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千の魔剣の物語  作者: 名も無き魔剣の所持者
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二本目 魔剣カリバーン

二本目 魔剣カリバーン


 孤高を掲げろ、命を燃やせ。

 命に代えてでも、守りたいものがあった。




 聖剣エクスカリバーと対を成す剣。

 聖剣エクスカリバーが人ならざる者によって創られた最高の剣であるとするならば、魔剣カリバーンは人の創った最高の剣であると言える。

 この剣は紀元前四百三十七年、史上最高の鍛冶師、イェリフェリによって打たれた。

 彼はそれまで自他ともに認める世界最高の鍛冶師だったが、前年英雄ジークフリートが悪竜ファフニールの腹より発見した聖剣エクスカリバーに、彼の最高傑作であった幽玄剣フィエラを破壊された。

 それに憤慨し、対抗心を燃え上がらせた彼は、悪竜の一本角を一年間一秒たりとも休まずに鍛え上げ、魔剣カリバーンを創った。

 魔剣を創り上げた直後、一度もその剣が振るわれるところを見ることなく、鍛冶師イェリフェリは息を引き取ったという。

 彼の執念はいつしか妄執へと変質し、その魂すらも磨耗させたのだ。

 魔剣カリバーンも聖剣エクスカリバーと同様に、争いの元になり時代の波に呑まれた。

 しかし、紀元前七年に現れた魔王ゲルドラが魔剣カリバーンを使用したことが広く知られている。

 悪竜の腹から見出された聖剣エクスカリバーを携えた勇者ヘレネスと、史上最高の鍛冶師によって作られた魔剣カリバーンを携えた魔王ゲルドラの戦いは多くは伝えられていない。戦いに参加した者が、皆口を噤んだからだ。

 しかし、勇者ヘレネスは魔王ゲルドラを廃した後、一言だけこう言った。

『鍛冶師イェリフェリは間違いなく人類最高の鍛冶師だった』

 と。

 この言葉と、決戦後に破壊された魔剣カリバーンから推察するに、聖剣と魔剣の戦いは恐らく完全に互角であったのだろう。しかし、最後は使い手の技量の差で決着が付いたのではないか。

 魔剣カリバーンを持った者はイェリフェリの妄執に影響され、魔に堕ちるという。

 それを恐れた勇者が、聖剣を以て魔剣を破壊したのではなかろうか。

 筆者はそうであると確信しているが、もちろん他の説も存在する。この手記は私の意見しか書いていないが、他の文献も参照することを推奨する。

2021/09/11 加筆修正


タイトルにもなっている『魔剣』と、魔剣カリバーンの『魔剣』はべつの概念です。

一般的な『魔剣』とは、魔法のような力を持った剣のことであり、魔剣カリバーンの『魔剣』とは、固有名詞です。


→一本目

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