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おじさんは会議室で自由に語る

「では、改めましてご紹介を。こちらはリリーナ・ロール・ルイス。ルイス公爵家の三女、と説明するよりも聖女テレサの妹と説明した方がそちらには理解がしやすいでしょうか? グンズ様、念のために確認させていただきます。私たちが来ると言う連絡は届いておりませんでしたか?」


 会議室に入り、やや間を置いてから説明に入る。さすがにグズ、ではなくグンズもルイス公爵家、そして聖女テレサは知っているらしく驚いた様子。

 そして連絡を受けているかと確認しつつ、立場を一瞬でひっくり返せる準備も進める。


「来てないと、思う。いや、来ていない。どこかで連絡の不備があったのだろう。俺に連絡は来なかった」


 何とも曖昧、というより責任逃れの言い様だ。仮に後で見つかっても秘密裏に処理してしまいそうだ。

 ただ重要なのはグンズが連絡を受けている、もしくは連絡を覚えているのか。今の受け答えでおおよそは分かった。


 これなら安心して爆弾を放り込める。


「では少々驚かれてしまうかもしれません。実はですね、ルルクス伯爵よりリリーナ公爵令嬢はある条件下でルルクス伯爵の代理として、開拓団をトップに立つように言われております。ルルクス伯爵の代理を認める旨が書かれている手紙をお持ちですので、今お出ししますね」


 爆弾の効果は非常に大きく、グンズやバルカ、それにリリーナまでも驚かせる結果になった。

 リリーナからルルクス伯爵の手紙を受け取る際に思いっきり睨まれた。そんな話をするとは聞いていないなどの抗議の視線だな。仕方がないのだ。交渉では時として吹っ掛けることが重要なことだってあるんだ。


 私から手紙を受け取り、黙って読むバルカとは反対に。


「ふざけるな! 今の開拓団の代表は俺だ! ルルクスの婆じゃねえ! 勝手なことを言っているんじゃねえぞ!」


 グンズは手紙も読まずに怒鳴り、机を叩く。それに対処するかのように僅かにバリッシュが私に近寄る。

 私だってこんな強引な主張は出来ればしたくはなかった。しかし港町やバルカとの仲の悪さを見ては、とても任せられるとは思えなかった。


「確かに、ルルクス伯爵の手紙ですね。内容も先程の話の通りリリーナさんを代理とすることが書かれてありますね。あ、お返しします」


「ありがとうございます。グンズさんもご覧になりますか?」


「いらねえ!」


 良く吠える犬のように少し手紙を向けただけで怒鳴るのだから、怖いなあ。しかし話が進めやすいので助かる。


「では条件についてなのですが。こちらは情報の漏洩を心配し、条件そのものは手紙にも書かれておりません。ただ納得はして頂けると思います。その条件は、東に国を発見した場合です。……グンズさん、バルカさん。ここより東に国を発見されておりますね」


「なっ、くそ! 知らん! 国なんぞ、知らん! その手紙も認めないからな! この開拓団の代表は俺だ! 他の誰も、認めないからな!」


 何ともまあ、分かりやすい反応で。

グンズは怒鳴るだけ怒鳴ると足早に会議室から出て行ってしまう。

 残されたバルカはただ大きくため息を吐いた。


「はあ……。お伺いしたい。国を発見したことについてはどこにも報告しておりません。見つけた兵士たちには箝口令を敷いています。それ以降東に誰も行かせず、情報が漏れる事はないはずなのですが」


「それはルルクス伯爵の情報網が広かっただけの話です。それに開拓団が東に向かわないのはおかしな話。東に何かあるのかと疑念を抱かせるには十分な理由だと思いませんか?」


 まさかエルフから聞いていた、などと真実を言えるはずもなく別の要因になりそうなことをそれっぽく伝える。

 幸いバルカはそれを信じてくれたようだ。なるほど、と言い気持ちを切り替えたのか顔を上げた時には先程のため息を吐いていた時とは大きく変わっていた。


「それではこれからはリリーナさんの指示に従った方が良いのでしょうか?」


「いえいえ。まだこちらに着いたばかりでこちらの環境になれておりません。それに先程のグンズさんのように納得されていない方もいるでしょうから。その方たちを説得しつつ、こちらに慣れるべきかと。まずは荷物などを置きたいので部屋に案内していただけますか? 最低でも三部屋程頂けると嬉しいのですが」


 リリーナとポーラの召喚主の部屋と、バリッシュとルリのストロンガー夫妻の部屋。後は私たち召喚獣の部屋だ。

 これからルルクス伯爵の代理として動くのだ。多少の融通はしてくれるだろう。


「分かりました。すぐに手配しましょう。ここでお待ちください」


 そう言ってバルカが会議室を出た直後、笑顔のリリーナに腕を掴まれた。


「おじさん、少しお話があります」


 ……少し事前に相談もせずに好き勝手し過ぎたかな?

 リリーナの笑顔に怒気を感じた。


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