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千の魔剣の物語  作者: 名も無き魔剣の所持者
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二十二本目 霊魂剣カルト

二十二本目 霊魂剣カルト


 霊魂剣カルトは、死者と対話するための剣である。

 紀元前九百年頃に、サイギルド大陸北西部に成立した国家、ジェルモニス朝カイラでは、巫女は祈祷によって預言を得、国を導いていたことが、近年の発掘調査で発覚した。

 またその際に使われていたと思われる剣が、霊魂剣カルトである。

 当時の石板に残されていた古代文字を解読したところ、霊魂剣カルトには死者と対話する力があったことが判明し、均衡塔は霊魂剣カルトを魔剣に認定した。


 とある男が、霊魂剣カルトを買い取った。

 彼の名はロッドフェルト。誰もが知る、あの大企業の創始者である。

 彼は若い頃に妻を亡くしており、生涯その愛を彼女だけに捧げたことは有名であろう。

 ロッドフェルトは霊魂剣カルトをその莫大な資産をつぎ込み買い取った後、亡き妻と対話するために霊魂剣カルトを使用した。

 何があったのか詳細は不明だが、彼の回顧録によれば、ロッドフェルトは二度と霊魂剣カルトを使うことはなかったという。

 そしてそれは、決してネガティブな理由によるものではなく、寧ろポジティブな理由によるものだったと、彼は親しい友人に語っていた。

 そして、彼は最期に次のような言葉を残している。


 死者は死してなお、我らの心に生き続ける、と。



 弔いとは、遺された者のための行為であると、筆者は考える。

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