十四本目 氷結剣ラウラ
十四本目 氷結剣ラウラ
最北大陸の中心、世界最果ての地で眠る古龍ラウラは、終末に現れ、世界を融けることのない氷雪で覆うという。
八万年前から始まった氷河期は、古龍ラウラによって引き起こされたとされる説が有力である。当時地上は何十メートルもある雪に覆われ、赤道付近まで海が凍っていたという。古龍ラウラが各地を飛び回っている最中落とした鱗を、十世紀から十二世紀にかけての二大鍛冶工房の一つ、醒竜工房が加工した。
当時中央大陸を席巻したナッティル王国にあった醒竜工房は、同国にあラウラ竜工房と競合しており、その競合の結果、非常に良質かつ大量の武器が生みだされ、ナッティル王国の繁栄を支えた一因となった。
紀元千百八十八年に即位したエウリピデス三世は、支配域拡大を精力的に行い、その過程で古龍ラウラの鱗を手に入れた。
彼は同時期に古龍アリアの鱗も手に入れたので、醒竜工房に古龍ラウラの鱗を、赫竜工房に古龍アリアの鱗を与え、それぞれに剣を創るように命じた。
両工房は持てる技術の粋を結集し、三年の歳月をかけ、全く同じ日、同じ時間に剣を完成させた。
この時に醒竜工房が創りあげた剣こそが、氷結剣ラウラである。
氷結剣ラウラは完成した瞬間、古龍ラウラの氷を顕現し、醒竜工房もろとも周囲を凍り付かせた。
古龍ラウラの氷はそのままナッティル王国王都を滅ぼし、エウリピデス三世を殺し、ナッティル王国衰退の原因となった。
氷結剣ラウラは今でも古龍ラウラの氷を顕現させており、誰もその姿を見ることが出来ないままでいる。
→十三本目




