十二幕
修正中。
暁良は朝から社務所に行き、腕輪の浄化とメンテをして貰う為、神社に訪れたのだった。
神社に到着すると、参拝客の相手で巫女さん達は忙しなく動いていた。
「そういや、早瀬にはアレから会ってないな……」
メール無視、着信無視をしたまま携帯が壊れた為、返信も出来てない状態だった事を思い出す。
「社務所に入ったら煩くなりそうだな……」
気怠げに呟き、そのまま社務所の中に入ると予想していた喧騒は無かった。
不思議に思って社務所内を見回すと、何時も居る早瀬の姿は何処にも無かった。
(あいつ今日は休みか?)
無駄に緊張した暁良は、早瀬の代わりに受付していた娘に腕輪を渡すと、そのまま社長が居る部屋へと向かった。
・
・
・
幻魔の部屋をノックすると、何時も通り「入れ」と返ってくる。
「失礼します」
「うむ。今日はどうした?」
暁良の今日の目的は浄化は勿論の事だったが、一番の理由は茨城童子の事で報告と相談に来たのである。
「報告したい事があります」
「なんじゃ?」
幻魔はいつも通りの重圧をかけてくるが、橋姫と戦った事による物か、前ほどの重圧は感じなくなっていた。
「……茨城童子の事で御座います」
「──どう言う内容じゃ?」
「はい。茨城童子は現在、私と共闘関係を結び、行動を共にしております」
「……」
報告の続きを待つ様に、幻魔は無言で次の言葉を待った。
「尾上山は現在、妖怪が居らず、それどころか周辺の妖怪の数が激減している状態です」
「その報告は鏑木からも受けておる」
「はい……それは茨城童子が非常に友好的であり、他の妖怪を御しているからだと、私は思っております」
「何が言いたいんじゃ?」
幻魔は暁良が次に何を言うか、薄々と分かっている。
「対魔教会から発令されている、茨城童子の討伐を止めて頂くように出来ませんか?」
やはり予想通りの言葉が返って来た幻魔は即座に、
「それは無理じゃな」
無理だと即答される。
「何故ですか?」
「簡単じゃよ。あの鬼は過去から現在迄に、人を殺し過ぎている」
幻魔の言う事は尤もである。
「それを承知でお願いしております!」
「無理な物は無理じゃ」
取り付く暇もないとはこの事で、やはり無理なのかと少し諦めモードの暁良。だが、幻魔も鬼では無い。
交換条件として一つの可能性を示してくれた。
「茨城童子が何かした時、お主が責任を持って止める事が出来る……と言うなら考慮しよう」
茨城童子が本気で暴れたら、暁良では絶対に止められない。
そんな事は幻魔も暁良も理解している。
ならば何故こんな事を聞くのか? それはお前の覚悟を見せてみろ! と受け取った暁良は、
「はい! この命に変えても止めて見せます!」
即座に自分の命を賭け金として使う。
「言うだけなら誰でも出来る。──しかし、お主の覚悟は見せて貰った……」
「なら!」
暁良の表情を見て、少し思案した幻魔は深い溜息を吐くと。
「討伐中止は無理じゃが、討伐保留の申請をしておこう」
討伐処理は何があっても駆除、と言う状態から討伐保留の場合は何かあったら駆除、と大分軽くなる結果になった。
「有り難う御座います!」
「まぁ、暴走する前に止められるだけの力を実際に身につけるのじゃぞ? それが一番良い方法なのは確かなのじゃから……」
「はい!」
そうして暁良は嬉しそうに部屋を出て行くのであった。
部屋に残された幻魔の表情は、息子の成長を嬉しそうに見守る親の様な表情をしていた。
「あっ〜……明後日から仕事じゃぞって言うの忘れてたわい」
イマイチ締まらないのである。
・
・
・
腕輪に溜まってた妖気の浄化と、給料を受け取り、神社を後にした暁良は牛丼屋でご飯を食べ帰宅した。
家に着く頃には結構な時間になっており、訓練してそのまま寝ようと考えていた。
「それじゃ、はじめるか」
家のベッドで胡座をかき瞑想を始める。
前回やった瞑想と少し違い、今回は一度に使える霊気の出力を上げる為に、全身から同じ出力の霊気を、内から外に長時間放出しつづけるだけだ。
言葉にすると簡単そうだが、実際にはかなりキツい訓練なのである。
(相変わらず地味でキツい……)
・
・
・
既に十五分は霊気を放出続けている。
循環させず、放出する形な為、出て行くだけ霊気だから消耗は激しい。
更に十五分が立つ。
以前の暁良なら、ここで終わる。
そこから約三分後、暁良の霊気が底を尽く。
「ぷはぁーーー! もう無理!」
霊気の総量と出力は前回の訓練から比べると、三分相当分、多く放出する事が出来る様になったのだった。
訓練でヘトヘトとなった暁良は胡座状態まま後ろに倒れ込み訓練を終える。
・
・
・
暫くして動ける位に回復した暁良は、スマホにメールが届いてる事に気づく。
「(暇だからメールしてみた! 何か面白い話しして!)」
メールを開くとそんな事が書いてあったので早瀬の話しをしてあげると、会ってみたいだのと言うから、今度連れて行くと適当に返事した。
その後、未知瑠からも先日の居酒屋で「(私は何かしてしまった?)」とか、「(明後日からまた仕事)」があると聞かされ、訓練同様に疲れきってしまう。
「それにしても……ここ数日は本当に色々あったな……」
最近の濃密な出来事を思い出すと、新しい仲間との出会いだったり、死にかけたりもしたが、意外と今を楽しんでいる自分が居ると思うのだった。
「まぁ、今の生活が続くように頑張るか」
そう呟くと暁良の意識は穏やかに眠りについていく。
見て頂きありがとうございます。




