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Lily connect  作者: 加藤忍
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第二十三話

 翌日の午前九時、美夢から新幹線に乗ったと言うメッセージが届いた。席に座った二人の自撮り写真と共に。





 二人が駅に着いてもさらに電車で三駅。意外と長い二人旅だな、と他人事のように思った。いや、他人事なんだけど。





 一方の私はエアコンの効いた部屋で部屋の片付け。楓のときみたいに大掛かりではない。二人は私の部屋が汚かろうが綺麗だろうがズカズカと入って来ていた。





 だから本当に軽く掃除機をかけただけ。





 楓で思い出したけど、楓とはあれからほとんど連絡が来ていない・・・というわけがなく、毎晩くる。





 ただ今日まで母方の実家に行くって言っていたので直接は会ってはいない。





 掃除機の電源を切り、机に置かれた目覚まし時計に目を向ける。現在十二時半、気がつけばかなりの時間が経っていた。





「ハル!そうめんできたから、キリがいいところで降りといで」





「わかった!」





 本当に丁度いいタイミングだった。掃除機を持って部屋を出ようとするとポケットに入れていたスマホが鳴った。





 足を止め掃除機を下ろしてスマホを見る。掃除機を片手で持つのは重くて無理なもので。最新の軽いやつ欲しいな。





 スマホの通知から直接LINEを開くとメッセージと写真が美夢から届いていた。二人の顔は写っていなかったが、代わりに駅弁が写っていた。ご飯の見えないほどのお肉が乗った弁当。隅の方には卵焼きなどが乗っていた。コメントは今日のお昼だよ、と書かれていた。





 美味しそうだねと打ち返してから下に降りた。






 午後一時過ぎ、最寄駅に着いたというメッセージが来てから数十分が過ぎた頃、ピンポンという音が家に響いた。





 二階にいた私が玄関に行こうとしたがそれより早くママが玄関のドアを開けた。





「いらっしゃい、よく来たね」





「お久しぶりです、明美あけみさん」





「今日から二日間お世話になります」





 二人はピッタリのタイミングで頭を下げた。





 二人はママと仲がいいのでママを名前で呼ぶ。呼ぶようになったのは確か幼稚園ぐらいだったと思う。多分だけど。





 二人が頭を上げると階段を途中まで降りていた私と目が合った。





「なまの遥華が一番いいね」





「変なことを言わないで。いずみ、美夢いらっしゃい」





「ハルちゃん、お邪魔します」





 一通り挨拶を交わすとママが二人を二階に行くようにすすめた。





「荷物は狭いけどハルの部屋でいいよね?」





「はい」





「お構いなく」





 二人は靴を脱いでから二階に上がって来る。階段の途中で二人と合流してから自室に戻った。






 部屋に着くと二人とも揃いもそろって同じことを思ったようで、





「変わってない!」





「懐かしい」





 と各々の感想を言った。





「そうりゃあそうよ、私の部屋なんだし」





「いや〜、もっと人形とか置いてあるかと思ってたんだけど、相変わらずシンプルだから」





「シンプルでいいでしょう、それと荷物はクローゼットの前に置いといて」





 私の指定した場所にキャリーケースを置くといずみが大きく背伸びをした。





「疲れた、肩こった」





「そう〜だね」





 美夢も同じようにそれぞれで体を伸ばした。そんな二人を見ていると一言労いの言葉を言いたくなった。





「お疲れ様」


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