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自堕落たぬきの天日干し  作者: たぬき
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自堕落たぬきの天日干し 1日目

自分は劣っている人間なのだろう。

度々ふと自身を評価することがあるのだが、いつもそう思って仕方がない。


物心がついてからこうなりたいと思った幻は常にそばにあるように見え、気づけばその幻想は消えて代わりに険しい剣山がそびえ立っていた。

上から景色を眺めたいと思い足を進めた道は先が長く、足を止めたときには始めより低い所で石の上に乗って満足している。

石の上で満足していたらバランスを崩して小さな石と転がり落ちていた。

落ちたところで横になり、眩しい太陽の下で木陰を探して昼寝に入る。

そこで寝ているのは私だ。

そして私は建設予定のないロープウェーの完成をまた夢を見ながら寝て待っている。


これが自分自身の評価だ。

そして今後数十年、起こされて上って転がってを繰り返すことになるだろう自身の本質は変わることはないだろう。



地方国立大学 

入学当初の意気込みなどとうに忘れ二度目の夏

エアコンの効いた部屋で布団で寝ながらパソコンを開いて動画を再生する。

世間ではコロナウィルスやらなんやらで大騒ぎ、おかげで授業はほとんどネット上で出席して授業動画を流しながら別のデスクトップでYouTubeを開く。

ああ、なんて快適な生活なんだろう。

面倒な授業はあるがそれも動画を再生するだけ、外に出ることはない。

唯一の外出は食料の調達、暗くなってしばらく涼しくなった深夜2時に自転車でコンビニに向かう。

後で試験に追われることが分かっていようともこの自堕落な生活を止められない。

罪悪感は無いのか?

あるさ、けれど目の前にある蜜の甘さはその罪悪感を忘れさせるには十分すぎる。

その蜜を知ったのは中学になってからだ。

最初は課題を連続で忘れてたときだった、当時はそこまで優秀ではなかったが面倒ながら怒られるのが嫌で毎日の課題はこなしていた。

そんなあるとき、家に課題を忘れた。

日頃から前日の準備をする人間ではなかったので、時々ではあったが課題を忘れることがあった。

先生には申し訳ないが明日ちゃんと出せばどうにかなる、そう思っていたし、忘れたときはいつもそうだった。

翌日、また忘れた。連続して忘れた。

課題を忘れたとき、家に取りに帰ろうかと思ったが時間が無かったため諦めた。

先生に呼び出されるのを恐れながら一日を過ごした。

先生に呼び出されることは無く終わりのチャイムが鳴った。安堵した。

そして翌日、課題を忘れた。

家に忘れたのではない。

ちゃんと手元にある。

課題をやってないのだ。

急いで課題に取り組んで提出が間に合わなかったが、先生に謝りに行って提出してきた。

先生には少し怒られたがどうにか課題を出すことができた。

後になって気付いたことだが、課題を忘れたときに周りを見渡す自分がいたと気付いた。

そう、同じ罪人を探していたのだ。

それはすぐに見つかった。それも複数…

そのとき私の中の罪悪感は希釈された。

私は課題を忘れることが増えた、忘れた課題をすることも無くなった。

あるとき、先生に呼び出され心配された。

心配されたとき自分の心が罪悪感に満たされるのが分かった。

前にも後にもこれほど罪悪感を感じたことは無い。

しかし同時に、ある意味解放されたようにも感じた。

課題をする苦痛が怒られることに変わり、期待されなくなったと考えると一気に楽になった。

もともと自分が期待されているとは思わなかったが、自分のことはどうでもいいと他人が思ってくれていると考えることが楽であるように感じた。

自分の人生、自分の勝手であってその結果も自分の責任だと、そう強く思った。

優秀な人ならばこのとき修正しようと思っていたのだろうか。

だけど私は投げ遣りになっていた、自分のことがどうでもいいと思っていたのは自分だったのだろう。


今回はここまでにしようかと思います。


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