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おじさんは自らの潔白を証明する

本日二度目の更新となります。

前話を見逃していないかご確認ください。


 学院長は狂って今回の事件の裏に私がいるなどと言い始めた。

 竜の話を聞く限り、そのような存在はいるのかもしれない。しかし私は違うと私に言い聞かせている。

 なので非常に、都合が良かった。


 もしも学院長がその研究者気質で冷静に情報を集めて調べていたら、面倒になっていたかもしれない。

 しかし狂った状態でその説を唱えればそれは狂人の戯言。考えるのも馬鹿馬鹿しい話になってくれる。

 ここで学院長の仮説を完全に否定できれば、学院長はもう私を疑うことはないだろう。

 今疑ってくれるのは本当に助かる。学院にいた頃は生きるのに必死であちこちに交友関係を広げたため、私の影響があちこちに出てしまっている。

 今回の一件はそれの集まりみたいなものだ。


「学院長、念のために聞いておきましょう。貴方は本当に、召喚獣は時間の経過により召喚主に逆らうので処分すべきと、私が今回の一件の裏にいると本気で思っていますか?」


「当然だ。現に召喚獣は召喚主の命令を無視している。他からそのような報告は聞いていない。お前を疑うのも本気だ。他の召喚獣と比べてお前だけが明らかにおかしい。人であり、誰とでも会話が出来て、その上で何の力も有していない。本当は召喚獣を解放するために力を隠しているのではないか?」


 血走った目で学院長は私を問い詰めるが、それを見て私はつい微笑んでしまった。何とか笑いを堪えようとしたのだが、口角が上がるのを防げなかった。

 学院長、感謝する。狂ってくれてありがとう。


「話になりませんね。まず召喚獣の召喚主に短期的な不利益を与える姿を北の前線基地で私は確認しています。ボルダー辺境伯にお尋ねてください。事実と答えるでしょうから。そしてボルダー辺境伯の召喚獣が召喚された当初からそのような性格であり、命令に逆らうなど報告するまでもないことだから、報告されていないだけでは?」


「ふん、後でボルダー辺境伯に話を伺う。しかしお前への疑いは未だに晴れていない」


「はあ、本気で言っていますか? ならば逆に問います。何故私が学院にいた頃にこの一件を起こさなかった? 私が北の前線基地に移動した直後に今回の一件が起きなかった理由は何ですか? 私が戻ってくる可能性は低かった、なのに今になって召喚獣たちが反旗を翻したのですか?どれか一つでも、お答えできませんか?」


 私の質問ではあるが、答えは単純だ。学院にいた頃に事件が起きなかったのは、私が何も知らなかったからだ。知っていたら……、何もしないな。あの頃はまだ情報が少なかった。

 そして私が学院を出た直後に問題が起きず、一月以上経過してからこの一件が起きたのは召喚獣の召喚主への好感がなくなったため。

 何十年と共に生きて来たのだ。僅かな好感と言えどそれを稼ぎ続けていれば山となり、どれだけ酷い扱いをされても一月は我慢できる程度の好感があったということ。


 そんな裏を知っていれば分かることだが、知らないのであれば私と結びつけることは不可能。私はただ堂々としているだけで相手を追い詰めることが出来る。

 追い詰めるついでに、危険な思考をしないようにさせてもらおう。


「学院長、貴方が召喚獣を、主にウドを憎む気持ちは理解しないが分かった。だが、召喚獣の影響力を甘く見ていることは指摘させてもらう」


「召喚獣の影響力だ……?」


「学院長のように役職で貴族の者からすれば召喚獣は体の良い駒なのかもしれない。領地を持つ貴族からすれば重大な戦力で、背を任せられる相手で、重要なパートナーなのだ。貴方はただの方便で、生涯の相棒、などと言っていたのかもしれないが、ボルダー辺境伯とその召喚獣の仲の良さを見ればそれが嘘ではないと分かる。それを、貴方は一定期間が過ぎたら危険だから処分しろと提言するつもりか? 領地を持つ貴族が大反発するだろう。最悪、国が割れるかもしれない。それを理解したうえで、先ほどの言葉を言ったのか?」


 やや過剰かとも思いながら言い切って、問い詰める。

 ここで反省の言葉でも引き出せれば学院長は二度と召喚獣の処分など考えないだろう。

 いつでも答えを聞くと学院長を見続けたが、何を思ったのか学院長は突然植物園の隅の方に行き、そこに生えている植物に手を出す。


 あれは、サラマンダーの大好物。唐辛子に似た赤い植物。あまりに辛すぎてシャクドウですら根を上げた代物を。


「ふん」


 学院長は口入れた。直後に口を押えて倒れこむも、すぐに立ち上がりゆっくりとだがこちらも戻ってくる。

 汗だくだ。顔も手も、汗が出る場所全てから汗が出ている。顔も強張り、非常に苦しそうな顔をしている。

 そんな中で口を押えながらも、学院長は言葉を発する。


「面倒な、ことが起きて、少し気が立っていた。何か色々と言ったかも、しれないが忘れろ。大した意味はない」


 ……もしやけじめのつもりで辛い植物を口に入れたのか。

 まあ言いがかりのような内容だった。故に自分の非を認め、罰を受けてきたと。

 許すとも。私は自分の非を認めてもあの赤い植物を罰として自ら口に放り込むことは出来ない。それをしたのだ、先ほど言っていたことを忘れるとも。


 水、と探しに行こうとする学院長に牛乳の方が良いと助言しようとしたが、それよりも早く。


「ここですか、学院長! 大変です!」


 植物園の扉が勢いよく開き、若い講師がやってきた。

 瞬時に学位長は私に視線を向けて来たので、私は頷いて返す。多分まだ上手く喋れないのだろう。

 

「どうしました?」


 だから私が代わりに報告を受ける。どうせ苦しんでいても報告は聞こえるだろう。


「それが、近くの山でマイコニドが大量発生。早急な駆除を求められております!」


 学院長は顎で出て行けとばかりに指示を出してきたので、私は報告ありがとうと言って若い講師を部屋から追い出す。

 それで近くの山と言うのは以前に行ったことのある山だろう。

 それでマイコニドとは何だ? キノコの形をした魔物? 様々な胞子を飛ばし、毒や麻痺などをさせるz状態異常のエキスパート。


 しかし山でキノコの形をした魔物が大量発生? 山とキノコに関して少々心当たりがあったので、こっそりと学院長に聞いてみれば。


「確かに、お前が言っていたキノコの栽培方法。あの山で実験した。収穫は一年ごと予想していたのだが、想定外のキノコが生えてきたようだな」


 つまりマイコニドの大量発生の原因はそれか?

 大急ぎで確認せねばならず、色々と詳しいであろう学院長連れて山へ向かう準備をする。


 グレイ、グレイはどこだ? 最悪山事消し去ってもらおう。


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