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スキー宿泊学習中に考えたお話。  作者: 在日日本人
変化
8/9

失望と苦難

テスト週間は書かないと誓ったはずなのに、、、。今日は5/11です。


酷い風圧だった。あのお母さんと付き合っていける桐岡は、強いんだろうな、と勝手に思った。玄関ドアを閉じて、鍵を二つ閉めた。あいつの去った家は、やけに静かで、少し寂しくなった。さっき片づけたので、ほぼ片づけるものはなかったけれど、体が勝手にクッションやなんやらを整頓し始めた。

結構うまく作れたな、ご飯。あいつ犬派だったんだな、知らなかった。

でもお母さんはネコ派なんだな、家族で違うなんて珍しいな。

恋をしていた。今気づいた。桜を撮るあいつを撮りたくなったのも、ボサボサの頭を見て光を感じたのも、全部。

気付いたら急に顔が赤くなった。耳まで、耳まで赤くなった。慌てた。今繋がった。今なら紐を手繰り寄せる事が出来る。今なら、あいつと俺はただのクラスメイト以上の関係にある。そうだ。自分の中の別の自分が言った。

ポケットのスマホが振動する。父さんか、

『もうすぐ帰る。大丈夫か?今夜の俺らのご飯はピザとワインだったぜ』

何だ、それだけか。

『大丈夫』

ほお、とため息を吐いてソファーに座った。父の文が画面に張り付いている。

ライン、ライン、ライン?ライン!何もない桐岡とのトーク画面を眺めた。

今なら、学校で陰の覇者のようなあいつと繋がれる。今なら。

気付いた時には体が勝手に送信していた。

やらかした。既読無視、終わった。はっきり振ってくれればよかったのに、行く気が無いなら、イタいヤツだと思ってるなら、いっそ、はっきり……。なんて考えた。朝、六時半。薄暗い部屋の片隅で、明るいスマホを持った俺は震えていた。学校いけねぇ、気まずすぎる。いけねえいけねえ、ああ。

その時ふと思いついた、あいつより早く学校に行けば?そしたら顔を合わせずに済む。簡単なことだ、どうして今まで気づかなかったのだろう。

そうと決めたら早速準備を始めた。リュックに荷物を詰め込んで、着替えてご飯を食べて歯磨きをした。時計を確認、七時。まだか、まだそんななのか、その時間は俺に悶えるほどの苦しみを与えてくれた。その後吐き気がありながらもやっと学校に到着した。本当の勝負はここから始まる。

素早く自転車を停めて靴を履き替える。

そして音もたてずに階段をすたすた登る。教室に入る前、あいつがいないかきちんと確認する。居るのはいつもの面子だけ、勝った、と思った。

そのまま教室の端の方の席に着いて、本を開いた。よくぞここまで、称賛の声が聞こえたような気がした。シャツが下着越しに肌にへばりついていて気持ち悪い、スボンも蒸し風呂状態になっていた。本越しに教室に入って来る人達を観察した。

トシ、楓、陰キャのあいつ、陽キャ女子の軍団、伝説の田中、北村、内藤。

遅い、遅いと逆に困ってしまう。まだか、まだ来ないのか、貧乏揺すりを始めた。会いたくないのに来るのを待っている、どっちなのかはっきりして欲しいものだ。

その時、来た。紛れもないボサボサ、メガネ、あれは桐岡だ。

入ってくると俺と同じルートで席に着いた。

俺は恥ずかしすぎて顔を腕に埋めた。

嫌われていたらどうしよう、なにあいつキモとか家で言われたんだろうか、はたまたそれは考え過ぎと言うものなのだろうか、わからねぇ。

後ろでコツンという音がしたが別に男が黒板消しでも吹っ飛ばして遊んでいるんだろう、と思った。クラスの騒音が今は心地よかった。

ずっとこのままこうしていられたら。とも思った。消えたい、消えたくなった。弱い男だな、とも。肩になにかがぶつかった、しらばっくれていた。気にしない、気にしない、そう決意したがその決意はすぐに崩れた。

肩を叩いた主が桐岡だったからだ。

次は444日にいらしてください。


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― 新着の感想 ―
[良い点] がんばれ [一言] たのしみにしてるよぉぉぉ
2022/07/30 00:18 通りすがりのchiba
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