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千の魔剣の物語  作者: 名も無き魔剣の所持者
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十六本目 祭祀剣ヘレナ

十六本目 祭祀剣ヘレナ


 邪神ヘレナを信仰する邪教、ヘレナ教の祭祀に使われていた剣。

 彼らは人を生贄に捧げ、この剣に大量に吸わせていた。

 祭祀剣ヘレナには柄の部分に一つの眼球が付いており、耳を近付けると心臓の鼓動のような音が聞こえてきたという。そして、剣が人の血を吸う度に眼球は成人の身体よりも大きくなり、同時に鼓動は十キロメートル先からでも聞こえるほどに大きくなった。

 祭祀剣ヘレナが人の血を吸い、成長しきった暁には邪心ヘレナが復活すると信者には信じられていた。

 彼らにしてみれば残念なことに、そして我々にとっては喜ばしいことに、祭祀剣ヘレナは均衡塔の認定英雄アレクサンドリアの持つ聖火剣ウェスタによって、紀元五千十一年に破壊された。


 長年その場所が不明であったヘレナ教の本拠地を英雄アレクサンドリアが発見できたのは、祭祀剣ヘレナの鼓動のお陰であったというのは、何とも皮肉なものだ。

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