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おじさんはトーナメントに出場することを決意する

本日二度目の更新となります。

どうして夏は暑いのでしょうか?


 夜遅くの訪問と言うのはどの世界も共通で良いものとは思われていないらしく、あまりに堂々と入ってきたニックにリリーナとポーラは揃って眉をひそめた。


「このような夜遅くに何の御用でしょうか?」


「急ぎお話ししたいことがありまして。ああ、確かに夜遅くは失礼だったか。まあ、細かいことはおいておくとして。実は俺、いや私はルルクス伯爵に乞われて闘技場のトーナメントに参加することになりました。是非見に来てほしいのです。そして優勝をリリーナ殿に捧げましょう。それを機に少しでもお近づきになれればと思っています。それでは!」


 馬鹿は言いたいことを言って、こちらの反応を見ずに来た時と同じようにすぐに帰っていった。

 当然、突然の訪問を受けた側のリリーナの印象は良いはずもなく。


「何なんですか、あの人は」


 珍しく憤っている様子。まあ、急いで話すような内容でもなければ、夜遅くに来たことに対する謝罪もない。礼儀を重んじるような人でなくとも不快に思うだろう。

 そしてその対象がリリーナであることに安堵したポーラは椅子に腰かけ、にやにやと笑みを浮かべる。


「それで、どうするの? お近づきになりたいとか言っていたけど」


「駄目に決まっているでしょう? 二つしかない公爵家が手を組んではその影響力は国王陛下に匹敵します。国としてそれは決して良いことではありません。絶対の権力者は一人で十分。確かに公爵家の三男と三女であれば無理を通せばどうにかなるかもしれませんが、わざわざ無理を通す必要性もありません。いきなり現れてあのようなことを言って、迷惑でしかありません」


 明確な拒絶に、ポーラは先程のニックを思い出してか小さく笑う。現状、ただの道化でしかないからか。

 嘲り笑う気持ちは分かるが。


「おじさん、あれをどうにか出来ませんか?」


「どうにか、と言われましてもねえ」


 手っ取り早い手段は、トーナメントに出場する選手の交代。つまり私からセイドウ、またはシャクドウへの交代。

 しかしセイドウは不可能。先程ルルクス伯爵邸で言われてしまったのだ。


「このような、力を示す催しに領主の召喚獣が出るとなれば優勝は必須。そのため、通常であれば数週間前から準備をするのですが、今は護衛として貸し出してしまいました。確実に優勝できると確信できなければ、セイドウを出すわけにはいきません。領主としての力量が侮られることになります。ですが、すでに枠がありますので代わりにホンド―さんが出場してください」


 そりゃ、こんな町であれば力のある領主でないと侮られる。侮られれば治安の悪化を招くだろう。だからと言って、私にやらせるか。

 それに準備期間などセイドウに必要ない。私を出場させるための方便。しかしセイドウはルルクス伯爵の召喚獣であり、準備期間が必要ですよね、と問われれば黙って頷く。

 というか頷かれた。そのため、セイドウを出場させるのは不可能。


 ではシャクドウはどうだろうか。シャクドウは強い。竜やウドなどでかいやつを除けば一番強い。しかしシャクドウは護衛だ。闘技場で襲われる可能性は低いだろうが、決してないとは言い切れない。その時にセイドウがルルクス伯爵に呼ばれていた場合、戦力は私とグレイだ。私など肉盾以外に出来ることはなく、グレイの光線銃も一般人を巻き込みかねないため使えない。

 可能性は低いとはいえ、ゼロではない以上シャクドウはリリーナとポーラの護衛に回しておきたい。


 最後にグレイ。相手をこの世界から消滅させても良いのであれば、シャクドウやセイドウよりも確実な勝利を見込めるだろうが、それはやり過ぎなため駄目だ。故にグレイも出場は不可。


 やはり私しかいない。それにルルクス伯爵には私を出場させたい理由がある。


 私が持つ竜の鱗だ。私が闘技場のトーナメントに参加して大怪我を負えば、竜の鱗を守る役目が果たせないため、マイケルに返さざるを得ない。ルルクス伯爵はそれを狙っているのだ。


 竜の鱗はルルクス伯爵領発展のために必要なもの。それが何故か馬鹿に狙われ、中央の貴族に狙われている場所にある。もっと安全な場所に移せ、と言いたくても本来であれば最も安全な場所の一つなため文句も言いにくい。


 誰だって宝を危険な場所に置いておきたくなんかない。

 

 幸いトーナメントまで時間はある。それまで何とか対策を……。ん?

 ルルクス伯爵領に来るまでの時間、そして数日過ごし、更にトーナメントまでの日数。

 気になって調べてみれば、トーナメントが終わって三日後には東の最前線に向かうことになっている。

 

 たった三日間だ。私が怪我を負って竜の鱗を返したとしても、それが安全な場所にある日数は。

 そのためだけに、こんなでかい規模の催しに私を参加させるだろうか。ルルクス伯爵には他に狙いがある?

 

 必死になってルルクス伯爵の狙いを考えるも見当もつかず、諦めて被害が出ても影響の少ない私が出場することが確定した。

 勿論、怪我をする気もニックに負ける気も一切ないが。

 まずは情報を集めるとしよう。


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