みが襲う。
「無理しないで暁良! 命に別状は無いとは言え怪我で三日も寝てたんだよ?」
姫乃は心配で言うが、暁良としては早く状況を知りたかった。
「ハァハァ……俺は大丈夫だ。それより轟鬼は大丈夫なのか? 大天狗は一体どうなった」
暁良に何を言っても無駄と悟ると姫乃は「ハァ〜」と深く溜息を吐いてから説明を始めた。
「答えを言うと大天狗は討伐できたわ。それに相手を考えれば被害も想定以下よ」
姫乃の言葉に暁良は一先ず落ち着けた。
「それじゃ、轟鬼とかも無事だったのか?」
「えぇ……生きてはいるわ」
含みのある言い方に暁良は聞き返した。
「どう言う意味だ? 何があった」
姫乃はベットの横にあった車椅子を用意する。
「乗って。轟鬼の所まで連れて行くよ」
「あぁ、頼む」
暁良は痛む身体に鞭を打つと、姫乃の介助を受けながら車椅子に乗った。
姫乃に連れて行って貰った病室は既に第三部隊のメンバーが居た。
「源先輩、今きたんですか? 俺より後に目が覚めるとか鍛錬不足ですよ」
大河が元気そうに挨拶をして暁良と姫乃を招き入れてくれた。
「そう言うのは俺に勝ってから言えよってか何だ……思ったより元気そうじゃん?」
元気な事にホッとした暁良は大河のいつもの軽口につい軽口で返してしまう。
「何言ってるんですか? 直ぐに勝ちますよ! 覚悟して下さい!」
「早く勝って俺を楽させてくれ」
そう言って全員が笑う。──しかし、暁良と大河以外は本気で笑ってる様には見えなかった。
その後、時間を忘れて皆で談笑していると一誠から「そろそろ休ませて上げましょう。源君も、ね?」と言って病室から全員出ていった。
病室から少し離れると一誠は暁良に話しかけてくる。
「源君は轟鬼君の事どう思いました?」
「どうって……元気そうでしたね。これなら俺も轟鬼も直ぐに復帰出来そうです」
暁良は一誠の言葉に思った事をそのまま伝えた。
「……彼はもう武器を握れません」
あんなにも元気だった大河を見た後だと、とてもその言葉をそのまま受け取れなかった。
「なん、で?」
「彼の利き手と利き足は粉砕骨折に加えて、その粉々になった骨が神経を傷付けています。長い時間は掛かりますが一応現代の医療でも治す事は可能です」
「……なら」
「ですが、それは日常生活を普通に出来る様になるだけです。戦闘行動をする事は二度と出来ないでしょう」
一誠の言葉に暁良は黙る事しか出来なかった。
「彼はまだ、自分の身体の事を知りません。もう少し落ち着いたら私同伴の下、医師が話します」
その場にいた全員が重苦しくも素直に頷いた。
「あの時、源君と轟鬼君の二人はあの場にいた誰よりも強かったです。そして大天狗相手に死者も出さなかった……誇って下さい」
「……そうですね、死者が出なかった事を素直に喜びます」
その顔は喜びとは真逆の顔をしていた。
「さて、それじゃ源君も部屋に戻って今日は休んで下さい。皆さんもまた明日改めて源君のお見舞いにしてくださいね?」
一誠の言葉に全員が返事を返すとそのまま解散となった。
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「おかえりなさい」
姫乃に車椅子で部屋まで送ってもらうと第一部隊指導隊長の渡辺津名が居た。
「なんのようだ……?」
暁良と姫乃は警戒心をありありと出している。
「そんなに警戒しないでよ、普通にお見舞いに来ただけだよー」
「そうか有り難く受け取っておくよ。それじゃ休みたいから帰ってくれるか?」
暁良と姫乃は内心、コイツ等が最初から本気で戦っていたなら大河は無事だったかもしれないと言う思いがある為、どうしても冷たくなってしまう。
「そう? それじゃ、早く治してねー」
そう言って渡辺津名は去って行った。
「暁良、何かあったら直ぐに呼ぶんだよ? 私は近くのホテルで暫く待機してるから……直ぐに駆けつけるよ」
姫乃の言葉を素直に嬉しく思う暁良。
「あぁ、有難うな? 今回も姫乃には助けられた……」
「フフッ、また私に貸しが出来ちゃったね?」
「そうだな……また返さないとな」
そう言って軽く別れの挨拶をすると姫乃は部屋を出て行った。
病院から少し離れた場所で姫乃は津名と待ち合わせをしていたかの様に再開した。
「待たせたわね」
「大丈夫ですよ」
姫乃の言葉に津名は当然な感じで返す。
「今回の事は誰が糸を引いてるのかしら?」
姫乃は単刀直入に聞いた。
「言うと思います? って言いたい所ですけど今回は頑張ってましたからヒントだけは教えてあげます」
以外と素直に答えてくれそうだ。
「とは言っても姫乃さんも薄々気付いているんですよね?」
津名が言う通り姫乃は裏で糸を引く存在に想像は付いていた。
「私達に命令出来る立場の人ですよ」
「やはり、十二聖の誰かかその近しい人物ね……」
姫乃は合同討伐が捩じ込まれた時点で予想はしていた。
「正解でぇーす。おめでとう御座います!」
手をパチパチと拍手する津名。そのふざけた態度に姫乃は怒りを募らせる。
「貴方を今この場で殺してやりたいけど、それをやる訳にはいかない……」
「そうですよね? ここで暴れたりしたら折角貴方に対して上がってた評価がまた下がって討伐されちゃいますもんね」
姫乃は自分がまだ、討伐保留の状態なのがとても歯痒かった。
「えぇ……でもね暁良に何かするなら関係ナくなコロスわヨ?」
「貴方に出来ます? 御先祖様がしたみたいに腕落としちゃうよ?」
一触即発の空気になる。
「「…………」」
津名が先に緊張を解いた。
「まぁ、暫くは何もしないので安心して下さい」
「そうして頂戴」
それを最後に二人は別れる。
ここは対魔教会本部のある一室。
その部屋で話す二つの影があった。
その一つは渡辺津名である。
「茨城童子は色々勘づいているようだな?」
男が渡辺津名に問いかける。
「そうですね。妹の監視にも完全に気付いてるようです」
津名は何でも無い様に言う。
「まぁ、第三部隊は今回欠員が出たのでそこに妹をねじ込もうと思っております」
「その辺の采配は任せる。十二聖筆頭候補として恥じない働きをする様に」
「わかりました」
「それでは次の吉報を待つ」
男はそう言って話を切り上げた。
「はい、それでは失礼します。十二聖が一人、源 影広様」
そう呼ばれた男は暁良とよく似た顔をしていた。
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