十本目 解錠剣シャルロット
十本目 解錠剣シャルロット
世界で最も有名な怪盗シャルロッテが使用していた剣。
どこで誰が創ったのかは定かではない。
四十七世紀に実在した怪盗シャルロッテはこの剣を用いて世界中の金庫や宝物庫を荒らして回っていた。
それがどんなに厳重な警備であっても、彼女は奇術を駆使して突破し、目当ての宝物を奪っていったのだ。
解錠剣シャルロットの能力は、扉と定義されたものならなんでも斬り裂けるというものであった。
例えどんなに頑丈な金庫であっても、それには必ず中身を出し入れするための扉がある。
例えどんなに巨大な城壁であっても、それには必ず人が通り抜けるための扉がある。
解錠剣シャルロットが初めて確認されたのは、南コヘレント大陸で紀元三千九百五年に起こったフィルドゥシーの戦いの最中。難攻不落と言われた岩壁城が、解錠剣シャルロットに依って瞬く間に陥落させられたのだ。
その力を恐れた中央大陸のカムイ帝国(現在のカムイ共和国)が解錠剣を徴収し、地下宝物庫に封印していたのだが、紀元四千五百九十七年から始まった革命の混乱期に紛失してしまった。
今では混乱期に怪盗シャルロッテが盗んだのだと考えられている。
彼女はまるで物語のように犯行の予告状を出し、厳重になった警備を嘲笑うように宝物を奪っていったという。
彼女は最後の犯行にすると予告した、紀元四千六百五十七年七月七日の、カラハン大陸に存在したチェルイリ帝国のセンジェルド宮殿襲撃の際、その腹に銃弾を受け、死亡した。
その隠されていた素顔は、どこにでもいるような優しい老婆の顔であったという。
余談だが、怪盗シャルロッテが盗みを終えた後、近くの貧民街には大金がばら撒かれていたという記録が残っている。
明日、幽世刀イザナミ/現世刀イザナギを投稿します。




