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千の魔剣の物語  作者: 名も無き魔剣の所持者
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二十本目 暁闇剣アイナ

二十本目 暁闇剣アイナ


 暁闇は全てを暴いていく。

 地上に在るものは全て暁闇の前には無力である。




 暁闇剣アイナは、紀元五千九百二十三年からカラハン大陸を三十年間に渡って覆った災害『明けない夜』を終わらせた剣である。

 あるいは神が人類を救うために遣わした剣とも言われる暁闇剣アイナは、ある日突如として天より降ってきた。

 曰く、その剣の身は光という概念そのものであったとか。


 夜明けは古来より人の希望となってきた。

 猛獣に震える夜が終わるということ。それは人に安堵をもらたしてきたのだ。

 故に、夜が明ける前の暁闇を人々は(こいねが)った。

 『明けない夜』よ、もう明けろ、と。


暁闇剣アイナが地上に刺さると、カラハン大陸を覆っていた宵闇剣イウナの放出した闇が一瞬にして晴れていった。

 上空よりその光景を目にした者は、波打つ水面のように闇が晴れていったと語った。

 均衡塔はすぐさま原因の調査に乗り出し、そして発見したのは小さく明滅しながら崩れゆく暁闇剣アイナと、一片の闇も残さず塵と化してゆく宵闇剣イウナのみであった。

 紀元五千九百五十三年、ここに人類を襲った未曽有の災害、『明けない夜』は終焉を迎えた。

 そしてその十年後、均衡塔と世界連盟の共同で、暗黒時代の終結宣言がなされた。

→十九本目

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