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おじさんは隠れた脅威を気にする

 グレイによれば、光線銃のエネルギーは十分にあったにも関わらず、召喚された時にはエネルギーは空だったらしい。

 そして今回の鉄の人形の話。それらを組み合わせると召喚された際には空腹などの身体を動かすためのエネルギーは満たされるが、電力などのエネルギーは認識できないのか補給されないということ。


 ただ、その電力を供給する場所が南の大陸、主に創聖教が握っていたとすれば……。


「ありえるのか?」


「ないとは言えないよ、トモダチ。この世界の住人は竜に召喚された人の子孫だ。竜に召喚された人が元の世界ではどれほどの文明を築いていたかは分からないけど、低くはないはず。でなければ南の大陸に移動するための船を作れるとは思えない。だから、その人たちが作った遺産の中に充電できる設備が稼働できる状態で残っているのかもしれない」


 確かに。召喚獣としての争いに敗れて土地を追われたとはいえ、海を渡り南の大陸に移動するだけの技術力はあったのだ。それに、グレイと同じように道具を持ち込んでいるとすれば、その道具は人の数だけ、もしかしたらもっとあるのかもしれない。

 ならば南に移動し、何らかの設備を作れても不思議ではない。だが。


「それならば南の大陸はもっと繁栄しているのではないか?」


「トモダチ、技術の伝承は簡単なことじゃない。生活にかなりの余裕があれば別だけど、生きるのに必死だったとすれば維持や稼働が面倒な高度な技術は廃れていくよ」


 それもそうか。技術の土台がないのに教え伝えることなど難しい。上辺の技術だけ教えても土台がないのだからいずれは廃る運命。

 

「そういえば召喚魔法が伝わったのは数十年前か。その時に南で何かあったのかもしれないな」


「かもしれない。とにかく、創聖教の目的が他世界の技術であった場合、ボクやトモダチが標的になる可能性があるよ」


 ……そうなる可能性は高い。ロボットから知識を抽出するより私やグレイから技術を聞き出した方が早い。何より私はともかくグレイであればロボットを操ることが出来るかもしれない。


 そのために手っ取り早い方法と言えば拉致か。わざわざ異世界から拉致して来たんだ。国を超える程度の拉致を躊躇う理由はないだろう。


 困ったな。私は創聖教に用事があるのに、創聖教は私を狙うかもしれない。身の安全を考えるのであれば近づかないのが一番なのだが。


「東の問題が片付いたら一度この国の創聖教の教会に行って少し探ってみるか。その時はグレイ、私を守ってくれるか?」


「勿論、守るだけではなく頼まれれば教会を消すこともするよ」


 うーむ、守って欲しいのであって教会を消し去って欲しいのではないのだが……。似たようなものだから良いか。




「バリッシュさん、大丈夫ですか? 疲れたらすぐに言ってくださいね。休憩しますので」


「ご安心ください。この程度で疲れるような肉体作りはしておりません。それに、これから向かう場所には少々期待しておりますので、多少の疲れは気になりません」


「多少の期待?」


 集団の先頭、代表である私と護衛のバリッシュが歩いているのだが、移動を始めてからずっとバリッシュの顔に疲労の色が見えない。

 最初の内は体力があるのだろうと思っていたが、さすがに長時間歩き続け、馬に乗っているこちらが疲れてきているのだ。バリッシュもさすがに疲れているだろうと思い聞いてみれば疲れていないとの返答。更に町に期待していると言う。


 私も一応町についての報告は受けたが、扉が横に動くや壁が紙で出来ている、草で編んだ床など理解が出来なかった。そういえば、おじさんは知っていそうな雰囲気だった。


「私は報告を聞いてもあまり理解できなかったのですが、バリッシュさんは分かったのですか?」


「分かったと言うよりも知っていたと言う方が正しいでしょう。話に聞く限り我が妻ルリの故郷と同じようなのです。東の端にある特殊な文化の村なので、東風と呼ばれていました。おそらく文化の違いに驚くでしょう。私には少し小さい場所でした」


 東風と呼ばれる、大きく文化が違う場所。バリッシュには少し小さい?

 バリッシュからすればどこも狭く小さいのではないかと思ったが、口には出さない。


「東風、ですか。楽しみにしておきましょう。ですがその前に、少し休憩を取りましょう。後ろが遅れています」


「おや? 護衛なのに気付けずに失礼しました。こちらに襲い掛かって来る者がおらず、気が抜けておりました」


 確かに、のどかな平原をただ歩いているだけでは緊張感を保つなど難しい。後ろにいるグンズなど眠気に襲われたのか馬に乗りながらあくびをしている。

 おじさんは一緒に乗っているグレイと難しそうな顔をしながら話し合いをしており、反対ではポーラとユリが楽しそうに話をしている。

 そして最後尾では。


「ぜえ、はあ」


 バルカは一人寂しく息を上げながら付いてきていた。馬に乗るのに慣れていないのだろう。確かに長時間馬に乗っていれば疲れるだろうが、あれはさすがに疲れすぎている。体力がないのもあるだろうが乗馬にも慣れていない様子。


「ああ、休憩の際にルリに話を伺っては如何ですか? 私では上手く説明できませんが、ルリならば観光客を相手にしていたので話を聞けば想像できるかもしれません」


「なるほど。では休憩の間ルリさんをお借りします。実はさっきからずっとポーラと楽しそうに話をしていて気になっていたんですよね」


 後ろから楽しそうな会話をしていて気にならないわけがない。出来るなら加わりたかったが、代表として先頭にいた以上楽しそうで気になったからと後ろに下がるわけにはいかない。


 ただ休憩中だから、情報収集のためと建前があれば話は別だ。何の問題もなく、私もあの会話に加われる。


「皆さん、休憩を取ります!」


 ちなみに、ルリから故郷の話を聞いたがやはり想像は出来なかった。

 みんな床で寝るらしいのだが、草を編んで作られた床は寝心地が良いと言うことだろうか?


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