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Lily connect  作者: 加藤忍
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第十五話






 ドリンクバーに着くと小さいガラスコップを手に水を入れて席に戻った。





「決まった?」





 楓の近くに水を置きながら聞く。楓はメニュー表を両手でパタンッと閉じた。





「決まった。ボタン押すよ?」





 私が首を縦に振ると席の隅に置かれたボタンを押した。すぐにピンポンという音と共に掲示板にこの席の番号であろう07と表示された。





 間も無くして席を案内してくれた人ではない女性がやって来た。ポケットから長細い機械を取り出した。





「ご注文をどうぞ」





 楓は閉じたばかりのメニュー表を再度開いているので私から注文することにした。テーブルに置いたままのメニュー表に目をやる。





「しんけんハンバーグとチキン南蛮のセットを一つ」





「ライスとパンはどちらにしますか?」





 ライス?パン?店員のお姉さんが何を言っているのか分からなかった。私が頼んだのは単品。追加は頼んでいなのだが・・・。





 そこでメニュー表の右下にグリルランチと書かれた項目があった。朝十時から午後三時までにグリル系を頼むとパンとライスが無料というもの。





「・・・じゃあ、ライスで」





 パンは合わないだろうと思いライスにした。





 この店に来るのは大抵が夕方。お母さんが忙しくて「何も作りたくない」と言った時に来るぐらい。月に一回あるかないか。だからグリルランチなんてもの、私が知るはずがない。





 私の注文が終わったのを確認してから楓が注文した。





「私は・・・ねぎトロ丼が一つと大盛りフライドポテトが一つで」





「ご注文のご確認を・・・」





「あ!あとドリンクバー二人分」





 楓が思い出したように焦って注文した。店員さんは決して嫌な顔せずに機械のボタンを押していく。押すたびになるピっという音が意外と響く。





「ではご注文のご確認をします。しんけんハンバーグとチキン南蛮のライスが一つ、ねぎトロ丼が一つ、大盛りフライドポテトが一つ、ドリンクバーが二つですね」





「「はい」」





 私と楓がハモって返事をした。





「では少々お待ちえ下さい」





 店員はそう言って奥の方に下がって行った。店員さんが姿を消すと楓は席を立った。





「ドリンクバー行って来る」





 さっき持って来た水は?と聞く前にコップの方に目をやった。私がものって来たコップはすでに空、いつの間にとも思ったが聞くことはせずに見送った。聞いたことろで今飲んだとしか返ってこないとを思ったから。





「行ってらっしゃい」





 見送ったとは言ったものの、楓が見えなくなるわけでも遠出したわけでもない。少し体を伸ばせば目に入る。





 楓はジュース用に用意された細長いコップを手に取ると多種が入っているサーバーに手を伸ばした。長押しで出てくるドリンクがコップに入っていく。





 そこまで見てから私は楓から目をそらした。だって見ていて楽しいわけでも、ましてや楓が変なことをしているわけでもないのだから。





 メニュー表を元に戻してからスマホを取り出した。すると画面に通知が来ていた。ママからだった。





(買い物に行って来るので家にはいません。鍵はポストに入れて置きます)





 ママからのLINEに分かったと返事を返した。メッセージはすぐに既録になった。多分画面を見ながら私の返事を待っていたのだろう。





「お待たせ」





 返事を打ち終わると同時に楓が帰って来た。楓の持っているジュースは黄緑色でシワシワと炭酸を含んでいた。





「そんなジュースあった?」





「混ぜた、何と何を混ぜたでしょう?」





 席に着きながら楓から問題が出題された。





「それって二種だけ?」





「うん、そうだよ」





 二種で黄緑になるジュース?何があるだろう?私は小学校の時にやっていたジュースをミックスにした時の結果を思い出した。いつからそうなったかはわからないけど、ジョイフルはいろんなジュースを混ぜて楽しむことを進めている。サーバーの後ろには混ぜて楽しくお食事をなどと書いていたりする。





 さて、それでは楓の問題に馬鹿みたいに真剣に答えてみよう。





 体を少し起こしてドリンクバーの方を見る。ジュースの種類を確認するため。あるのは、なっちゃんのみかん、カルピス、POP、ペプシコーラにさわやか白ぶどう?の五種類。





 この五種類ですでに候補から落ちるのは白ぶどう。色は最初から黄緑色をしている。コーラも黒いのでない。なっちゃんもオレンジだから混ぜるとおかしい。





 深く考えることなく答えはあっさりと出てきた。





「カルピスとPOP?」





「正解」





 楓が賞賛の拍手をしてくれた。べつにいらないのだけど。





「懐かしいね」





 私は楓が注いできたPOPカルピスを見ながら言った。楓も同じ様にそうだねと


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